13日(日)の館長室から

ぬりえ美術館にいらっしゃる方は、新聞や雑誌の切り抜きやラジオやテレビなどで聞いたことをメモして、「いつか、見学に行きたい」と思いつつ、なかなか行かれなくて、”やっと!”来ましたという方が大勢いらっしゃいます。
そういう方は、どのように遠方であろうと、また近所であろうと、いつか来てくださいます。
日曜日にも、そのような思いの方が、釧路からいらしてくださいました。
遠くから、来ていただきまして、ありがとうございました。そして、町屋からくるのに、分からなくて、歩かせてしまって、申し訳ありませんでした。

きいちのぬりえは小学校の思い出だそうで、女の子達が学校で誰が早く完成させるかと競争したものですと感想ノートには書かれていました。
本当に心の中に残っていたそうで、「ここに来たかったの」と嬉しそうな満面の笑顔を見せてくださいました。
又釧路の方も、他の大勢の方が「きいちのぬりえにありがとう。きいちさん、ありがとう」と言ってくださいます。

ぬりえ美術館は、このような人たちの笑顔とありがとうに支えられています。このような喜びを、私も感じさせてもらって大きな感動をいただいていますので、本当に有難いことです。
来年は10年目になりますが、これからも皆様の喜びのために継続していきたいと思っています。

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2011年11月15日

Hotel にもぬりえ

   

紅葉を見に、箱根に行ってきました。
宿泊したホテルの大浴場の受付に、「おもいで」と題して紅葉と温泉の”ぬりえ”が置かれていました。
温泉につけり、体をリラックスさせて、ぬりえをして、こころをリラックスさせるのでしょうか。
ぬりえは、大人も子どもも、誰でもできますので、温泉後のひと時に良いと思いました。

このホテルは、建物や景色が素晴らしいホテルでしたので、一般的な季節の絵だけではなく、このホテルのロビーやレストラン、ロビーから見える景色などのぬりえがあってもいいなと思いました。
良い発見があった旅でした。

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2011年11月09日

ぬりえコンテストの優秀作品の方が来館されました


お父様、おじい様とご一緒に、清水さん姉妹が来館してくださいました。
コンテストの絵の選定は、小学生の部と中学生以上の部は、別けて選定をしています。それぞれの部門から選ばれた絵が、結果的に姉妹ということが分かり、私もビックリしたものでした。
とても絵がお好きだそうで、よく絵を描いていらっしゃるのだそうです。

偶然にも、おじい様は、柔道をなさっていて、きいちの柔道家のお兄さんのお弟子さんだったそうです。
こういうこともあるのかしらと、不思議なご縁を感じました。

来年もぬりえコンテストを計画していますので、是非またチャレンジをしてください。お待ちしています。

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2011年10月01日

ぬりえコンテストの優秀作品に選ばれた方が来館されました。


9月24日(土)、東京新聞のぬりえコンテストで優秀作品に選ばれた川部直人さんがお母様とご一緒に美術館にいらしてくださいました。
お若い男性がぬりえコンテストに応募してくださったのは、初めてでしたのでとても嬉しかったので、作品がとても印象に残っていました。
川部さんはやはり絵のほうのお勉強をされているそうです。
お二人は、コンテストの他の方の絵をご覧になって、同じぬりえとは思えないほどに作品が素晴らしいとコメントをされていました。

来年もコンテストを計画していますので、ぜひ又チャレンジをしていただければ、とても嬉しく思います。

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2011年09月25日

来館者の方のぬりえ紹介

先週いらしてくださって、来館者の声としてもご紹介しました末美さんから、15枚のぬりえ作品が届きましたので、3枚ご紹介いたします。
小さい頃からきいちが大好きだったそうですが、送付していただいたぬりえも大変カラフルで、一枚、一枚違った色合いで塗られています。着物には千代紙を貼って柄をだしていたり、洋服にはビーズを貼り付けたり、鶴の柄の着物には折り紙の小さい鶴が張ってあったりと、デコぬりえを楽しまれています。とてもセンスがよく、楽しませていただきました。
末美さん、これからもぬりえを楽しんでください。
   

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2011年09月09日

ぬりえコンテスト優秀作品賞受賞者来館


   
今年の受賞者の方が岐阜からお見えになりました。お嬢さんとお孫さんとご一緒です。
寺倉さんは、きいちの他、「まつお」のぬりえもお好きだそうで、今回来館のために、まつおのぬりえに色をぬって、感想を書いてきてくださいました。
色の塗り方に独特のテクニックを持ち、オリジナリティーがありますので、どこかでご自分のぬりえ作品の展覧会などを開催されると楽しいと思います。
ぬりえ美術館のHPをいつもチェックしてくださっているそうで、ありがとうございます。
これからも、楽しみながら、テクニックを磨かれてください。
来年もぬりえコンテストを開催予定ですので、どうぞまたご応募なさってくださいませ。

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2011年08月09日

5月5日の館長室から

ゴールデンウィークですね。五月晴れが気持ちの良い気候になりました。
新緑を楽しみに近郊にお出かけの方も多いかと思います。
ぬりえ美術館にもお子さん、お孫さんづれの方々が多くお見えになっています。
群馬や長崎など遠くからのお見えの方もございます。
ぬりえギャラリーにもご紹介していますが、おばあ様、ご両親、お子さんと3世代でいらしたお客様もいらっしゃいました。
お子さん、お孫さんの世代の方にも、きいちのようなぬりえがあったことを知っていただき、ぬりえをしてくださることは大変嬉しく思います。

先日岩手県宮古市のあるご来館者からお礼状が届きました。
その方は2月に三姉妹揃って来館された方で、それぞれアンケートに記入してくださいました。子育てが一段落して、ご両親の思い出話などをする中で、ぬりえのことになり、ぬりえ美術館にきてくださったものでした。

アンケートにご記入くださった方には、しばらくしてからお葉書をお出していますので、はがきを書き始めましたら、一番上のお姉さまのご住所は、岩手県宮古市でした。びっくりしてネットで調べましたところ、その方のお住まいは直接津波の被害がなかったようでした。少しでも気持ちが温かくなればと思いまして、きいちのぬりえ本と色鉛筆を宅急便で送りました。
それに対するお礼状でした。

お手紙には、「家族はそろっていますが、40日間、泥の中を歩き回り、下を向いていた日々であったと感じています」とありました。
そんな時に届いた「きいちの本を胸にしたときに、身体中が温かくなり指先まで力が広がっていく感じがしました。」と書いてくださいました。

きいちで少しでもこころが癒され、お元気になっていただければ、こんなに嬉しいことはありません。
「あまり遠くないところで、又美術館に出かけたいという気持ちもあります」とございました。
来館してくださる日がくることを心よりお待ちしています。

ぬりえは塗ることに集中することで、一時でも頭の中にあるもやもやを忘れることができますし、気持ちがすっきりいたします。
どうぞお休みの一日、色を塗ってぬりえ遊びを楽しんでみてください。

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2011年05月05日

館長室から

3月末ですが、風が冷たく、桜のつぼみも首をすくめてしまうのではないかと思ってしまいますね。でも日差しは、春の明るい日差しですし、草木の緑は少しづつ領域を広げています。
まだ遠くまで出歩くのは控えていらっしゃる方が多いのでしょう。お近くの方が立ち寄ってくださったり、リピーターの方が地震を心配して来館してくださいました。
テレビを見続けて、「自分も心配になっている」とおっしゃるので、「一枚ぬって、気持ちをリラックスしてはいかがですか」とお勧めしました。
「少し寒色系だったかな」とおっしゃていましたが、「考えすぎないようにしよう」と前向きになってお帰りになりました。

気持ちが辛くなったとき、音楽でもかけながら、ぬりえをしてみてはいかがでしょう。
ぬりえだけに集中できるので、こころのなかにぽっかり無の部分が生まれて、少し気持ちが楽になれると思います。

来週はもう四月。桜の便りが待たれます。

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2011年03月28日

東北関東地震による、被災のお見舞いを申し上げます。

この度の東北関東地震の被害にあわれた皆様におかれましては、心よりお見舞い申し上げます。
また、多くの方が亡くなられました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

一日も早い復旧をお祈り申し上げます。

地震の際、私は町屋にあるお花屋さんの帰り道でした。閉まっているシャッターがひどくガタガタしているとは思いましたが、知らずに歩いていました。そこに、調剤薬局の人が、「地震よ」と声をかけてくださいました。はっとして、地震が収まるまで、そこで休ませていただきました。本当に感謝しています。

こんなに長い揺れは初めてでした。怖かったです。
急いで美術館に戻り、確認したところ、額がまがったりしていましたが、何も壊れていたり、落ちているものもなく、一安心でした。

しかし当分余震が続くということでしたので、12、13日は臨時休館とさせていただきました。

被災地の方々は、あれほど怖い思いをしながらも、気丈に振舞われていて、日本人て凄い精神力をもっているのだなと心から感服いたしました。
どうぞその強い気持ちをもって、復興にむけて歩んでいって欲しいと願っております。

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2011年03月14日

館長室から

先週の月曜日も雨や霙で寒かったですが、本日(7日)は、霙から雪になって、午前中は道路や屋根にも積もっていました。昨日の日曜日は、太陽もでて暖かく、お客様がお出かけになるには、いい日和だなと喜んでいましたのに、この天気の変りようには驚かされました。

5日、6日の開館日は、小さいお子様向けや高齢の方のためにお土産を求められる人が多かったですね。きいちのぬりえ本は、小学館から発売されていますので、本屋さんでも購入できるものなのですが、売れてしまったときに、本屋さんが発注してくださらないと本屋さんの店頭からは無くなってしまいますので、多くのお客様がどこで買えるのでしょうかとお問合せをいただくことがございます。
ぬりえ美術館にお電話をいただければ、2000円以上になりますが、通信販売もしておりますので、お問合せください。

今月は、東京メトロニュースの50周年記念特別号の「全駅184スポットおでかけガイド」に千代田線町屋駅のスポットとして、「ぬりえ美術館」が紹介されています。これを見て、来館してくださったお客様がいらっしゃいました。早速来てくださって、大変嬉しいですね。

だんだん暖かくなりますので、お出かけしやすくなりますね。
きいちの素敵なファッションの少女たちがお待ちしています。

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2011年03月07日

館長室から

このところ、春の陽気や冬の陽気が入り混じっていますので、体調管理が難しいですが、皆様はお元気にお過ごしでしょうか。

27日の日曜日は、19度とか20度という春の日差しと暖かさで気持ちがよかったですね。この日は2009年にニューヨーク(以下NY)で展覧会を開催したときのオープニングに来てくださった方が、お友達とご一緒に来館してくださいました。
NYでは、ファッション関係のお仕事をなさっているそうですが、子どもの頃にはきいちのぬりえの世界で遊んでいたそうで、「自分の生活にはない”夢の世界”がぬりえだったのだと思う。大人になり、ファッションデザインの世界に入りました」
とアンケートに記入してくださいました。
ぬりえで遊んだお洒落な世界の影響があったのかもしれませんね。
又「今でも充分通用するセンスがすばらしい。変らないモダンスタイルがあると思いました」とコメントされていました。

お友達も子ども服のファッションデザイナーから、現在は子どもの保育の仕事を通して
絵を描いたり、クリエイティブな仕事をされているそうですが、
「一枚の絵の中にストーリー、ディテール、デザイン、色彩すべてにおいて、きいちさんのセンスの奥深いものを感じます。
是非今の子どもたちに見て、感じて、ぬってほしいです」とアンケートに書いてくださいました。
一枚、一枚の絵を丁寧に見て、感じ取ってくださって、本当に嬉しく思いました。

昨日は、また随分寒くなってしまい、雨やみぞれ模様でしたが、大人のぬりえサロンに
いらしているひさよさんの似顔絵展に行ってきました。水天宮そばの蛎殻町というところでした。
今話題の人を取り上げて描いているそうですが、マツコデラックスと石塚さんの女雛と男雛の絵は、すばらしい出来栄えでした。マツコデラックスさんにプレゼントしたら、きっと喜びそう。自分の子どもの頃を表現したお人形も1体展示されていましたが、二次元から三次元まで表現できる人なのだと、本当に感激しました。ひさよさん、これからも似顔絵にぬりえにその他もろもろ、頑張ってください。
似顔絵展

蛎殻町の画廊のご主人は古くからそこにいらっしゃるそうなので、昔きいちも蛎殻町に
住んでいたことがあるので、きいちの長兄の方の家があったそうなので、お尋ねしたら、「紙屋さんね!」とご存知でした。
どこにご縁があるか、わかりませんね。

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2011年03月02日

2月の第二週の館長室から

14日のバレンタインデーの夜が真っ白な雪に包まれました。
三連休が雪になるといいながら、東京ではチラチラ程度で、ひどい天気にならなくて、肩すかしとおもっていましたら、連休が終わったら積もりました。

小学校が近くにありますので、子どもたちが歩きやすいように、朝から道路の雪かきをしました。雪かき用の専用の道具もありませんので、ちりとりで除きましたが、意外に雪って思いのですネ。

今年は秋田や新潟などの豪雪の話をニュースで見聞きしていますが、雪国の方のご苦労の一端が分ったような気がしました。

三連休は天気もよくありませんでしたが、それでも静岡から親子連れの方が来てくれました。お嬢さんは、「たくさんのぬりえがかわいかったです。私もぬりえがすきでやっています。」と感想を書いてくださいました。
午後にはお友達3人組の方が来館され、ぬりえを塗っていました。”若い方は箸がころがっても笑う”という言葉がありますが、帰られるまで彼女たちの笑い声が聞こえていました。若いって、いいですね。

13日の日曜日には、ご近所の方が二人見えて、「ご近所ですが、初来館。かわいい女の子と塗り絵タイトルが印象的でした。」と感想を残してくださいました。
午後は八王子のほうから年配のご夫妻が、お孫さんのお土産を購入のために、ご来館。
事前に何度か電話もくださって、アクセスを確認をしてから来てくださいました。

また暖かい時期にいらしてください。(館)

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2011年02月15日

2月第一週の館長室から

先週の日曜日は、普段はお友達同士という方が多いのですが、親子連れの方やご姉妹、ご夫婦といった方々にご来館いただきました。

三姉妹できてくださった方々は、一番上のお姉さまが岩手からいらしたそうです。子どものころにきいちの思い出があるそうで、ぬりえのお話をしてくださいました。
ぬりえは、お母様が買ってくださったようで、一袋のぬりえを長女の方から順番に一枚づつ配布してくださったそうですが、三女の方は、自分にはあまり綺麗でもない絵がまわってきたと思うと、いろいろ語ったくださいました。三姉妹が仲が良ろしくて、大変羨ましいと思いました。どうぞいつまでも健康で仲良くお過ごしください。

親子連れの方では、お父さんが2歳になったばかりのお嬢さんとご一緒に来られました。2歳ですとまだやっとクレヨンや色鉛筆がもてて、少し色をつける程度かもしれませんが、ガチャガチャなぐりかきでも、ご本人は塗った気分になっていますので、見守ってあげて欲しいと思います。成長するにしたがって、ぬりえの線からはみ出さなくなってきます。
お母様が関心を持って、ご主人とお嬢さんとご一緒に来てくださった方もいらっしゃいました。こういうぬりえがあることをお嬢さんにも知っていただけると嬉しいと思います。

ご夫婦でみえる方々は、奥様がきいち好きでご一緒してきてくださるのですが、お土産を選ぶときなどどれを選んだらいいのか迷っているときにもじっと待っていてくださる、優しいご主人ばかりで、素敵だなと思いました。

そうそう、最後のお客様はカップルで、昨年の同じ日に来館されて、一緒にぬりえをして、「ぬりえギャラリー」に掲載されたという方でした。今年もまた一緒にぬりえをしてくださって、その絵はぬりえギャラリーに掲載されていますので、そちらもあわせてご覧くださいね。

2月もまだまだ寒い日があるようですが、暖かい日を選んで足を運んでくださいませ。

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2011年02月08日

イギリスからお客様が

寒いですね。連日寒さの更新をしています。蓮の鉢の水も凍っています。
誰かにあうと「今日は寒いですね」が挨拶になってしまいますが、風邪などに気をつけて、休養を十分にとってこの冬を乗り越えましょう。

この寒さの中を、ご来館くださったお客様。本当にありがとうございます。
可愛いものがお好きということで、熱心に見てくださった女性、老人の施設に入られている方にお土産を購入されて行った方、カップルで昔のぬりえを見てくださった方、十分に楽しんでいただけたら、嬉しく思います。

ご来館してくださった中に、イギリスから来た日本人男性がいらっしゃいました。

イラスとのお仕事をなさっているそうです。
2006年にイギリスのロンドンを訪ねた際、コペントガーデンのおもちゃ屋さんに入ったことがありました。そのご主人から紹介されて訪ねてきてくれたのだそうです。
イギリスでは、イラストからぬりえの冊子をつくり、販売したりしているそうですが、簡単にそのような冊子がつくれ、販売するチャンスも多々あるそうです。
今日本では、ぬりえ=キャラクターということになってしまっていますので、ぬりえを描いている作家の人がいませんが、イギリスでは、ぬりえを描いている人がいらしゃるのですね。もちろんその方の仕事はイラストレーターですから、作品はぬりえに限っているわけではありませんが。

いつかその方たちの作品を皆さまに見ていただく機会があるかもしれませんよ。

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2011年01月17日

本日8日より開館いたしました。

今年も気持ちがほっこり温かくなるぬりえを楽しんでいただきたいと思っています。どうぞご来館くださいませ。お待ちしています。

皆様は今年富士山を見ましたでしょうか。日本人にとって富士山はとても特別な存在ですね。新幹線で静岡を通るとき、飛行機にのったとき、なぜか富士山をみると元気になったり、得した気分になりませんか。
私は今朝富士山を見ることができました。以前からぬりえ美術館近くの都立尾久の原公園から富士山が見えることは聞いていたのですが、その見えるポイントが分からなかったのですが、やっと今朝発見。遠く山の頭くらいしか見えませんが、まっしろな富士山が見えとっても嬉しくなりました。
そして家のほうに向かうときには、スカイツリーが見えるのです。
富士山もスカイツリーも日本一のものですね。
皆様もぬりえ美術館にいらした時は、2~3分足を伸ばして、尾久の原公園で富士山を
発見してみてください。
今年もよろしくお願いいたします。

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2011年01月08日

「想念」

宮ノ川顕作「化身」(角川書店)の表紙に、ぬりえ美術館が所蔵する亀井徹氏が描いた「想念」の絵が使われました。
この菊の犬を可愛いと感じるか、怖いと感じるか、人によりそれぞれだと思いますが、私はすごく可愛いと思っています。
「化身」のタイトルに相応しい「想念」ですね。
ぬりえ美術館には私が個人的に所蔵する絵画や写真を展示する「Masa's Collection」というコーナーがありますが、来年はこの「想念」を展示したいと考えております。

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2009年11月14日

フェルメール「ミルクメイド」展示


メトロポリタン美術館では、アムステルダム国立美術館からフェルメールの国宝級の名画である「ミルクメイド」を展示していましたので、見学してきました。

英国人探検家のヘンリー・アダムスが1609年にアムステルダムを出発し、ニューヨーク湾からアドソン川を遡りオールバニーに到着した400年を記念する展覧会です。
館内の他の部署は写真撮影がOK[なのですが、フェルメールの部署では、写真がとれなかったため、絵葉書をご紹介いたします。、

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2009年10月04日

オレンジデーをご存知ですか。

4月14日はオレンジデー!
2月14日は女性が男性に告白するバテンタインデー、3月14日は男性が女性にお返しをするホワイトデー、4月14日は、カップルがお互いの愛を確かめ合う”オレンジデー”なのだそうです。

オレンジデーは、さかのぼること15年前の1994年に愛媛県の柑橘類生産農家が日本記念日協会(民間の任意団体)で登録し、PRキャンペーンをしているイベントなのだそうです。

オレンジデーには、オレンジまたはオレンジ色のプレゼントを贈りお互いの愛情を確認し合います。すでに定着しているということですが、皆様はご存知でしたか?

イベントのことは知りませんでしたが、柑橘類がおいしい季節ですので、今後の展開が楽しみです。

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2009年03月31日

紙芝居とぬりえ

昨日来館された70代の男性から、子どもの頃のお話を伺いました。

「子どもの頃には紙芝居があり、当時は黄金バットなどの紙芝居だった。紙芝居屋の伯父さんが黄金バットなどのぬりえの紙をくれた。ぬりえを塗って、翌日持っていくと、みなの前で、だれだれの絵はよく塗れている等と上手にできると「あめ」などお菓子をくれた。」
と懐かしいお話をしてくださいました。
紙芝居は、水あめを食べながら見るだけかと思っていましたが、翌日も見に来てもらうために、紙芝居の伯父さんも工夫をしたのでしょう。
ぬりえは紙芝居ともご縁があったのですね。

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2009年02月15日

昨日はバレンタインデー

昨日は2月とは思えない大変な温かさ、というより暑さでしたね。
そして昨日はバレンタインデー。そのせいでしょうか、男性がお一人で来館される方が、どういうわけか多かったです。
ぬりえ美術館のお客様は、90%女性のお客様で、男性はグループで来館される中にいらっしゃるとか、奥さまとご同伴という方が多く、男性一人という方は極少数です。それが、昨日は男性一人という方が重なったようです。
男性お一人でも大歓迎ですから、見学にお立ち寄りください。

2月に入り、「都電荒川線の旅」といいますか、都電に乗って下町を観光するというグループが多くなりました。都電そのものが懐かしいですし、下町散策する場所がいろいろございますから、散策を計画される方が多いのでしょう。
このぬりえ美術館の周りにも、来月になりますと「尾久の原公園」のしだれ桜が見ごろとなりますし、4月には都電沿線のバラが、赤、白、黄色等などの様々に咲いて、見事です。
荒川遊園地も桜がとても綺麗ですし、小さいお子様にぴったりの乗り物が沢山あり、区の運営のため価格も大変お手ごろでお勧めです。。
町屋から三ノ輪方面に行きますと、荒川自然公園や荒川区役所の桜もあり、見所満載です。

来月はモノレールの舎人線(とねりせん)が開通して1年になります。ぬりえ美術館に来館するには、「熊野前駅」が便利です。舎人線沿線にはまだ乗ったことがありませんが、舎人公園や見沼親水公園など、緑が豊かでとても素敵なところだそうです。

どうぞこれから温かくなる季節に向け、都電荒川線や舎人線の旅で、ぬりえ美術館にいらしてください。お待ちしています。

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2009年02月15日

フィンランドには、「大人のぬりえがあった」

美術館便りの2月号で、標題の件をご紹介していますが、日本では、ぬりえをすると脳の活性化に良いと言われていますが、フィンランドで大人のぬりえを描いたイラストレーターのアンネ・ペルトラ(Anne Peltola)さんは、「脳」のことは全然知らなかったそうです。

アンネさんは、本来は詩や絵本の挿絵を描いたり、自分で絵本を作っている画家です。
フィンランドでは、赤ちゃんが生まれると、赤ちゃんにとって当面必要なものが入った「赤ちゃんパッケージ」が国からプレゼントしてもらえるのだそうですが、その中には、アンネさんの作った絵本が入っているそうです。アンネさんは、そういう人気作家なのです。

「大人のぬりえ」という言葉の響きが面白いと思い、作ったのだそうです。
販売してみると、絵がかれた情報やユーモアに、塗った人が友人に勧めることをして人気となっているそうで、現在、1号目も発売されたばかりの2号目も二刷りには入っているほどの人気本でした。購入者は、30~40代と老人が中心だそうです。
   
   
アンナさんの大人のぬりえ本
30~40代が中心購入者という点は、日本の大人のぬりえのターゲットとは大きく違います。フィンランドでは、30~40代の方々が、ぬりえに楽しみを発見していると思われます。ここには、フィンランドの長い冬があるということも人気の背景にあるのではないかと思います。

彼女自身は、子どもの頃にプレゼントされた厚いぬりえ本を良く塗ったそうですが、田舎の動物など身近にある生活と密着したものを塗っていたそうです。もっと面白い事実を教えてくれました。それは、彼女の周りのイラストレーターや画家の方の多くが、子どもの頃にぬりえが好きだったという人が多いということでした。ぬりえと絵には、やはり相関関係があるのではないでしょうか。

アンナさんは、昨年11月に母さんになられていますが、「これからは、子ども用のぬりえも作ってください」とお願いすると、「赤ちゃんの両手や両足でぬれるような、ぬりえなど面白いかも・・・」とおっしゃっていました。
ビックリするような発想ですが、プレイパークでも、大きな紙の上で絵を描かせるというお話を聞きましたので、手や足で塗るぬりえが生まれてくるかも知れません。今後が楽しみです。

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2009年02月06日

フィンランドのプレイパークについて

2月の美術館便りで、ヘルシンキの第二弾をお伝えしていますが、今回はプレイパークについてさらにご紹介したいと思います。
   
左:プレイパークには林もあります。右:プレイパークの入り口
プレイパーク・へルットニエミ(leikkipuisto Herttoniemi)
保育園に代わるような大事な施設がプレイパークです。プレイパーク・へルットニエミ(leikkipuisto Herttoniemi)を訪問しましたので、ご紹介いたします。
ププレイパークは、親〔又は祖父母)と子どもたちが一緒にきて遊べる児童施設のことです。(保育園に入る前の子どもや保育園に通っていない子ども、それから学校の授業が終わったあとに児童がやってくる)。フィンランドでは子育ての上で、保育園と同等もしくはそれ以上に活用されている施設でもあります。

プレイパーク・へルットニエミは、”熊通り”という名前の通りにありました。このあたりの通りの名前は、熊以外にも狐、などの動物の名前をつかっているがも面白いと思いました。
プレイパークは単なる庭だけでなく、さらに広い林ももっています。一人寒いと言っている私を尻目に、子どもたちは寒い戸外で元気に走り回っています。
プレイパークの中庭

プレイパークは、市の社会福祉事務所が運営しており(無料)で、指導員2名、園長2名、合計3名の職員に、加えて補助員一名と掃除人がいました。
午前、午後と様々なクラスが開催され、さらに曜日によってスケジュールが組まれています。
例えば、
■午前中:
小さい子ども中心 4才~5才~就学前児童や赤ちゃんを産むお母さんのための準備教室
異文化の会(父親がフィンランド人、母親が外国人、又はその反対)のためのオープン・カフェにもなる。
■午後は、
・放課後に小学生やそれ以上の大きな子どもがやって来るそうです。

曜日により、月と火曜日は、手のスキルを磨くための日で、絵、ぬりえ等をします。
水曜日は、御伽噺の読み聞かせをし、木曜日は、プレイパークが主催する遊びの日など、様々な楽しいスケジュールが組まれています。
プレイパークでは、個人的に気になることがあると、家や学校に連絡をするようになっているです。
現在、プレイパークのような施設がヘルシンキに、71。保育園は、160あるそうです。

   
フィンランドのぬりえ本

この活動は、95年前位にフィンランドで始またもので、昔は農業であったが、工業化して子どもを工場に連れて行くことができなくなり、子どもが家で留守番するようになったとき、夏休みの間、16歳までの子どもたちに昼食を提供したということが始まりということですが、、まだフィンランド中にあるものではないそうです。
 
ここでは、赤ちゃんから両親、おじいさん、おばあさん、妊婦、外国人ファミリーまで様々な人々を垣根なく受け入れています。その幅の広さと活動の広さに驚くことばかりでした。
市の福祉事務所が、必要な関連部署をスムーズに繋げていることにも驚かされる。プレイパークから学校に連絡が行ったり、家に連絡をしたりと縦割りでないところが素晴らしいところである。
フィンランドも今後グローバル社会になるにつれて、核家族や親の仕事で子どもが家に残されたり、外国から来た人たちなど、増えていくと思われるので、このプレイパークの果たす役割は大きくなって、さらに増えていくのではないかと思いました。
このプレイパークのような社会的なつながりを大事にしている点も、フィンランドの子どもたちの成績の優秀さにつながるものであると思いました。

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2009年02月04日

FM江戸川に出演しました

22日(木)は、大変寒い日でしたが、小岩にあるFM江戸川のスタジオまで行ってきました。スタジオは小岩駅南口フラワーロードの商店街の中にあるガラス張りの可愛いスタジオでした。
キャスターの川瀬なな子さんと楽しく、懐かしいぬりえのお話をさせていただきました。
女性キャスターの方ですから、ぬりえの楽しさは十分に理解されていて、ぬりえに描かれた世界が、少女の憧れ、夢の世界であったことを上手にご説明してくださいました。

放送番組では、よくリクエストを依頼されます。今回は、「ばあや訪ねて」と「白鳥の歌」の2曲をお願いしました。どちらの曲も、子どもの頃には知らなかった歌でしたが、ぬりえ美術館で開催している「童謡の会」で知った曲でした。
最近童謡を聴く機会がラジオ、テレビでも少なく残念に思っています。素晴らしい歌がありますので、ぜひ知っていただきたいと思い、リクエストしました。

童謡の会で、昔の歌を聞くたびに、子どもにしては難しい歌詞を歌っていることに驚かされます。意味は分からずとも、暗唱して歌を覚えることも子どもなら時間もかからなかったことでしょう。また、忘れていた歌も、曲がかかると自然に歌詞を思い出して歌えることが幾度もあります。そんな経験、皆様にもありまえせんか?

「ばあや訪ねて」
昭和16年に歌詞が斉藤信夫、昭和21年に海沼実により作曲されました。
森かげの白い道
かたかたと馬車は駈けるよ
あかい空 青い流れ
ばあやの里はなつかしいよ

川田正子さんの歌で聞きましたが、流れるようなメロディーが大好きです。そして、森を行く馬車の景色が見えるようです。

「白鳥の唄」
若山牧水の詩に古関裕而曲をつけたものです。
昭和22年(1947年)5月に、藤山一郎、松田トシの歌でレコード発売されました。
 
白鳥は 悲しからずや
空の青 海の青にも
染まずただよう 

哀愁を帯びた歌です。藤山一郎が朗々と歌って聞かせます。

いずれの歌も、ベースにあるのは美しいメロディーで、心打たれます。
皆様も、ぜひ聞いてみてください。

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2009年01月24日

フィンランドのカラー


園内に展示されていたお花のモチーフ

保育園・幼稚園に行ってみると、多くの国では原色が多いのですが、ヘルシンキの保育園では、大人っぽいというのでしょうか、原色ではなくグレーが混じったピンクやブルーなどシックな色合いが多くみられました。
ぬりえ本のムーミンの表紙の色をみても、子どもの色にこういう色を使うのだろうかと驚きとともにフィンランドらしさを感じたものです。

保育園での子どもたちの絵

これは、みみずを書いた絵です。こういうものを描かせるのですね。長く引かれた黒い部分がみみずなのでしょう。自然ということを非常に大事にしています。周りにある自然を生かして、生活の中にとりいれることを子どもの頃から、保育園でも家庭でも大事にしています。


これは、音楽を聴いた後の描かせた絵だそうです。イメージを捉えてそれを絵で表現させています。

絵はこう描かなくてはならないではなく、”楽しく”ということを主に子どもたちに行動させています。
体操をするときにも、ジャズの音楽(ジャズというのもびっくりですが)にあわせて、体を動かしますが、音楽にあっていなくてもOKで、楽しく動いていることを重視しています。
こどもの自主性が大事にされていました

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2009年01月11日

ヘルシンキの日本人気

1月のぬりえ美術館便りで書きましたヘルシンキで見た若者をご紹介します。
本屋さんのマンガコーナーにいた二人の少女、右の少女は「デスノート」、左の少女は「ナナ」のマンガを選んでいました。
写真を撮るときには、「ピース!」、撮り終わると「ありがとう」と上手な日本語で話しました。

ライブハウスの前で見つけた少女は、インターネットで購入した「留袖」を自分でみよう見真似で着付けていました。上手に着ていると思いませんか?ここまで、日本人気とは、日本のビジュアル系音楽もスゴイ!!

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2009年01月11日

フィンランド・ヘルシンキ情報

ヘルシンキ
   
黄葉する市内の木々と港。

1月の美術館便りでご紹介したヘルシンキについて、ご案内いたします。
森と湖の街ヘルシンキ、日本では「かもめ食堂」でも人気になっています。
訪問した10月半ばは、木枯らしも吹いて寒がりの私には厳しい気候でした。
喫茶店で打ち合わせをしているうちに体が冷えてきて、終了後デパートでレッグウォーマを購入したほどでした。
その寒さの厳しいことを除けば、ヘルシンキはお店や鉄道の音楽や放送もない大変静かな街であり、人々も控えめで、日本人にも似ているようなところも感じ、とても素敵な街でした。

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2009年01月11日

「ロン・ミュエック展」

金沢21世紀美術の「ロン・ミュエック展」に行ってきました。
金沢21世紀美術は、開館の翌年の2005年度に来館者が135万人という、現代美術を扱いながら大変な集客をしている美術館として関心があり、いつか行きたいと考えていました。
そこにロン・ミュエックの「ガール」の彫刻作品を金沢21世紀美術のHPに見つけ、いてもたってもいられなくなり、昨日見学してきました。

「ガール」の画像は、こんな感じです。
http://www.kanazawa21.jp/exhibit/mueck/index.html
ロン・ミュエック展」の「ガール」の画像をみて、私の周りの人たちは10人中9人が、「気持ち悪い」と顔をゆがめました。たまらなくかわいい」と思ったのは私一人でした。

金沢は、東京と変わらず朝から暑かったのですが、さすがに21世紀美術のあるあたりは、香林坊や兼六園のちかくで、大変に緑の多い地区でしたので、すこし日陰にはいりますと木々を渡る風が心地よいのでした。
金沢の街は、観光客の方が多いと思いますが、途中いろいろな場所で、道をたずねたのですが、誰もが非常に親切に教えてくれた事に大変感激しました。帰ってきた東京駅のインフォメーションで訪ねたときの印象とは大きな違いでした。街の印象は、その街で出会った人でも印象が変わりますので、気をつけたいと思いました。

21世紀美術は、緑の芝生の中に、真っ白とガラスでできた2階建ての低層階の美術館で、円形の建物です。低層であるので、美術館といっても、見る人を威圧するような感じがありませんでした。自然の中に、そこにあるよ、という穏やかな印象でした。

丸いガラスの中から美術館の周りをぐるっと見ることができます。景観的にも大変優れた場所にありますので、ぐる、ぐると丸い建物にそって見て回ると、外の木々の緑や古い建築物が美しいいので、眺め甲斐がありました。
そして、ガラスからの眺めは、金沢21世紀美術の展示物のひとつである「プール」の下から外をのぞくような感じを受けました。美術館のガラスが「プール」の水であり、ガラスを通じて水の外の景色をみているような印象を受けました。ガラス一枚ですが、現実の景色でないものをみているような印象だったのです。建物全体が造形物、展示物であるのかもしれません。

金沢21世紀美術は有料ゾーンと無料ゾーンに分かれており、「ロン・ミュエック展」は有料(大人1000円)でした。無料ゾーンには、家族連れ、お友達と、仲間でと一人でなく、連れ立ってきている姿が目立ちました。
円形の建物にあわせて、ミュージアムショップも、案内板のスペースも円形になっていました。地下にいくエレベーターもガラス張りで、ロープで動くのではなく、ガラスの箱を油圧で上下するものでした。ガラスだけの箱ですっきりしていて、このエレベーターも美しいと思いました。

今回は「ガール」を始め7点の作品が展示されていました。たった7点ですが、ロン・ミュエックは今まで35点の作品しかつくっていません。そのうちの7点が金沢21世紀美術にきたのです。
最初は、「マスク」、ロン・ミュエック自身と思われる男性の顔。後ろは空っぽです。
最初から大きな顔(775X118X85CM)にびっくりしたというのが、本音です。無精ひげ、目を閉じた目の周りのシワの感じなど、生きているようです。皮膚の下の血管の様子なども人間そっくりで、この大きさもロン・ミュエックの作品の特徴のひとつです。
次は、「舟の中の男」(人物:高さ75CM、舟42.1X139.7X122CM)本でみていたものより「小さく」、意外な感じでした。
3つめは「マスクⅢ」(155X132X113CM)黒人女性の顔。
途中、マラガの「ロン・ミュエック展」の展示の様子をVTRで流していました。
次の作品は、「イン・ベッド」(162X650X395CM)巨大な女性がベッドに横たわった像です。ここまでは、ひとつの部屋にひとつの作品の展示。
途中、別のVTRで、作品の完成の様子を流していました。
次は、ロン・ミュエックの作品の皮膚や目や完成前の試作品などのばらばらなパーツの展示。子どもたちの中には、怖がって入ってこない子どももいました。

とうとう「ガール」(110X 502X 134.5CM)との対面です。
「ガール」は、映像でみたままに展示室に横たわっていました。口をゆがめ、薄目をあけて、足をふんばっていました。5メートルもある「ガール」を、前から、後ろから見ました。赤ん坊の皮膚感、やわらかい感じ、髪の毛のぬれたような感じ、うっすらと見える血管や体につく血、体のシワの様子、足のつめなど、なにからなにまで、ほんものそっくりでした。
5メートルの巨大なサイズが本物そっくりであることに、驚かされますが、やはり一番の魅力は、顔、特に薄目と口元です。世の中に生まれてきたばかりなのに、意思の強さを感じさせ目をしています。まだ見えないはずなのに、世の中をにらんでいるようです。
ある人々にとっては、怖い、気持ち悪いと感じさせるのは、あまりにそのまま、本物そっくりだからでしょう。
しかし、もし「ガール」が本当の赤ん坊のサイズであれば、これほどには話題にもならなかったでしょう。5メートルもあるから、さらに凄い作品ということになったとおもいますが、もし、「ガール」のちいさいフィギュアが売られていたならば、1個購入したいと思いました。
「ガール」一体で、東京から金沢までひきつける力を持っているのです。近年の代表作が「ガール」だそうですが、この厳しい21世紀の世界の大変さを「ガール」に託しているのでしょうか。

「ガール」と「野性的な男」と「寄り添う恋人たち」の3点は、大きな部屋にいっしょに展示がされていました。「野性的な男」(285X162X108CM)も大きな男性です。体毛、足の指、手の指のシワなど、その表現は緻密です。「寄り添う恋人たち」(14X 65X 35CM)は、小さい作品です。表情から疲れたような恋人たちと写りました。

ロン・ミュエックの作品は、ファイバーグラスやシリコンなどの素材で人間の身体を表現していますが、蝋人形館の蝋人形のような死んだような人形ではなく、生きているようにその表現が緻密で、体毛、皮膚感、シワ、肌の色、皮膚のしたの血管など細部に非常にこだわっています。
作品のサイズも人を驚かせます。大きい作品には、大きさで圧倒するだけでなく、その存在の意味を考えさせるなにかをもっています。
7点の作品がありましたが、「ガール」1点で、十分に満足をする展覧会でした。

金沢21世紀美術館の2007年度の入館者数は133万4,000人で、前年度より約0.4%、4,800人増だったそうですが、2008年はこの「ロン・ミュエック展」などで(開館翌年の)2005年度に記録した135万人を超えるのではないでしょうか。
「ロン・ミュエック展」は金沢以外、東京や外国からのお客様も大勢来ていると美術館の方が言っていましたので、そうなることを期待しています。
東京でも「ロン・ミュエック展」が見れることを希望しています。(館)

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2008年07月25日

芸術都市パリの100年展

   

2008.4.25~7.6 東京都美術館にて開催中

フランスといえばパリ、パリといえば芸術の都と言われ文化都市として発展をしてきました。
しかし芸術的中心地であるパリが世界で最も栄光ある絶頂期を築いたのは、1830年代のロマン派登場の時代から、パリ万博を経て、国際的に若い芸術家を集めた1930年までの100年間なのだそうです。
今年は、幕末にフランスと「日仏修好通商条約」を締結してから150周年の年にあたります。今回の展示は、日仏交流150周年を記念して、パリをテーマとした近代フランス100年の絵画、彫刻、版画、写真などを展示しています。

都市のパリの様子は、毎年のように雑誌で紹介されますから、日本人にも馴染みの景色です。それらの風景を絵画や写真で見ることができます。その風景もたった100年ほど前に作られたものだったのです。
パリには、世界中から観光客が訪れていますが、その背景には、パリの文化という香りが連綿と続いいるからでしょう。会場内にも、パリにある文化施設としての美術館や図書館などの所在を地図上に立体的に見せていましたが、文化には人を魅了する大きな力があるのだと思います。

今年は、日仏交流150周年です。ぬりえ美術館も9月30日~10月11日まで、日仏交流150周年を記念して、パリでぬりえ展を開催いたします。

今回の展示は、5章からなっていました。
1章 パリ、古きものと新しきもの ~理想の都市パリ~
1850~60年、ナポレオン3世の命を受けたオスマンによる大改造により近代都市パリが確固としたものになる様子を、パリの風景画や写真により、紹介しています。

「セーム河とサマリテーヌ浴場の眺め」アンリ・ジョゼフ・アルピニ
セーヌ河に浮かぶ煙突のある船が描かれていますが、この船は個室型の銭湯船だそうです。
風呂の習慣がないことが説明されていましたが、昔の絵の中に、このように当時の風俗が残っていて面白いと思いました。
「カルーゼル橋の再建」1936年
モータリゼーションにより橋の再建が必要になり、その建築の様子を描いたもの。ここにも時代の流れが記録されています。

パリの絵画は、余り明るい色合いで描かれていませんでしたが、モネらの印象派の登場により、絵画の色合いが明るくなっていきます。

パリの象徴は、エッフェエル塔です。日仏交流150周年のロゴマークにも、エッフェエル塔と着物がマークになっています。
このエッフェエル塔の建築の様子が、写真で紹介されています。
この中で面白い写真は、「第一プラットフォームの料理人たち」です。このような建築現場にも、料理人がいることでした。ハリウッドでは、映画の撮影に、派遣の料理人がでるそうですが、この時代のパリの建設にもこのような仕出し的な料理人がでたのでしょうか?
それとも、この時に何か記念でもあり、仕出しがでたのでしょうか。いずれにしても、食の文化もある、パリらしい写真でした。

2章「パリの市民生活の哀歓」
家族の絵を描くということも、この時代からのことだそうです。今では何気ない絵が、その当時には新しいものだったのです。

3章「パリジャンとパリジェンヌ 男と女のドラマ Ⅰ Ⅱ」
人物像を通じて、パリを紹介しています。

5章「パリから見た田園への憧れ」
ルソーの粉引き小屋など、田園の様子を描いています。

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2008年06月10日

ぬりえの活用の仕方-糖尿病患者さんのために-

NPO法人西東京臨床糖尿病研究会
理事 医療法人社団糖和会 近藤医員 堀口ハル子先生

~今、「ぬりえ」が面白い~と題しまして、堀口先生が記事をかかれました。

堀口先生は、ぬりえに関心をもって、たびたびぬりえ美術館に来館され、先日の名古屋市立大学での保育学会のシンポジウムにも参加してくださいました。
先生は、糖尿病の患者さんのために、ぬりえをしていつまでも脳を活性化して、衰えさせないでほしいという願いをもっていらっしゃいます。
それは、患者さんは、定期的な薬の服用やインスリンの自己注射、血糖値の管理を自分でしなければならないからです。そのためには、頭がしっかりしていないと大変ですね。
ぬりえの活用の仕方を、堀口先生から教えていただきました。ありがとうございました。

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2008年06月02日

「小袖 -江戸のオートクチュールー」見学

名古屋市博物館にて開催の、「小袖 -江戸のオートクチュールー」初公開松坂屋京都染織参考館の名品 開催期間 4月26日(土)~6月8日(日)を見学してきました。
http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji080426.html#top

   

今回の展示は、松坂屋京都染織参考館が所蔵しているもので、今まで公開されたことはなく、幻のコレクションと言われていたもので、今回初めて紹介されるものだそうです。
着物の全体の美しさの上に、日本の職人の技術の素晴らしさにため息がでてくる、贅沢の極致の展覧会でした。

平安時代には、十二単を貴族は着ていましたが、それは"広袖"でした。その下に来ていた下着が表着として発達して、袖口が小さいので、「小袖」と呼ばれたのだそうです。
「小袖」は江戸時代の上流の女性が身にまとった着物で、色鮮やかな絹地に刺繍をふんだんに施したり、複雑な模様を染めの技法で表現するなど、贅を尽くしたものということですが、これらは、注文者の意向を受けて作る高級衣服であり、まさにオートクチュール(高級注文服)といえるものと紹介されていました。
博物館には、圧倒的に女性の来館者で、着物をお召しになって来館される方はチケット割引サービスがあるそうで、着物姿のあでやかな女性たちも大勢来館されて、華やかでした。着物姿の女性が多いことはとても素敵なことだと思いました。

今回のテーマは、
一章:小袖もよう アートをまとう 
    四季を彩る花、樹、模様の玉手箱-身近な品々から物語まで-、憧れの名所、
二章:装いをめぐるとき-時間、季節、機会-、婚礼、夜着、外出の装い等々
三章:小袖へのまなざし 
四章:コレクション探訪
これらのテーマにそって、絞り、刺繍、金の刺繍、金摺箔、染め等の技法を凝らした美しい着物が展示されていました。

季節、季節の花が着物の上に斬新なデザインで表現され、どれもこれも凝った着物で、このようなものを見るとき、日本人に生まれてよかったなと感激する一瞬です。

千姫が所有したと言われる小袖は、「水葵模様小袖」。刺繍の水葵の中に絞りが施され、水の流れが染め残し模様で描かれ、さらに鹿の子絞りが施された大胆な意匠でした。
菊模様小袖は寛文小袖の貴重な品だそうですが、右肩に重心をおいてすそまで斜めに模様がダイナミックに入った一品でした。
模様の玉手箱では、桐、蓑笠、屋形船、茶道具、和歌の文字、古典文学等々が模様の中に取り入れられ、注文者の教養が推し量られたものだそうです。物語は、やはり「源氏物語」で、五十四帖の中から「梅に結び文様小袖」と題して、「梅枝」帖に由来する模様の小袖が展示されていました。
名所では、近江八景などが描かれ、贅沢な文様が日本の職人の素晴らしい手わざにより施されていました。

圧巻は、淀殿の小袖ですが、この着物だけは掛けるのではなく台の上におかれ、硝子ケースに覆われて、大変貴重な品物でああることが分かりました。赤い色の小袖で、幾分生地もいたんでいますが、細かな柄が丁寧に刺繍され、非常に贅を尽くしたものであることが分かりました。この作品は京都染織参考館の方でもわずかな人しか見ることのできない一品だそうです。この小袖のレプリカが後期の展示で展示されるそうです。

オートクチュールによって、技術も発展したことでしょう。素晴らしい才能の女性と、それを受ける職人の技術があって生まれた美でした。
東京での展示を願っています。

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2008年05月30日

「絵はだれでも描ける」より

「絵はだれでも描ける」より著者 谷川晃一(生活人新書 NHK出版)
貴方は絵を描くことが好きですか、苦手ですか?
小学生のときには絵で賞をもらったりしていたが、中学生時代に絵の先生から言われた一言で、絵はすっかりだめだと思い、描けないと思うようになりました。
この本「絵はだれでも描ける」は、私のように絵は苦手と考える人のために、絵の認識を新たにしてくれるものです。
著者のいう絵とは、二つあり、
①だれにでも描ける絵
②そうでない難しい絵・・・相応の技術研修がなければ描けない
例えば、ダンスにも下記のように二つあり、
バレー・・・厳しい訓練、高度な舞踏技術の習得が必要
サンバなど陽気なリズムのダンス・・・鑑賞者はいつのまにか体が動き一緒に踊りだすことがある

この本でいう「絵はだれでも描ける」でいう絵のタイプは、バレー型ではなく、どちらかといえばサンバ型の絵をいいます。
バレー型は「型」を学ぶものであり、サンバ型ははじめから型を気にしない絵であると言っています。

「絵」というとき、どうしてもバレー型の絵を考えていましたが、このように二つの捉え方があることは、新鮮な考えでしたが、ぬりえに当てはまると、ぬりえは二つの絵の考え方のうち、限りなく2のサンバ型に近い絵であると思います。

自由に描く絵の代表として児童画があるが、児童画の魅力は、開放感、無垢な魂の歌は、見るものの心を優しく癒してくれる不思議な力を持っていると評価しています。しかし、7、8歳になると本来備わっていた魅力的な絵画力は惜しいことに希薄になってしまうと嘆いています。
その原因は、絵はうまく描かなければならないという美術の一般的教育の結果の価値観に縛られているためであり、本来、創造的美術教育を行うはずの大半の美術専門の学校や大学では、目的とは逆の、型にはまった技術的教育しかしていないのは驚くべきことだと書いています。

著者の意見とは異なり、私は子供たちが絵が苦手と思わないようにするには、子供時代に学ぶ年齢にあわせて絵の描き方の技術とでもいうべき方法を身に付ける必要があるのではないかと、昔の自分を振り返って考えています。小さい頃から、子供が楽しく描き方を学ぶことができれば、絵は楽しいものということを知り、絵を描くことを続けていくようになるのではないかと思います。他の学科も同じですが、出来る様になるとその学科が好きになり、より勉強するようになるものですので、絵も描くことができるようになれば、絵が好きになると思います。


この本の中で、NHKの番組で素人の人が描けるようになる様々なテクニックを展開する「谷川晃一の自由デッサン塾」を9回開催して、参加者が絵心を蘇えらせて絵を描けるようなる経過を紹介しています。
又絵は描かなくても、別の方法で作品をつくったり、あるいは得たりすることができる方法も紹介してい
ます。

写真は写真として認識されていますが、それを「絵」としてみることは、そこに「絵」を発見していることであり、野菜や花の種の袋を額に入れてみるのは、パッケージから「絵」に変容すると言っています。
すなわち、描かなくても「切ったり」「貼ったり」「拾ったり」「集めたり」「写したり」「垂らしたり」「流したり」「投げつけたり」「穴をあけたり」「焦がしたり」「滑ったり」「押したり」いろいろな行為(技法)で制作することができると解説しているのです。
この意見には、目から鱗のアイデアでした。
線を引き、その中に何かの形をみて塗っていくことは、以前美術館の「大人のぬりえサロン」でもしたことがあるテクニックであったが、自分で線を描き、塗ることは、自分で作るぬりえだと思ったものでした。
ここで発見したことは、絵は自分で描くだけでなく、様々な技法があり、発見にもあるということです。「流したり」する方法は、千住博氏の描く滝の絵のテクニックとして使われています。

これらの考え方を代表する絵として、又だれでも描ける絵の代表として、ナイーブ・アートの様々な画家を紹介している。
アンリ・ルソーと素朴派、クロアチアの寒村の画家たち、ハイチの熱帯の絵画、ニカラグアのナイーブ・アート、タンザニアの動物画のティンガティンガなどなど。


要するに絵を描くこと、絵をものにすることは、いろいろなことを自由自在に考えて、既成概念や固定概念にとらわれずに、頭を柔軟にして楽しむことなのであると著者は纏めてまするが、ぬりえをするときにも、大人になると固定概念が強く、例えばチューリップの花は赤く、葉は緑に塗りがちである。ぬりえを通してて頭を柔軟にして欲しいとつねづね言っているので、絵もぬりえも、描くときに必要な概念は同じであると思いました。

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2008年04月01日

ターシャ・テユーダー展

   

ターシャ・テユーダー展
~絵本・ガーデニング・手作りの生活-夢を追い続ける幸せ~
会場:銀座松屋 3月31日(月)まで

ターシャ・テユーダーを知ったのは、既にファンであった知人の本からであった。昔ながらの手作りの生活、素晴らしい庭でゆったりとした時間を過ごす絵本作家というのがそのときのイメージであった。
今回の展覧会は、その知人とは別の知人から知らされたものであった。この知人は、大変花が好きな人であるのでターシャ・テユーダーが好きであることは容易に想像できたが、私の周りの中にもターシャ・テユーダーのファンが2人もいるということは、きっとこの展覧会は大人気であろうと思いながら、見学をしてきた。ターシャ・テユーダーのライフスタイルから彼女の作品や身の回りの物など、彼女の世界を紹介する
ターシャ・テユーダーの世界展である。

予想通り会場の銀座松屋は、1階からのエレベーターがすでに会場に行く女性で溢れていた。
会場は、彼女の庭のイメージをして作られた庭からスタートし、写真と彼女の長年親しんでいる食器や用具、洋服等の展示と絵本の原画の展示で構成され、最後はまた入り口より大きな庭で終了していた。
彼女の生き方が全て分かる展覧会になっている。彼女の使っているものが展示されていて、とても彼女の存在が身近に感じられる。

プロフィール
ターシャ・テユーダーは、1915年生まれの現在93歳。
ボストンに生まれ、9歳で両親が離婚。両親の友人の家に預けられる。15歳で学校をやめ一人暮らしを始める。23歳で結婚。「パンプキン・ムーン・シャイン」を出版。
30歳ニューハンプシャーの田舎に越す。4人の子どもに(2男2女)に恵まれる。
42歳「1is One」でカルデコット賞受賞。43歳離婚。
57歳更なる田舎バーモンド州の山奥で一人暮らしを始める。レジャイナメダル受賞。
87歳新作絵本「コーギービルのいちばん楽しい日」を出版
93歳現在に至る

   「毛糸をつむぐ機械」

1917年に出版した「Corgiville Fair」がベストセラーとなり、印税でバーモンド州の田舎を30万坪を購入し、自分の夢の暮らしを始める。
それは、1830年代の暮らしで、自給自足の生活を今も続けているという。家で使う蝋燭を1年分1000本、1週間をかけて作ったり、バターや石鹸を作り、庭になるりんごからはジュースを絞り、毛糸から紡いでセーターを編む。手作りは他にもあり、ぬいぐるみ、人形、マリオネット等など。ほとんどのものを手作りするというライフスタイルを紹介している。
幼い頃から花を育てたいと願っていたターシャの30万坪の庭は、毎年何千もの球根を植え続けて、完成したものだという。その庭を裸足で歩いている姿が今回のチケットやチラシに使われている。裸足という姿に、東京暮らしをしている自分は驚かされる。裸足になったのは、いつだったか思いだせないくらいである。30万坪の自然の中で生活し、裸足で歩き、好きな自給自足をして暮らしていれば、93歳まで元気なのだろうと想像がつく。
ターシャ・テユーダーの庭は、春の庭の花の優しさ、夏の緑の輝き、秋の紅葉の見事さ、冬の雪の白さ等、写真から彼女の庭の草木の香りや風の音さえも聞こえてきそうである。

絵本の原画コーナーは、87歳の時の作品の「コーギービルのいちばん楽しい日」の原画を展示。彼女と一緒に生活している犬が、イングリッシュコーギーであるが、そのコーギーの犬たちの暮らしを描いたものである。犬や猫、野鼠の動き、表情が詳細に描かれている。犬が人間のように動いているのであるが、大変可愛い物語で、犬好きにはたまらない可愛さであると思う。
「絵を描いていると、好きなように想像の世界に入れ、普段できないようなこともできるので、絵を描くことが大好き」だと彼女はいう。ターシャ・テユーダーの作品には、彼女の周りにあるものが描かれている。子どもたち、庭、犬、猫など。柔らかい線で優しい表情である。庭の草木までも、ソフトである。画材は、絵の具、色鉛筆、チャコール、ペン、鉛筆だそうで、クレヨン、クレパスは使わないそうだ。水彩の透明感がソフトな印象を作っているのかもしれない。

会場は、ターシャ・テユーダーの生き方に魅了された女性たちで一杯である。お花などガーデニングを好きな人。手作りが好きな人。絵本が好きな人。彼女のライフスタイルに憧れる人。99%女性である。
手作りをすることは現代では大変難しい、できにくい時代になってしまった。なんでも販売されているからだ。こういう時代だから、ターシャ・テユーダーのような生き方に憧れる人が多くいるのであろう。実際には、憧れて彼女のように成りたいと思っている人は大勢いるでしょうが、実際に取り組む人、続ける人は少なくて、だからターシャ・テユーダーがそのトップに輝く人になっているのだとおもう。
しかし彼女のようなことはできないが、彼女の書いた本を身近において、眺めているだけでも近づいたような気持ちにならいたいと思い集まっているのではないだろうか。すくなくとも、私はその一人である。気持ちだけでも、このようなナチュラルな生活を眺めて満足したいと思い。

ターシャ・テユーダの庭について、彼女の最近の言葉が彼女らしく、又粋であるので、これをご紹介して終わりたい。
「これからは体力が衰えたので、庭を自然に帰していく」

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2008年03月27日

銀座のメゾン・デ・ミュゼ・ド・フランス見学

銀座にフランスの美術館・博物館の情報、ギャラリー、ブティックの機能を持つ、メゾン・デ・ミュゼ・ド・フランス(MMF)というものがあるのをご存知ですか?
今年で、すでに開館5周年ということですが、初めて見学してみました。
現在5周年記念企画として、ヴェルサイユ美しき時代の物語ということで、「鏡の回廊を歩く、天井画を覗く」のタイトルでヴェルサイユの鏡の回廊を展示していました。

銀座7丁目、銀座通りを新橋方面に向かいフェラガモのブティックの角を右手に曲がり、次の角の大日本印刷のギャラリーgggの隣に、メゾン・デ・ミュゼ・ド・フランスがあります。入り口が小さいので行き過ぎないように気をつけてください。赤い看板が目印です。
1、2階はブティックになっており、フランスの美術館のミュージアムグッズを販売しています。3階がギャラリーになっています。

3階に上がってみると、ギャラリーが非常に小さいので、びっくりしました。
展示のヴェルサイユ宮殿の鏡の回廊は、約20億円をかけて修復され昨年完成したそうです。ヴェルサイユ宮殿と言えば、鏡の回廊というほど有名な場所ですね。この場所で、様々な調印式やルイ16世とマリー・アントワネットの結婚式等も執り行われ、今でも外国からの大事なお客様の歓迎に使われているという、歴史的にも大事な場所であります。

73メートルあるという回廊を、今回どのように見せているかといいますと、3D映像でした。マウスを使って、360度自由自在に天井画を見ることができます。クローズアップをすることもできます。
   
左オランダの最強の4ヶ所を一度に攻撃するように命ずるルイ14世1672年
右ルイ14世の親政1661年
天井に描かれた10の太陽王ルイ14世を称える絵をゆっくり見ることができました。自分が鳥のようになって、天井に上がっているような間隔で見ている感じでした。
現地に行っても、天井を仰ぎ見るだけで、至近距離で見ることはなかなかできません。そういう意味で、今回の展示は絵を見れりという点で、大変良い工夫だと思いました。マウスを動かし、73メートルを全部の絵を詳細に見ることができました。
この小さいギャラリーで、どのように見せるのかと心配しましたが、上手く見せていると思いました。今回の3Dの画像には大変満足しました。

メゾン・デ・ミュゼ・ド・フランスでは、ブティックのほかに、インフォメーションセンターがあり(私が訪問した日は、生憎入場できませんでした)、フランスで開催中の美術館情報などを得ることができ、講演会も開かれています。
フランスに関心がある方、フランスの美術館、博物館に関心のある方は、一度見られることをお勧めいたします。

メゾン・デ・ミュゼ・ド・フランスURL:
http://www.museesdefrance.org/top.html

投稿者 Nurie : 20:37 | コメント (0) | トラックバック

2008年03月27日

「キッズビジネスタウンいちかわ」に行ってきました。

   

子どもの頃に、○○ごっこに夢中になりましたが、子どもたちは大人たちがしていることに関心・興味を持っています。それは、今の時代でも同じです。しかし、少子化の時代になり、兄弟姉妹や友人たちともごっこ遊びをする機会も減り、バーチャルな世界での遊びが多くなりました。ところが、今、子どもたちが様々な職業を体験することに人気が集まっているのです。
市川にある千葉商科大学が6年前から、キッズビジネスタウンを開催し、子どもたちが大学に集まり様々な職業を体験し、賃金をもらい、他の店で商品を購入し、余ったお金は銀行に貯金をする等ということを体験することにより、社会のしくみを理解していくという教育プログラムのイベントを開催しています。
10時から開始で、私たちは11時に大学に着きましたが、すでに1000人を超える子だもたちが来ていて、大変な賑わいでした。おにぎり屋さんの店の宣伝に歩いたり、サンドイッチを作って販売したり、食品関係のお店は大人気だそうです。
私が事務局長をしている経営ゼミナールの代表の山本紀久雄が発表しているワンポイントレッスンをご紹介いたします。関心がございましたら、是非経営ゼミナールにご参加ください。

経営ゼミナール ワンポイントレッスン 2008年3月8日
「キッズビジネスタウンいちかわ・・・千葉商科大学視察で時代をつかむ」

世界はサブプライム問題で大揺れ、国内は日銀総裁人事、道路関連法案問題で大揺れ、そこに毎日のように事件や問題が発生し、大混乱という感を呈しています。
だが、一方、人間社会の日常生活は大きな混乱も大変化もなく、いつものように過ぎていっています。
ところが、何年か経ってみると、いつの間にか時代の変化によって、社会が大きく変化させられ、それが人間生活の日常を変えていっているのです。

その変化した社会を、まず先に受け入れるのは若者であり、子どもたちです。昔の社会を体験していない彼らは、眼前の姿だけ、現実の姿だけをもって今の社会と認識します。しかし、その現実の社会は「そうなってきた経過」があって今の姿になっているのです。
大人になって、その経緯を社会体験として学ぶことになり、改めて社会の仕組みを理解することになりますが、それらを十分理解しないままに大人になっている人も多く、それらの人に共通するのは「考える力=生きる力の不足」です。

千葉商科大学が展開している「キッズビジネスタウンいちかわ」は、この「考える力=生きる力の不足」の解決のために、大学生と子どもの共同作業で「みんなで働き、学び、遊ぶことで共に協力しながら街を運営し、ビジネスや社会の仕組みを学ぶ」という教育プログラムなのです。
仮の市場社会を学内キャンパスに構築し、そこの市民となった子どもたちが、仕事に就職し、そこで働き、収入を得て、学内の市場で消費するという体験をするのです。
その効果は様々な形で顕れます。「働くことの楽しさ、喜び、大切さ」「子どもたち同士の協調性」「食品の作り方」「流通ビジネスの仕組み」などですが、最も役立つのは、必ず発生する「予測していなかった問題への対応力養成」です。社会ではいつも想定外のことが発生し続けます。それらに対応する力を学ぶことによって、「考える力=生きる力」を子ども時代から鍛えていく機会となっているのです。

今回は第6回目、毎回回数を重ねるごとに参加者が増え、8日(土)1,189名、9日(日)1,308名、合計2,497名、前年比142%という大好評、この人数には新規のみで、リピートの再入場者数は含まれておりませんし、同行の保護者の人数もカウントされていないので、学生や学内関係者や地元の協力者などを考えますと5000名以上の人々が、この2日間に訪れたことになります。
「キッズビジネスタウンいちかわ」は時代の何かを示していますので、近い機会に、経営ゼミナールの例会として、千葉商科大学の担当教授から詳しくお伺いする予定です。

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2008年03月18日

天璋院篤姫展見学

2008年NHK大河ドラマ特別展・江戸東京博物館開館15周年記念 4月6日(日)まで開催
3月というのに今年の春は風が冷たい。少しは温かかい4日に両国の江戸東京博物館に行き見学をしてきた。
見学理由は、
一つには、山岡鉄舟研究会の代表でもあるので、幕末から明治に関心があること。
二つには、先日「ルーブル美術館展~フランス宮廷の美~」を見学したが、日本の美をみたいと思ったこと。

会場は、現在NHKで放送中ということもあり、女性の来場者が非常に多く見られたが、会場の混み具合からは、上野の東京都美術館で開催されたルーブル美術館展の方が見学者が多かったようにみえた。
篤姫展はポスター・チラシに篤姫の顔を大きく取り上げた。NHKのドラマの主人公でもあるので、人物に焦点をあてたということであろう。ルーブル美術館展では、展示物の道具、マリーアントワネットの旅行用携行品入れがポスターの取り上げられており、品物中心の展示であることがわかる。
篤姫の顔を見ると、江戸時代から明治までの激動の時代を生き抜いてきた女性だけあり、強い意志がその目と姿勢に現れていると感じた。

篤姫は、薩摩の島津家の一門の今泉島津家に生まれましたが、島津斉彬に見初められ、その波乱の人生の幕開けとなります。島津斉彬の養女となり、徳川十三代将軍徳川家定の嫁いでいく。
正式に嫁ぐまでにも、側室という立場になるかもしれないなど紆余曲折があり、3年も江戸で待たされてやっと婚礼となる。
ところが結婚してわずか1年半で、家定は死去してしまい、その後7日後に支援者である斉彬も急死。両腕をもぎ取られたように状況の中、篤姫は天璋院となり、その後の大奥を生きていく。
家定亡き後は、島津の望みの慶喜ではなく、家茂(いえもち)が十四代の将軍となり、篤姫は、力を発揮でずにいたが、家茂の後見役として、公武一和の実現に尽力をする。
しかし、家茂も21歳の若さでなくなり、孝明天皇が急死すると、天璋院の実家である島津家と嫁ぎ先である徳川家の間に亀裂が生じ、修復不可能になり、世の中は倒幕に傾斜していく。しかし実家といえども嫁に出れば婚家が家となる時代である。天璋院は徳川のため、薩摩の西郷隆盛らに働きかけ、江戸の無血開城のために尽力をしていく。
又天璋院は、徳川の存続を嘆願し、十六代家達(いえさと)の家名継承を取り付け、その重責を果たすのである。明治に入っては、天璋院は、幼い家達の養育を第一にその成長を支え、旧幕臣の精神的な後見役として、四八歳の生涯を閉じる。

この篤姫の生涯を、今回の展覧会では、手紙、日記などの資料でもって解説している。
天保六年生まれは、西暦1835年。今からたった173年前のこと。資料がよく保管されている。
・島津斉彬の画像は、明治天皇のことも描いたキヨソネが、1857年に自らが撮影した銀板写真をもとに、斉彬の親交のあった旧大名たちや斉彬付き女中たちの意見を聞いて描かれたもの。立派な顔立ちである。
・新政府軍の旗の「錦の御旗」を初めて見ることができた。
・江戸開城談判の絵 結城素明筆 慶応4年3月13日 田町の薩摩藩邸
 西郷隆盛、勝海舟の談判している図である。まさにこの時代に鉄舟は活躍した。
・勝海舟江戸開城図 川村清雄著 明治18年(1885)
 足元には、葵紋の軒丸瓦が落ち、背後に海舟を襲わんと刀を構えた人物とそれをとめようとするものが 象徴的に描かれてる。明治政府にすんなりなったわけではなく、こういう不穏な時期もあったのだと分 かる。
・勝海舟日記 巻八 明治2年 1869年 7月2日
 篤姫に薩摩藩から天璋院に三千両(援助)を送ったことを記した日記。
 天璋院は、徳川の賄いで十分であると断っている。
・明治6年3月1日には、「断髪許可証」なるものがあった。
 女性が理由なく断髪することを醜態だと禁じている。

天璋院は、明治16年(1883年)11月20日49歳で亡くなる。
・勝海舟日記 巻十七 明治16年(1883)11月12日~ 11月16日条
 天璋院の死因は、ベルツ血栓ではないかと見立てている。

二つ目の関心である日本の美であるが、もっと多くの道具類や着物などの展示があるのかと想像していたが、今回は少なく篤姫の化粧道具や貝あわせ、着物等が展示されていた。貝あわせは、黒の漆の中に金で鳳凰や葵の絵が描かれている。貝は同じものでないと会わないことから、結婚に際しての非常に大事なお道具として、興し入れの際には行列の先頭に立って、持ち運ばれるほどのものであるという。
化粧道具は、かなりの数の道具が漆塗りで作られていました。女性は、化粧道具に力をいれるのだろうか、マリーアントワネットも天璋院の道具も、かなり凝ったものである。お姫様のお道具としては、見ていて楽しいものの一つである。

今回の展覧会は、絵や着物、道具類などが少なく、華やかさはそれほどないが、歴史に沿って手紙や日記などにより具体的にその過去をたどったものになっている。
女性の人生は一人で切り開いていくことが難しく、時代的にも激動の幕末、明治の時に、波乱ではあるが強く婚家のために生き抜いた一人女性の姿を見ることができた。

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2008年03月07日

自分の周りを深く追求する大切さをバーニンガムから学ぶ!

ジョン・バーニンガム絵本原画展
大丸ミュージアム開催(1月31日~2月18日)

”ジョン・バーニンガムはイギリス人で優れた絵本作家に贈られる英国の「ケイト・ルーナウェイ賞」を2度も受賞したことがあるという絵本界の大スター”という紹介をみて、絵本原画展を見に行ってきました。
昨年ボローニャ絵本原画展を見たときに、原画と印刷物になった絵本の表紙が展示されていましたが、印刷された表紙より原画の方がずっと素敵であることを発見しました。
今回は、原画展であることも魅力となり、行ってきました。

この展示は、ジョン・バーニンガムの歩いてきた絵本の世界の軌跡をデビューから最新作まで紹介するというものでした。
ジョン・バーニンガムの描く世界は、特別なものを描くのではなく、英国の自然、自分の家族、動物等自分の周りにあるものや人を中心に描いています。
ジョン・バーニンガムのこころにあるものは、幼い頃から美しい自然の中で育まれたものであり、豊かな人生経験の中から生まれてきたもののようです。
自然の中で、動物たちと過ごした少年時代。各国を旅した青年時代。描く際のインスピレーションの原点は、経験したものの中にあります。
1969年はるなつあきふゆ
英国の四季は、日本とは違った趣があります。
春の緑、夏の黄、秋の黄金から茶、冬の雪の白を短い詩のような文章とともに表現しています。この景色からぬくもりや木々の香り、澄んだ空気、肌を刺す冷たさなどを感じ取ることができます。この作品の底辺に流れているのは、英国を愛しているという気持ちでしょう。

1984年おじいちゃん
バーニンガムの娘と祖父との実際のやりとりから生まれた絵本。ここには家族をみつめている作家の温かい目があります。誰もすわっていない椅子の表現で、おじいちゃんがなくなったことが象徴されています。

1989年 いっしょに汽車にのって
JR西日本から依頼を受けてEXPO90国際花の緑の博覧会のために作られた作品
ここでも自然、動物、友達、家族が描かれています。それらが皆一緒の楽しむことができると言っているようです。

身の回りの家族や動物をテーマに描いたバーニンガムのおおらかで温かい作品は、人々の共感を呼びやすく、その結果世界の誰からも愛されるということになっているのではないかと思います。
幸せの青い鳥を求めて、遠くにいくのではなく、幸せは近くにある。これが彼の人生哲学ではないかとおもいます。自分の周りを深く追求する大切さを教えてもらいました。

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2008年02月29日

「超・美術館革命」-金沢21世紀現代美術館の挑戦

ルーブル美術館の館長も関心をもっている美術館があるという記事をみて、この本を読んでみることにした。著者は、金沢21世紀現代美術館特任館長の蓑豊氏(角川oneテーマ21)

年間130万人、2年間で300万人もの人を集めたという美術館が、金沢21世紀現代美術館である。
従来型の美術館とはまったく別の発想によりできたものである。その発想は、現在は金沢21世紀現代美術館特任館長の蓑 豊氏の経験と発想によるところが大きい。氏はシカゴの美術館に勤務し、中国・日本美術部長、東洋部長を経験された方である。
「みせてやっている」という従来の美術館の発想ではなく、美術館は、サービス業であると考えていて、経営哲学を取り入れているというまったく新しい方針の美術館なのである。

美術館は「市民の応接間」にして欲しいと、中が見えるガラス張り、四方から自由に出入りでき、無料ゾーンがいっぱいある建物となっている。美術館は午後5時までだが、無料ゾーンは10時まで開いているという。午前9時から午後10時まで13時間営業という型破りな美術館である。
キーワードを将来ある子どもたちにしている。子どもに感動を与える美術館。美術を通して子どもたちの創造力を高め、こころを豊かにしたいと考えているという。
金沢21世紀現代美術館には誰もがしっているような作家の作品はないので、恭しく拝むような姿勢で干渉する必要はない。それだけで気が楽であり、誰が作ったのか知らない作品を相手に嬉々としてして触ったり、中に入ったりして遊び、好奇心をむきだしにして大勢の子どもたちが駆け回る。子どもたちが大勢いる点もルーブル美術館の館長をびっくりさせたという。
一番集中して見てくれ、吸収できるということで、特に小学校4年生を意識しており、4年生招待を10年間つづけるといいう。
子どもたちをキーワードにする別の理由として、美を感じる感性は、知識も教養も身分も関係ない。鋭いか鈍いかの違いがあるだけである。。その感性を育てるのが美術館であり、芸術は豊かなこころをつくり、こころの豊かな人々が平和な社会をつくると考えているからだ。
オランダの国立美術館の統計では、「子どものときに美術館に来た人は、大人になっても100%自分の子どもを美術館に連れてくる」ということが明らかになったという。
子どもたちは大切である。

金沢21世紀現代美術館の建物は、直径113メートル、周囲350メートルの円形ガラス張りの建物は、伝統の街にあっては異質の感を与える建物であるが、この建物でも話題を集めている。
この建物を設計したのは、SANNAという日本人ユニットである。彼らの設計で2010年にはルーブル美術
館の別館がランスにできるという。

最後に著者の考えている美術とは「美術は目に見えない力を与えてくれる魔法なのだ」と最後に語っている。
金沢という伝統の町に、現代美術の美術館をつくり、最初は市民にとって、違和感を感じたことであろうが、館長として著者が、サービス業という考えで経営的手腕を発揮して運営した結果、市民の憩いの場として300万人が集まる美術館となり、ルーブル美術館までが注目する美術館となったのである。
ぜひ、近いうちに、金沢21世紀現代美術館に行ってみたいと思っている。

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2008年02月28日

「ルーブル美術館展~フランス宮廷の美~」を見学して

フランス宮廷の美という魅惑的なタイトルに惹かれて東京都美術館へ向かいました。フランスといえば「文化」であり、宮廷といえば「お姫様の世界」であり、そのいずれも期待させ、女性ならずとも、行ってみたくなるという展覧会でした。想像のとおりに、北風が強い今年一番の寒さという日にも関わらず、上野駅を降りてから、会場である東京都美術館へ向かう女性たちの群れがありました。

今回の展示は、ルイ15世の寵愛を受けたポンパドール婦人とルイ16世の王妃マリー・アントワネットの時代の宮廷の栄華がテーマの展覧会でした。この18世のフランスの宮廷において、歴代でも最も洗練された文化が花開いた時代でしたが、それは、ポンパドール婦人とマリー・アントワネットらの、美を愛する女性たちの影響が大であり、お抱えの職人たちが、彼女たちのためにロココ様式、新古典主義の様を展開しました。

今回の「フランス宮廷の美」では、机、椅子などの家具、ソース入れ、塩入れ、テリーヌ容器などの食器、たばこ入れ、時計、燭台などのインテリアなどが展示されていました。そして、展覧会の締めくくりは、マリーアントワネットの旅行用携帯品入れの展示でした。
宮廷の美といえば、ヨーロッパのお城には歴代の王、王妃の豪華な装飾品の展示がされていますので、ダイアモンドなどの王冠やネックレスなどの装飾品をイメージしていまました。ところが今回の宮廷の美では、身に付ける上述のようなアクセサリーなどではなく、タバコ入れやポプリ入れ、食器類の展示でした。
期待とは幾分違いましたが、家具、食器、インテリアのそれぞれの作品が華やかな装飾に彩られて、二人の美意識の高い女性のために、高価な材料と高度な技術力が駆使された、美しい作品でした。

私たちがフランスに描くイメージは、ベルサイユ宮殿が華々しかった18世紀のフランス文化にあるのではないかと思いますが、特にロココ様式の装飾様式は、まさにフランスのエレガンスであると思います。
マリーアントワネットは、お母さんであるマリーテレジアの影響で、日本の漆器が大好きだったそうですが、お嫁入りするときにすでに50点の漆器を持参したそうです。今回の展示品の中で、素敵な作品と思ったもは、日本の漆器をつかったものでした。その漆器を使ってブロンズなどで装飾したあずまや形蒔絵の置物や蒔絵の水差しなどは、漆器のフランス風アレンジですが、まったく別物で漆器ではないようでした。
蒔絵は日本でもかなり華やかなイメージのものであると思いますが、フランスに渡るとブロンズなどでさらに装飾が施されて、華やかさの二乗も三乗にもなるのでした。
ロココ様式には、植物や海の生物などがモチーフとして良く使われて、葡萄、貝、ざりがに、アーティチョーク、アモール(天使)などが使われて、日本の蒔絵の植物の絵に加えられる具象の面白さを感じました。

日本のお姫様の櫛、簪、化粧道具などと比較すると、日本の工芸の技術でも自然の植物、生物などをよく使いますが、日本の工芸のほうがより繊細で、自然にちかいのではないかと思います。フランスのほうはより装飾的であるとおもいました。

マリーアントワネットの使った旅行用携行品入れは、マリーアントワネットのお気に入りで、国外に逃亡するためにもう一つ制作を依頼していたほどお気に入りのものだったそうですが、オーストラリアの国境近くで捉えれれた王妃の最後の品であり、展示品の最後にもってきてその悲劇性を物語っていました。そのトランクはチラシなどで見て想像していたものより、実物はかなり大きなトランクで、実際に使っていた王妃のことがしのばれました。


ルイ15世の寵愛を受けたポンパドール婦人とルイ16世の王妃マリー・アントワネットの時代の宮廷の美に特化した今回の展覧会はテーマが絞られ大変見やすいものでした。
パリのルーブル美術館では、非常に大きな美術館であるので、良く地図をみて、理解して進まないと、大変な広さであるので、見たいところに行き着くことがむずかしいこともありました。
このような機会を活用して、美術館に足を運ばれることをお勧めいたします。

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2008年02月14日

日本の「ぼーぼーあたま」の発祥の地を訪ねる

世界で初めての絵本は、1844年にドイツ、フランクフルトの医師ハインリッヒ・ホフマンが自分の息子のために書いた「もじゃもじゃペーター」です。
日本語版の「もじゃもじゃペーター」は、千葉県御宿にありました。
1月のまだ寒い日ではありましたが、展示がある御宿歴史民族資料館に行ってきました。

御宿駅は、小さい可愛い駅でした。なんだか子ども時代に戻ったような懐かしさを感じました。駅前は、椰子の木の並木があり、南の国にでも行ったようです。今は人がいませんが、夏になると賑わうことでしょう。

駅から徒歩5分ほどのところに、御宿歴史民族資料館があります。この中に、日本語版の
「もじゃもじゃペーター」の発祥の歴史があるのです。
日本語版では、タイトルが「ぼーぼーあたま」となっていました。
この資料館は、ふるさと創生の時に作られたもので、この中には御宿の民具、海女の道具などの展示、五輪文庫といい明治時代からの教科書の収蔵の展示、そして「ぼーぼーあたま」の展示で構成されています。

ドイツでは、1844年に作られましたが、日本語版は、1936年御宿出身の伊藤康二氏が海軍造兵中尉としてドレスデン工科大学に留学中に、子供向けの本として何がよいか
ドイツの婦人に訪ねたところこの「ぼーぼーあたま」を薦められ、甥たちのために翻訳して送ったものだそうです。その後ご自分の息子さんが3歳になったときに、出版することになったものです。

<ヒットラーをぼーぼーあたまになぞらえた本も出版されているのが面白いですね。>

日本語版の発祥も、ハインリッヒ・ホフマンと同じように自分の息子のために書いたものであることに不思議な因縁を感じました。

初版は、1936年、1980年には再版され、第三版はフランクフルトアルトマイン市の「もじゃもじゃペーター博物館」と五輪文庫の姉妹提携を記念して刊行されています。
このフランクフルとの「もじゃもじゃペーター博物館」のことは、3月に訪問する予定ですので、その際にご報告をしたいと思います。

*尚、絵本の発祥については私の著書「ぬりえ文化」の120ページにかかれておりますので、ご参照願います。


  

御宿は、「ぼーぼーあたま」のほかに、月の沙漠の童謡が生まれたところでもあります。
浜辺には、駱駝に乗った王子様とお姫様の像と月の沙漠記念館があり、作者の加藤まさをの生涯ならびに作品を知ることができます。
月の沙漠といわれるように、海岸の浜は美しい白い砂浜が砂丘にように広く、長く続いており、詩が生まれた背景を感じることができました。子どもの頃に歌ったすこし寂しい月の沙漠の歌を口ずさまずにはいれませんでした。

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2008年01月24日

川崎大師にぬりえ出現!


川崎大師は毎年大勢の初詣の人が訪れます。今年は3番目、287万人もの初詣の方が訪れたそうです。

その川崎大師の本堂の柱に、びっくりすることに、カラーの色も鮮やかに「ぬりえ彩色仏画」と書かれていたのです。お寺様にぬりえが現れたのです。

日本でも3位になるほどの川崎大師様のこと、さすがに世の中の変化、動き(時流)をご存知でした。

写経のように、古くから写仏というものもありますが、なぜ「ぬりえ」なのでしょうか。
川崎大師でも、毎年救世観写仏会をされているそうです。とこらが写仏は筆を使って描くのだそうです。筆、鉛筆さえも使わない現代、筆での写仏はなかなかむ難しいものではあります。
そこで、今はぬりえがブームになっていることに注目をされて、ぬりえの仏画が生まれたのだそうです。
ぬりえであれば、子どもから大人まで幅広くご信徒の方が親しめ、又画材も色鉛筆、絵の具など自由であり、多くの方々に仏様を身近に感じていいただけるというものですネ。

この「ぬりえ彩色仏画」の目的ですが、平成19年に開創880年を迎えるに当たり、記念事業として平成20年11月に薬師殿を開設することになったそうです。その薬師殿には、薬師如来とその眷属である十二神将を奉祀されるそうですが、その十二神将のお姿は、極彩色に彩られており、夫々が干支に配当されその守護神となっているそうです。
このことから、「ぬりえ彩色仏画」を平成19年11月から、干支の順に付録として「川崎大師だより」につけるとともに、ご信徒の方々に1枚、百円で頒布されているそうです。

「ぬりえ彩色仏画」は、お願いを込めて彩色した後、川崎大師にお納めしていただくことになっているそうです。


私が子どもの頃には、お寺にいきますとお釈迦様の絵本などがあったものです。最近そのようなものをみかけなくなりましたが、小さい子どもさんにとっては、仏様、お寺、仏教に馴染むために、ぬりえを通じてするということはとても良いものではないでしょうか。
塗るという時間の中で、その仏様の意味を覚えたり、形を覚えたり、必ずや子ども心にも記憶に残っていくものでなないかと考えます。

川崎大師以外の神社仏閣は、まだぬりえをしていないと思いますが、これが知られることになりますと、追随してくる神社仏閣があるかもしれません。今後に期待したいと思います。

尚、この件を川崎大師にお問い合わせをしてみた際、非常に親切にお電話で応対をしていただき、さらに郵便でも回答書を送っていただきました。
お礼に訪問をしましたところお、忙しいにも関わらず、面会してくださいまして、大変丁寧な応対をしていただきました。大変ありがとうございました。

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2008年01月21日

杉本博司展

昨日まで、銀座小柳ギャラリーで杉本博司展が開催されていました。
今回は、大型のアメリカの大劇場のモノクロ写真の展示でした。
作品のコメントは、映像が”美しい”という一言でいうしかなく、恥ずかしい。
しかし、美しいのです。なぜ劇場が美しいのか。劇場も美しい建造物であるのでしょうが、やはり杉本博司の写真が美しいのだと思いました。

杉本博司の写真は、千住博の「美は時を超える」の本の中で、蝋人形の歴史上の人物を映した作品が掲載されていて、そこで名前を知りました。その写真はまるで本物の人物を映したかのようにリアリティーのある写真でした。
その後、折に触れて海外に行くたびに杉本博司の写真展に遭遇しました。それはパリのカルティエの現代美術財団であり、ニューヨークのジャパンソサエティーであったりでした。
パリのカルティエの現代美術財の美術館で初めて本物の作品に出会ったのですが、その作品はネジなどの工具や円錐形などの形を撮ったものでありました。
そこでも美しさにびっくりさせられたのでした。美しいネジなど想像もつきませんでしたし、考えもしなかったのですが、ネジにうっとりさせられてしまったのです。
写真のテクニックなどはわからりませんが、どこまでもきめ細かな滑らかな肌のような写真とでもいうのでしょうか、エロティックな写真表面を感じを受けました。
その後のニューヨークのジャパンソサエティーの作品展では、動くはずのない水辺の写真の映像の中に、水が動いているような錯覚も感じました。そこまで写真が迫ってくるということなのでしょう。
そして、2年ぶりに今回東京でまた杉本博司を見ることができました。
大型サイズにすることは大変な技術を要するようですが、そのきめ細かさ、美しさに変わりなく、気品のある作品をみせてもらいました。

投稿者 Nurie : 19:01 | コメント (0) | トラックバック

2008年01月13日

本日から美術館が始まりました。

本日12日より、美術館が始まりました。あいにくの雪でも降りそうな大変寒い氷雨の一日でございましたが、雨降って地固まると思いまして、今年もぬりえを追求して参ります。
先日の9日(水)に東京新聞ならびに中日新聞の「50歳プラスを生きる」というコーナーに「懐かしい思い出 ぬり絵を文化に」というタイトルで、館長の私の第二の人生につきまして、どうしてぬりえ美術館を開館することになったか、そのきっかけから今日までの展開、ならびにぬりえを文化にしていくという今後の抱負などが書かれた記事が掲載されました。

開館して6年目に入りますが、まだまだ知名度もありませんし、大変なことばかりですが、誰もしていないことだけに、新雪を踏むようなもので、私の足跡しか残らない新しい道を歩ませていただいていますので、それには大きな心の満足があります。
ぬりえという素晴らしいライフワークを伯父からもらったことに感謝をしております。
そのためにも、ぬりえを文化にしていきたいと心から願っております。

さて、この記事の中に、毎月第三の木曜日に開催しております「大人のぬりえサロン」の様子が写真掲載されていました。この「大人のぬりえサロン」へのお問い合わせも数多くいただきました。ありがとうございました。
思い立ったがいいチャンスですので、ぬりえというものは、子どものころにしたことのあるものですので、スケッチをしなさいと言われても、誰もができるものではありませんが、ぬりえはその点入りやすいものです。どうぞ「大人のぬりえサロン」にご参加ください。
1月は17日の木曜日の1:30~3:30です。参加費は1回、1500円です。

今年は、新しい取り組みがいくつか始まります。
2月には、フェリス女子学院大学において、学生のために1日ぬりえの講座を開催いたします。
3月の企画展では、新しいぬりえの形態をご紹介したいと考えております。内容は順次準備が整い次第ご紹介していきたいと思っております。
5月には、名古屋市立大学において、保育学会シンポジウムが開かれ、そこで「保育におけるぬり絵の意義を見直す(仮称)」と題しまして、子どものぬりえのシンポジウムが開催されます。今までに無かった子どものぬりえの検討ですので、期待をしているところです。
6月は、ぬりえ美術館以外でぬりえ講座が1ヶ月開催される予定です。
この合間をぬいましていくつかの国を訪れて調査をする予定で、今年もぬりえ文化の旅を続けてまいります。

どうぞ今年もよろしくよろしくお願いいたします。

投稿者 Nurie : 19:31 | コメント (0) | トラックバック

2008年01月12日

今年の御礼を申し上げます。

本年度の開館は、12月24日(月)で終了いたしました。
今年も大勢の方のご来館をいただきまして、大変ありがとうございました。

美術館におきましては、3月の企画展「きせかえ展」、8月のぬりえ美術館5周年企画「コマーシャルに使われたきいち展」を開催いたしました。

美術館の外では、3月に浅草寺の仏教文化講座(第616回)ならびに、清和会でぬりえ文化について講演をいたしました。

7月は、「国際ぬりえシンポジウム」を共催し、ぬりえの文化的な面、医療的、脳的な面、これからのぬりえのあり方について、意見交換をさせていただき、ぬりえのこれからの明るい未来を感じました。

8月には第二回JOMO夏休み全国ぬりえコンテストが開催され、審査委員をさせていただき、想像を超える優秀な作品に刺激されました。

11月にはドイツの南西部の都市カールスルーエ市において、ぬりえ展を開催し、街の人々に見ていただくとともに、ぬりえコンテストの開催、「ぬりえ文化その歴史的背景」「ぬりえと脳について」の講演をいたしました。まだ「ぬりえは子どものするもの」という認識がある中、講演を聞いた方の中には、共感、理解をしていただきました。
情報発信を続ける必要性、理解の可能性を感じましたので、これからもぬりえ文化の旅をつづけていくことを決意いたしました。

12月21日に海外5カ国のぬりえの状況~稚園の訪問、先生や親へのインタビューとアンケート調査、出版社及び関連施設訪問、取材~から、各国のぬりえ文化を鋭く分析し、解説した「ぬりえを旅する」を出版いたしました。5カ国とは、アメリカ、チリ、ロシア、イタリア、ベトナムです。それぞれの国のぬりえについての認識には、驚かされることも・・・ぜひご一読をお願いいたします。

新年は、1月12日(土)から開館いたします。
08年度も従来にない新しいぬりえの取り組みを考えております。これからも皆様のご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

今年もお世話様になりました。
どうぞ良いお年をお迎えください

投稿者 Nurie : 18:32 | コメント (0) | トラックバック

2007年12月25日

ハウス・オブ・シセイドウの展覧会見学

久々に銀座のギャラリーに立ち寄って見ました。
ちょうど銀座では、「プロムナード銀座2007」と称して、10月21日(日)から11月4日(日)まで、銀座の各通りが競って様々な催しを開催しています。
銀座の中で、ゆっくり銀ブラをできるところは、並木通りではないでしょうか。歩道が綺麗に整備されているので、車を心配せずにウィンドーショッピングをしながら、歩くことができ、銀座通りほど交通も激しくなく、並木の緑もあり、大変落ち着いた雰囲気がある通りと思っています。

並木通りの中ほどに、資生堂の「ハウス・オブ・シセイドウ」というギャラリーがあります。大きなショーウィンドーの両サイドに、ガラスの大きな自動ドアがあり、ここが入り口です。
企画展の入り口左手には、映画館の切符を切るような受付があり、右の通路の壁面が銀座をテーマにした映画の写真が飾られています。奥には、ミニにシアターが設けられていました。
今回の「スクリーンのなかの銀座」では、映画に描かれた銀座の魅力を探りながら、並木座を取り上げ、並木座のパンフレットや大女優の田中絹代さんにまつわる品々等を展示していました。


今回の展覧会で、銀座に集まる映画館、ギャラリー、メゾンが集まっている、最先端の流行や文化を発信する「劇場都市」と銀座を捉えています。
銀座は、日本を代表する都市であるわけですが、それは今に始まったことではなく、展示されていました映画の写真によれば、戦前から銀座は特別の都市であったことが分かります。

1936年(昭和11年)「銀座ラプソディー」藤山一郎
1938年(昭和13年)「愛より愛へ」高峰三枝子、高杉早苗
1930年代は、モダンガール、モダンボーイが生まれて銀座を闊歩した時代であり、その中の一人にぬりえ作家のきいちがいた訳ですから、当時から文化の先端であった訳です。
その後は、
1949年(昭和24年)「銀座カンカン娘」高峰秀子、笠置シズ子
1951年(昭和26年)「銀座化粧」田中絹代、香川京子
1953年(昭和28年)「君の名は」佐田啓二、岸恵子
数奇屋橋の後ろに、日劇の建物が写っていました。一世を風靡した映画ですが、二人が出会った場所は銀座だったのですね。これが、銀座でなく、下町であったら、やはりドラマにはならなかったのでしょう。

1953年(昭和28年)「東京物語」原節子、笠智衆、 東山千恵子、
1955年(昭和30年)「あした来る人」月岡夢路、三橋達也
1955年(昭和30年)「銀座ニ十四帖」河津清三郎、月岡夢路
1957年(昭和32年)「夜の蝶」京マチ子、山本富士子
1958年(昭和33年)「親不孝通り」川口浩、野添ひとみ
1960年(昭和35年)「女が階段を上がるとき」高峰秀子、森雅之
1960年(昭和35年)「秋立ちぬ」乙羽信子、大沢健三郎
1962年(昭和37年)「銀座の恋の物語」石原裕次郎、浅丘ルリ子

銀座をテーマに名作が幾つも作られており、上映当時に一時代を築いたり、時代を象徴した映画が作られていました。
これらの映画が上映されたとき、私自身は子どもでしたので、後になって「東京物語」、「女が階段を上がるのとき」などを見ました。「東京物語」は、昭和の時間の流れがゆっくりであり、せりふの中に相手を思いやるこころを感じましたが、すでにあの映画の頃から日本の社会は変わり始めたのだろうか、その兆しがあったのだと感じました。
今でも、昭和30年代に想いを馳せる人々が多いという表れでしょう。11月から「AIWAYS 3丁目の夕日」の続編が放映されるそうです。
映画を代表するのはたった一枚の白黒の写真でしたが、懐かしい世界に引き込まれてしまいました。

2階に上がる階段は、クラシックな装飾がデザインされた手すりが、落ち着いた印象を与えます。2階のフロアでは、並木座のパンフレットの展示とパンフレット原稿や俳優さんのサイン色紙などの展示、ならびに、当時の女優をつかって女性美を表現していた花椿誌が展示されていました。
また田中絹代さんの愛蔵の品の、着物、鏡台、アクセサリー、台本等が展示されていました。夏の着物でしたが、田中絹代さんが大変小柄な女性であることが分かりました。「弟」に出演されていた田中絹代さんを思い出しましたが、老いを恐れず、年配になってからも映画に出演された大女優だと思います。

銀座を昔の映画から振り返る今回の展覧会は、自分の知らない時代の輝かしい銀座を知ることができました。
11月25日(日)まで、この展覧会は開催されていますので、銀ブラのついでに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

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2007年10月31日

連れ立っての来館者が多くなりました

10月になり、天候が安定したからでしょうか、連れ立って見える方が多くなりました。
14日の日曜日には、4人姉妹で、ご両親と息子さんと3人で、同級生と二人で等、グループでの来館者が続きました。
4人姉妹さんは、お顔を覚えていましたので、「以前にもいらしていただいて」とお声をかけたところ、3度目の来館でした。今日は4姉妹で来ましたと、早速ぬりえ体験コーナーに座られて、皆様でぬりえが始まりました。一気に、子どもの頃に戻ることができるようでした。

ご両親と息子さんと3人で来館された方は、息子さんの家に遊びにいらして、どこか遊びにいく場所を探していたところ、「明日の友」に都電沿線の旅案内(たまさか紀行)を見つけ、ぬりえ美術館に来てくださったそうです。お母様が、きいちのぬりえを見て、「やさしいお顔で、気持ちが安らぎます」と一生懸命にぬりえや着せ替えをみていらっしゃいました。

同級生お二人と見えた方は、昔話が弾んで止まらないようでした。そのうちのお一人は、幼稚園をされているそうで、子どもたちのために、きいちのぬりえを購入されていきました。子どもたちがぬりえをすると大変集中力がつき、落ち着いてきますので、ぜひ幼稚園でぬりえをしてくださいとお話をしました。

同じ時代を経験している方たち同士では、同じ思いを共感できるのですが、その共感のきっかけをぬりえから貰って、そこから記憶の糸がほぐれて、さらに深い思いをお互いに共有することができるようです。
忘れていたような記憶が湧き出てくるかのように、話がつきることがありません。

秋のすがすがしい一日、ぬりえを通じて、昔を振り返ってみてはいかがでしょうか。

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2007年10月14日

「ジブリの絵職人 男鹿和男展」を見学してきました


東京都現代美術館で開催中の「ジブリの絵職人 男鹿和男展~トトロの森を描いた人~」を見学してきました。
江東区にある東京都現代美術館へは、半蔵門線の清澄白河駅で下車し、深川資料館通りを通っていきました。実りの秋を象徴するかのように、深川資料館通りは、「案山子(かかし)」のコンテストが開催されていました。お店や学生さんたちによる手作りの案山子が、歩道に展示され、通行人の笑顔をさそっていました。街の活性化を図る意欲が伝わってきました。駅から美術館までの道は、ずっとアリのように人の列が続いていました。

「案山子コンテスト作品」
東京都現代美術館は、ガラスとスチールと石で造られたモダンな建物です。
スタジオジブリのアニメ作品の中でも、「となりのトトロ」は私も大好きな作品であったこと、アニメの原画展なので、いわゆる絵画の展覧会とちがう点でぬりえに共通する部分があるのではないかということから、展覧会に行ってみました。

何故「となりのトトロ」が好きかと言うと、やはり懐かしい日本の自然が描かれているということです。私が子どもの頃行ったことのある、祖母の生まれ育った田舎を思い出させる景色が、ストーリーとあいまって、心に深く残っているからでした。
今回の展示は、3部構成で、1章は、背景:テレビから映画へ、2章は、投影:ジブリ作品に想いを映す、3章は、反映:映画を離れてとなっており、それぞれの時代の作品の原画が展示されました。

「一章背景:テレビから映画へ」
男鹿さんは、「はじめ人間ギャートルズ」「あしたのジョー2」などテレビのアニメの背景画からスタートされていました。知らずに男鹿さんの作品を見ていたということになります。
「夏服の少女たち」の作品で展示された背景画は、まるで写真ではないかと間違えるほどの緻密さで描かれていました。その時代にあった景色が、こういうものがあったヮと思わず声をでてしまうような絵が描かれていました。
大変感心したものが「時空の旅人」の作品に展示されていました。描く前に美術に関する構成、設定を解説するものが展示されていたのです。「安土城天守閣内部」がどのようになっているか、地下1階から6階部分までをフロアごとに誰の部屋か、広さは、どのような素材でできているか、飾られている絵は何か。その絵の参考は、参考図書の何番の図であるかということが書かれていました。
絵を描くために、リサーチして背景を作り上げていくその詳細な資料があって、初めてすぐれた背景ができるということがよく分かりました。

「二章投影:ジブリ作品に想いを映す」では、数々のジブリ作品が展示されました。
男鹿さんの自然を描く才能は、「となりのトトロ」で花開いたそうですが、雨上がりの水溜りの田舎道や夕立が来そうな畑の景色など、遠い昔の子どもの頃に見た景色がそのままに描かれていて、何でもない景色ですが、こころにすーっと入ってきて感動しました。
男鹿さんの描写力について、「写真ではないですか」と言った人がいると解説にありましたが、そのようにおもった方は沢山いるのではないでしょうか。
しかしその男鹿さんにも反省があって、あまりに詳細に背景を描きすぎて反省したという言葉を「おもいでぽろぽろ」では語っているそうです。

「三章、反映:映画を離れて」
ジブリを退職してからの、書籍の挿絵や表紙、女優吉永小百合さんの原爆詩の朗読会「第二楽章」シリーズの為の挿絵などの作品を展示していました。

    
作品点数600点と、かなりの点数が展示されています。それぞれの好きなアニメがあるのでしょう、人気のアニメの原画の前では人だかりが多くなっていました。
展示が終わると大きな背景画が3点ほど展示されていて、それは写真撮影ができるので、
家族やお友達同士で、写真撮影会が賑やかに行われていました。
来館者の年齢は夏休みも終わっていましたので、大学生、社会人が中心で、見学を終えて出口をでますと20分待ちの入館制限をしていました。「前回は70分待ちだった」と後ろの男性が言っていましたので、20分でも短い方だったようで、今回の展覧会が好評であることが分かりました。

男鹿さんは、「頭の中を写生するように描くという感じ方をしている人」と宮崎駿監督がおっしゃているように自然を描かせたら素晴らしく、自然と昭和30年代の景色や空気感が来館者の心にアピールしているのではないかと思いました。

マンガ、アニメがソフトパワーとして人気になって、今回のようにアニメの原画が美術館でも開催されるようになりました。日本のアニメ人気をこのような方々が支えているのです。その素晴らしさ、仕事の大変さをこの展覧会で感じることができました。

アニメといいますと、完成された映像だけに目がいきますが、アニメの原画も実は絵なのです。原画の力を直に感じとることができます。これからも、アニメの原画展が様々な場所で開催されるようになると思います。
ぬりえもアニメの原画と同じように、絵ではなく塗るものとは思われているので、絵としては見られていませんでした。
とこらが考えてみますと、ぬりえもやはり絵なのです。きいちでなければ描き出すことができなかった、少女の憧れや昭和30年代の景色を見ていただければと思います。

きいちのぬりえは、日本を代表するぬりえとして、今年の11月からはドイツのカールスルーエ市にて、そして来年9月からはパリでぬりえ展を開催し、日本にはこのようなぬりえ文化があったということ情報発信をしたいと思っています。
アニメの原画とぬりえの絵、描かれた昭和30年代等いくつかの共通点を感じた男鹿和男展でした。

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2007年09月12日

悠仁さま,1歳の誕生日

6日に秋篠宮ご夫妻の長男、悠仁さまが1歳の誕生日を迎えられた。
お誕生日のお健やかなで愛らしいお姿を拝見いたしました。
テレビで、世界の子どもたちの写真集を眺めていらっしゃる映像が流れましたが、「絵本が好きで、自分でページをめくり、終わりまでくると裏表紙まで眺め、また同じように何度も開いて楽しまれている」という報道もされました。
悠仁さまはぬりえをしているのでしょうか。子どもの本能には、絵を描くがありますから、まだ錯画の段階かもしれませんが、ぬりえを塗っているかもしれません。
ぬりえが絵本のように話題に上るように、ぬりえ文化を成熟させていきたいと思っています。

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2007年09月06日

東京のど真ん中に地下農場が!

   
(左)水耕栽培のトマト (右)棚田(田植えをしていました)

昨日、地下にあるという農場(畑)、パソO2を見学してきました。場所は、大手町です。新丸ビルにも近い東京の中心地です。その場所は、銀行の金庫跡を地下農場にしたものだそうで、人材派遣会社のパソナが運営しているものでした。
畑は、6つの部屋からなり、花、ハーブ、稲、野菜(水耕トマト)、野菜(土)、21世紀型植物栽培で構成されていました。

硝子張りの入り口で、ドアの開閉ボタンをプッシュすると扉が開き、畑というよりは、近代的な工場のような感じでした。
お部屋がそれほど大きくありませんし、部屋ごとに区切られていますので、開放感はありませんし、畑も小さいので、畑という印象派うすいのですが、やはり地下にあるということの驚かされます。地下で植物が美しい緑色を輝かせて、生きているのです。空気は良く、野菜や植物の香りがして、大変気持ちが爽やかになりました。

この地下農場は、パソナという人材派遣会社がしているものですから、目的は、農業を知ってもらい、関心を高めてもらうものということでした。関心をもってもらい、農業に就業なり、農業の雇用創出というために作った場所でした。
ですから、この場所で作られた野菜は量は多くありません。出来た野菜は、来場者の試食ならびに社員さんの残業食などに使われるそうです。
農場内にある部屋が、社員の食堂にもなっていて、この場所で試食の野菜などが振舞われます。
サラダ菜をゴマドレッシングでいただきましたが、瑞々しくて、美味しかったです。
この地下農場は、すでに2005年からできているそうですが、1日80人ほどの来場者があるそうです。
近未来的な都会のオアシスかも知れません。

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2007年08月31日

ヴラティスラヴァ絵本原画展 2.

2部 の日本人の出展作品も、同様な展示の方法でした。
様々なテーストの作品が出展されていたことがわかります。プロの作家さんたちですし、すでに絵本も刊行されている方々ですから、入賞するかしないかは、本当に微差でしかないのかなと思いました。
長谷川義史氏の「いってきまーす どこどこどこ」は、絵探し絵本というもので、絵本の中に描かれた絵から人物や物を探す絵本でしたが、マンガチックな絵と画面いっぱいにこれでもかと描かれた人物や物が面白く、実際に絵本を読んでみたかったのですが、すでに子供たちが読んでいて、残念ながら読むことができませんでした。

青山邦彦氏の「ドワーフじいさんのいえづくり」の原画は、大変緻密に描かれたものでした。印刷はそのままに表現されるのですが、やはり原画は原画の魅力があり、肉筆の感じが胸に迫ってきます。やはり原画をみれることは魅力的なものですね。
なりたさとこ氏の「チリとチリリ」は、色鉛筆がの優しいタッチが登場人物のチリとチリリを大変うまく表現していると思いました。文章もご自分で作っているようで、他にもシリーズがでているようなので、読んでみたくなりました。

3部のチェコの昔の絵本の展示は、民族性を感じる絵本が70余冊ほど展示されていました。
「チェコは、オーストラリア・ハンガリー帝国の圧制のもとにドイツ語を強要されていた19世紀に、民族復活運動の高まりによりチェコ語による創作が活発化して、子供たちに母国語で語り始めたものだそうです。第一次世界大戦の後に、300年の時を経て、独立を果たし、チェコの絵本の黄金時代になっていきます。
わらべ歌、動物、昆虫を素材にして素朴でゆかいな物語などを子供たちに提示しました。
第二次世界大戦の気配が漂いはじめると自国の文化、歴史に心の支えを求める活動が芽生え始め、ナチス占領下の危機的な状況の中で、民族的な叙情的な作品が手がけられた」と解説されていました。

自分の国の文化、歴史は、こころのよりどころと書かれていましたが、このことは大変重要なことです。文化を大切に、そこに個性を表現して、これからも、日本の絵本作家の方々には、いい作品を作っていただきたいと思います。

絵本は、世界的に原画展が開催され、そこで活躍する日本人作家の方が大勢います。
日本の現代のぬりえの世界は、アニメに代表されていますので、独自でぬりえを作ろうという空気は今はまだありません。
マンガ、アニメ、絵本についで、21世紀のぬりえを作る作家がでてくることを願っています。

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2007年08月29日

ヴラティスラヴァ絵本原画展見学 1.

世界の絵本がやってきた
ヴラティスラヴァ絵本原画展

まだ残暑が続いていますが、早起きして、埼玉県のうらわ美術館に行ってきました。
うらわ美術館は、とても変わったところにありました。どこにあるかというと、ホテルの中なのです。
天井の高いホテルの入り口を入ると、広い空間にとても気持ちがよくなりました暑いところを、美術館はどこかなと探しながら行きましたので、ホテルの中は広くて、涼しくて、「さあ、絵本の原画をみてみよう!」という元気な気持ちになりました。
美術館はホテルの3階フロアでした、

絵本の原画展は、このヴラティスラヴァ絵本原画展とボローニャの絵本原画展が有名で、絵本の世界では、日本人の絵本作家のかたも沢山賞を取るなど活躍をされています。
この2つの原画展の違いを、カタログでは、以下のように解説しています。
「ヴラティスラヴァ絵本原画展(BIB)の選考対象が絵本として実際に刊行された原画に限っていることである。これにより、BIB展はベテラン絵本画家のコンクール、ボローニャ展をプロの絵本画家への登竜門」という違いがあるそうです。
今回は、このうちのヴラティスラヴァ絵本原画展を見学です。


入り口には、スロバキィヤの国を地図などで紹介して、それから作品の展示が始まりました。3部構成で、1部は、2005年の展覧会受賞作品の展示、2部は日本人作家のBIB展に出品された作品の展示。3部は、チェコの戦前から戦後の絵本・児童書の展示からなっていました。

1部、2部とも原画が壁面に、そして刊行された本がフロアの中心に置かれて、読めるようになっていました。本を読めることは素晴らしいと思いました。
BIB展では、グランプリ、金のりんご賞、金牌賞などの順位があります。
グランプリには、イランの”マリ・レザ・ゴルドゥジャン”の「黒鉛筆と赤鉛筆」、「穴のあいた靴下」でした。2作品のイメージはまったく違いますが、一つ、一つの色が複雑な色合いになっていて、素晴らしいものでした。時に「穴のあいた靴下」は靴下の色と絵が可愛いので、絵葉書を買ってしまいました。
金のりんご賞のハン・ビョンホ氏の「鳥になりたい」は、白、黒、グレーを中心にした色彩で大変スマートだと思いました。同じく金のりんご賞のリュボスラウ・バリョ氏の「1+1=2」は、動物の色彩が多色使いで素敵でした。金牌賞のカルル・クヌート氏の「悪女フリート」は、人物の動物の顔が個性的で、澄んだ色合いがお洒落な絵でした。金牌賞の酒井駒子氏の「金曜日の砂糖ちゃん」は、どこかで見たことがある少女の顔に、すでに著名な方だということが分かりました。黒の使い方が特徴的でした。


BIB2005は、48カ国、2966点の作品の中から選ばれたものですが、グランプリ以外にも賞をとった人たちは、デンマーク、ポーランド、スペイン、ベルギー、フランス、スロヴァキアのヨーロッパの国々と、カナダ、韓国、日本の人たちと多彩です。
世界がグローバルになっていますので、今回の第1部の作品をみても、作者の国を言い当てることはできないくらいに、それほど国の独自性は感じませんでした。
前回のグランプリは日本人の出久根育さんでしたが、この作品にも日本の匂いをかぐことができませんでした。もうそのようなことは問題ではないく作品が大事ということだと思いました。
ボローニャ絵本原画展は、プロの絵本作家への登竜門ということですから、昨年見たのですが、こらの方が作家の出身国を感じとることができました。
選ばれた作品数が一人2点の本で、受賞者は、11人ですから、展示もすっきりして大変見やすく、ゆっくり絵本も読むことができました。

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2007年08月29日

庭園美術館「舞台芸術の世界」展

今年の夏は、酷暑、猛暑、熱暑など夏の暑さを表現する言葉が様々作られていますが、そんな中、22日(火)に白金の庭園美術館に行ってきました。
庭園美術館は、門に足をいれただけで幾分涼しさに包まれるような白金の緑の中の美術館です。
現在開催中の展覧会は、「舞台芸術の世界-ディアギレフのロシア・バレエと舞台デザイン-」と題して、ロシアのバレエ・リュスの衣装デザイン画や舞台デザイン画を中心に190点余りの作品が展示されていました。

今回は、1990年~1945年における演劇、オペラ、ダンスのためのロシア・デザインということで、纏められていました。
今回の作品は、アールデコ調の庭園美術館にぴったりの展覧会でした。
オリエンタルなイメージの衣装や舞台デザインが数々展開されていましたが、まるでその時代に戻ったかのように錯覚させるほど、建造物に似合っていました。
一番お気に入りの作品は、ジョルジェ・パルビエの「ワツラフ・ニジンスキー」版画集でした。ニジンスキーの体の線、背景にある装飾など、20余年ほど前に同じ庭園美術館で見たビアズレーの展覧会を思い出させますが、線の美しさに魅了されました。1枚この中の絵を飾っておきたいなと思ったほどです。
レオン・バクストのデザインが奇抜で色彩的に目にも鮮やかで、印象に残りました。
バレエ・リュスはヨーロッパのファッションにも大変な影響を与えたそうですが、オリエンタリズムの衣装が非常にエキゾチックであり、このような衣装のバレエや演劇が人々を、異空間に誘って流行となったことが容易に想像できました。

デザイン画の展覧会は、衣装のデザイや舞台のデザイン画というものが、当時の衣装や舞台を知るということだけでなく、芸術としても価値があるということを拝見して、同じ紙文化のぬりえとして考えてみると、50年後、60年後にはきいちのぬりえも同様に芸術性のあるものとなる時代がくるかもしれないという可能性を感じました。

この展覧会は、9月17日(月)まで庭園美術館で開催され、その後は9月29日(土)~10月28日(日)まで、青森県立美術館で開催される予定です。

*尚、庭園美術館では、「赤い靴のバレリーナ/ダイヤ柄のアルルカン」割引といって、赤い靴(パンプス、スニーカー、サンダルなど何でもOK)もしくはダイヤ柄(菱形模様)のついた服装で来館すると、団体料金になるそうですよ。 

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2007年08月22日

8月19日(日)子どもたちが集合


   

       
   
今年の夏は異常な暑さが続きました。昨日、1日だけでしたが涼しくてほっと一息されたことと思います。
今日は夏休みもあと残りわずかになってきたということで、子どもさんが大勢来館してくれました。

ぬりえにきせかえと、知らない子どもたち同士が一緒になって楽しんでくれました。
新潟から「ずっと一度ぬりえ美術館に行きたい」と、一人でおばあちゃんの家に残って、今日来てくれた小学3年生の女の子。おばあちゃんもぬりえが好きだったそうですので、その血を受け継いだのでしょうか。
このお嬢さんのように、今日はおばあちゃんと一緒という組み合わせの方たちが沢山来館されました。
ぬりえならおばあちゃんと一緒にお話ができますし、一緒に楽しむことができますね。
おばあちゃんには、沢山昔の話をお孫さんにしてほしいと思います。
そして、ぬりえを楽しむ子どもたちを、”ほめてあげてください”。

小さい子どもたちが、30分でも1時間でも”集中”してする遊びは、そうないとおもいますが、ぬりえはすぐに集中できるものです。集中ができると落ち着いてきます。
集中することは、将来の勉強や仕事に大変必要なことです。ですから、小さい時から集中するということを、身に着けることは重要なことですね。
ぜひぬりえをしていたら、ほめてあげて、続けるようにしてほしいと思います。

今日の美術館のぬりえやきせかえの体験が、夏休みのいい思い出になりますように願っています。

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2007年08月19日

第1回 国際ぬりえシンポジウム報告 3

二日目は、「ぬり絵市民公開講座」と題して、一般の方々にぬりえの魅力を伝える講演が行われました。
・ 古賀良彦先生 … ぬりえは脳の活性化によい
・ 広住道夫先生 … ぬりえは心のケアに有効なツールである
・ 金子     … ぬりえは心を元気にする。自分探しの旅として使われているのではないか。
ぬりえは脳の活性化に寄与し、それは「楽しい」という情動を引き起こすものであるということ、更には、自分探しの方法の一つとしてぬりえが人気になっているのではないかと、具体的な例を示していただきながら紹介されました。

その結果、ぬりえの極意は…
「ぬりえは、様々なシーンで、私たちの心をゆさぶるものだ!」ということです。

これは、先の先生方のお話をまとめあげる形で、高田明和先生のお話の中から飛び出した言葉です。
人間の意識はすべて脳の中の活動に過ぎません。しかし、その中でこんなにも豊かな「心」が宿ることは、とても神秘的で不思議なことだと感じます。そして、ぬりえはその豊かな心を醸成するとてもよい材料になるのです。

*****

ぬりえはとても大きなパワーを秘めています。それは私たちの心をゆさぶる強大なパワーです。
このことは、脳の活性化や心のケアなどの面から大変重要なことで、かつ、必要なことであるということを、今回のシンポジウムで確認することができました。
ぬりえを日本発の文化として日本ならびに世界に紹介していくことの重要性と必要性をあらためて認識し、同時にこのような機会が得られたことに深く感謝いたします。
今回を第1回目として、今後も継続してぬりえの研究、シンポジウムが開催されて、ぬりえの発展に寄与していくことを願っております。

投稿者 Nurie : 18:32 | コメント (0) | トラックバック

2007年07月24日

第1回 国際ぬりえシンポジウム報告 2

シンポジウム2「ぬりえの科学」
次のセッションは、脳科学や精神医学の専門家、いわゆるお医者様によるぬりえが脳にもたらす効用についての講演でした。
ぬりえは脳を活性化させることが、古賀良彦先生をはじめとする専門家の方々の研究によって実証されました。

展示室には、脳の活性をコンピュータで画像化できる装置を持ち込み、一般の来場者にその場でぬりえをしていただき、脳がどのように活性化するのかをデモンストレーションいたしました。
その結果、ぬりえを始めてわずかな時間で脳のいろいろな部位が活性化するのを目の当たりにしました。これだけ脳のいろいろな部位が活性を帯びるのは、ぬりえをぬる行為に特徴的なことなのだそうです。同じ被験者に、ぬりえをぬっていただいたあと、ぬりえをぬるようにただ手を前後に動かすだけの運動をしていただいても、脳の活性は見られませんでした。
このことは、ぬりえをぬるという行為が、大変総合的な作業であることを示しているのだそうです。
1原画と下絵を見る→2原画の色や形を記憶する→3紙の感触や全体の構成を見たり、バランスをコントロールする→4どうぬるかプランニングする→5ぬる
実際ぬりえはこのようなプロセスを経てぬっており、この課程において脳の活動部位があちこちにあるため、結果として全体が活性化するのだそうです。

ぬりえは脳を活性化させることが、科学的に証明されたわけです。

鼎談「ぬりえと芸術」
一日目の最後のセッションは、大学で美術の教鞭をとっていらっしゃる先生方に、教育者の立場から、また、アーティストとしての視点から、ぬりえについてディスカッション形式で発表をされました。
その中で、日比野克彦先生は、アーティストの発想として、ぬりえは単なる「作業」に過ぎない行為だと、今まで思いこんでおられたそうです。しかし今回、コンテストの審査員を務められたりする中で、ぬりえには多分にクリエイティブな要素が含まれていることを実感されたそうです。
先生のお言葉を借りると、ぬりえには「ほどよい抽象性」があるのだそうです。これは、与えられた輪郭線という制約の中で、一般の人にも無理のない範囲でオリジナリティが発揮できるゆとりが残されているということを意味しているように思われます。そして、そのオリジナリティを発揮できるのは「色」です。
また、色は時間を飛び越えることができる、ということにも言及されておられました。無心に色を塗ることは、時間を忘れ、無我の境地に至ることができるということでしょうか。高齢者にぬりえが有用なのは、このことが作用しているのかもしれません。時間を忘れ、若かった青春の1ページに飛び込むことができる。色は、私たちにそのような機能をもたらしてくれるのです。

一日目のセッションは、ぬりえを文化、科学、芸術の側面から考察する大変充実した内容のものでした。ぬりえが持つ機能と背景、そして、ぬりえを文化に昇華させていくことの意義を、あらためて見出したセッションでした。

投稿者 Nurie : 18:30 | コメント (0) | トラックバック

2007年07月24日

第1回 国際ぬりえシンポジウム報告 1

去る7月15日(日)・16日(祝)両日、記念すべき「第1回 国際ぬり絵シンポジウム」が開催されました。
参加の講師の方々の講演を拝聴した感想を含め、シンポジウムの様子を皆様にご報告いたします。

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当日は季節外れの台風がやってくる真っ最中。大丈夫? 開催できるの? とハラハラいたしましたが、盛会の内に無事終了することができました。

初めてとなる今回のシンポジウムは、一日目はシンポジウムとして各界の専門家の方々による講演とディスカッション、二日目は一般の皆様に広く開放し、ぬりえの魅力をお伝えする市民公開講座でした。また、2日間を通じて、ぬりえに関する書籍やグッズの展示販売や、ぬりえ体験コーナーにてぬりえを楽しんでいただくスペースも設け、国際的なぬりえのイベントとしてふさわしいものでした。

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一日目 国際ぬり絵シンポジウム
一日目のセッションは、全体を3部構成とし、それらを「文化」「科学」「芸術」の側面から、それぞれ各分野の専門家の方々の講演とディスカッションという形式で進行されました。

シンポジウム1「ぬりえを文化に」
最初のセッションは、ぬりえの文化的側面にスポットを当てた講演とディスカッションです。
まずは館長・金子が講演いたしました。
日本のぬりえの発祥から、現在はどのように利用されているか、また、世界ではどうかということについて、金子の研究家結果を発表いたしました。現在世界中で高い評価を受けている日本文化にぬりえをどのように位置づけていくかということについて考察し、ぬりえもまた日本発の文化として世界を制することのできる可能性があることをお話しました。
そのためには、ぬりえが文化として成熟し、と同時に世界に通用するぬりえ作家や研修者が輩出されていくことが欠かせません。そうなったときに、日本のぬりえがマンガやアニメのように、世界中に普及していくことでしょう。
続いて、ぬりえ作家のあきやまみみこさんが、高齢者向けのぬりえ本を出版するいきさつや、実際に高齢者施設に伺ってのぬりえ体験を話されました。
ぬりえは高齢者にとって、昔を懐古する大変有用なツールであること、ぬりえをぬることによって高齢者の顔がみるみるいきいきとしてくるという体験を話され、深く胸を打たれました。
このお話から、ぬりえは日本の文化を次の世代へ、また、日本の文化を知らない外国へ伝える大変有用なツールとして活用できるということを示唆しているように思われます。
このセッションの最後は、日本画家の山崎宏さんによるぬりえの特徴についての考察でした。
日本のぬりえの特徴は、輪郭線をはっきり描いているということ。これは、伝統的な日本画の手法通りのもので、このことはさらに日本のマンガやアニメにも通じているということなのです。そしてこれは、日本人の持つ「等価」という思想を表しているとも話されました。描かれているすべての素材が、すべて等しい価値のもとに置かれているというのは、世界の絵画に類を見ない特徴なのだそうです。

ぬりえが日本の文化のルーツと同根であること、また文化を伝承するツールとして有用であること、そして日本の文化として世界に発信するに足る価値を持つものであることを、各界の専門家の方々によって確認することができました。

投稿者 staff : 10:30 | コメント (0) | トラックバック

2007年07月24日

相模原市東林地区福祉協議会の方が視察研修に来館

7月5日、相模原市東林地区福祉協議会の方々22名が来館されました。
東林地区福祉協議会では、地区にお住まいの一人暮らしの高齢者の方々をお招きして、定期的にサロンを開催されているそうです。
その活動の一環としてぬりえを取り入れたいということで、その際の留意点、高齢者にあった素材、使用する画材などについて研修をしに見えました。

皆様には、下記の点などをご案内いたしました。

1.ぬりえの絵の線がはっきり見えるものがよい。
2.なじみがある又はなじめるものがよい。
  ① 人物の顔
  ② 花
  ③ 思い出や昔につながるもの、好きなもの(趣味)の絵など。
3.絵のサイズ
  細かい絵がぬり易いように適度な大きさがあるとよい。
4.用具
  色鉛筆、水彩、顔料(絵手紙などの絵の具)、これは何を使っても結構です。
5.慣れてきたら、人物を塗るときには、背景も塗ってあげると、人物がさらに生き生きとなってきますの で 背景を塗ることも大事です。
6.一度塗った絵に、もっと色を重ねていきます。
  色を重ねていきますと、色鉛筆の場合には、印刷した絵のような仕上がりになります。
  素敵な出来栄えになってきます。又1枚の絵で2度楽しめることになります。ぜひトライしてみてくださ  い。

大人のぬりえが認知症予防に効果的であるということで、真剣に取り組んでいただけるようになっている団体もあるということを、今回の相模原市東林地区福祉協議会の皆様の来館で実感いたしました。大変嬉しく思っています。
人間の体は加齢により、老いていきますが、頭脳の方は刺激をして、訓練を続けることにより、幾つになっても活性化をしていくと言われています。
しかも脳の活性化には、難しいことをするのではなく、簡単なことを続けることがよいと言われています。
ぬりえは、取り組みやすいですから、何方でも簡単に塗っていただけるものだとおもいます。
更に、ぬりえは色を使います。色は直接、嬉しい、楽しい、悲しいという感情に影響を与えるそうですから、明るい色を使っていると、心も元気になっていくものと思います。
高齢者の方々にぬりえを楽しんでいただき、いつまでも頭脳も心も元気になっていただきたいと思います。

相模原市東林地区福祉協議会の皆様方、ご来館ありがとうございました。
地区の高齢者の方々がぬりえを楽しまれることを願っております。

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2007年07月07日

世界ぬりえ大会

7月15、16日に開催される世界ぬりえ大会の第一次のぬりえの審査が昨日実施されました。
幼児から97歳の高齢者のまで、又世界からの作品を含めて895点の応募がございました。
年齢別にわけて、佳作とグランプリを選びました。

審査委員長は日比野克彦先生(東京芸術大学美術学部先端芸術表現科助教授)、審査副委員の古賀良彦先生(杏林大学医学部精神神経科教授であり国際ぬりえシンポジウム運営委員長)と私、そして審査員の山崎宏先生(日本画家、文星芸術大学美術学部講師)の4人で、それぞれの部門のぬりえの中で、自分が「この作品!」と思う作品に、印をつけていき、選んでいきました。これはと思う、素晴らしい作品が残っていきました。
海外の作品は国の個性がでていますので、大変興味深いものでした。色使い、塗り方、描き方、暖かい感じ、クールな感じ、可愛い感じ、強い感じなど、国の特徴のようなものがありました。
耳が不自由な方の作品では、大変モダンで個性的なぬりえがあり、絵の意味をずっと考えたくなりました。
高齢者の方も、最近の大人のぬりえの人気からか、数多く応募がございました。
難しいのではと思うような作品に、ご高齢の方々がチャレンジされていて、本当に驚かされますとともに、大人のぬりえ人気は単なるブームではないのだなと実感しました。

ぜひ京王プラザホテルにお遊びにいらして、作品をご覧ください。開催当日も、ぬりえ作品を応募できますので、会場でぬりえを塗って、応募してみてください。

尚、16日(月)には、ぬり絵市民公開講座にて、講演会が開催されます。無料ですので、こちらにも是非お出かけくださいませ。
私の講演は、11時40分頃から12時頃までの予定です。お待ちしています。

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2007年07月05日

Masa's Collectionのご案内


Masa's Collectionでは、館長である私個人の所蔵品を展示するコーナーです。
6月からのMasa's Collectionは、Serge Lutance (セルジュ・ルタンス)の「赤いバラの精」を展示しています。
フランス人であるセルジュ・ルタンスは、1980年代より資生堂のイメージクリエータとして、海外メーキャップ商品作りから、その宣伝イメージ制作までを担当した神様のようなアーティストです。

私はぬりえ美術館を始める前に、資生堂で海外向けの商品開発担当をしていました。資生堂がセルジュ・ルタンスと契約をし、宣伝イメージとともに海外製品のメーキャップの商品開発も担当することになり、私は1981年から5年間ほどセルジュ・ルタンスと一緒に仕事をしました。
1981年の4月からパリでセルジュ・ルタンスとのメーキャップ商品作りが始まり、その後、秋冬、春夏向けの商品のために、年2回6月、12月とパリで打ち合わせをしました。

この「赤い薔薇の精」は、オリジナルはポスターで1981年に作られたものですが、この年のクリスマスカードとしてセルジュ・ルタンスからサイン入りで送られたものです。
モデルは山口小夜子さんです。薔薇の棘がついた腕は作られたものではないかと思います。薔薇の棘のアイデアに、黒のレースを使ったデザイン、色彩、薔薇をイメージさせるポーズなどの構成が素晴らしく、大変好きな作品です。これがルタンスの世界なのです。

長い間、クリスマスカードとして保管していましたが、セルジュ・ルタンスのイメージで額装をしてみました。黒のベルベットの生地をマットにし、漆のような艶のある黒の額を取り合わせてみました。ルタンスの世界を創造できたのではないかと思っております。
画像が余り良くありませんので、ぜひ美術館に見にいらして下さい。
ルタンスファンの方もどうぞお待ちしています。

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2007年06月28日

画家の眼

ゴールデンウィークも終わり、館内は少し静かになりました。美術館には、常時200枚近くのぬりえが展示されています。ぬりえの少女の顔や体つきは大きな顔に、パッチリした眼と三、四頭身のきいちの独特のバランスですが、展示の200枚がそれぞれ違ったぬりえが描かれています。
いつも、どうしてこのように沢山描けたのだろうかと思っています。
きいちはぬりえを描いている頃、毎月80枚ほどのぬりえを描いていました。毎週、二軒の版元(いわゆるメーカー)からぬりえが発売されました。一袋には8枚(8枚時代が、紙のとり都合から一番ながかったそうです)ですから、ぬりえだけで、8枚×4週間×二軒の版元=64枚 袋の表紙絵が1枚×4週間×二軒の版元=16枚 合計80枚となる訳です。)このぬりえを20年ほど描き続けています。
机に向ってぬりえを描くときは、対象に困らず、悩まないでスラスラと描けたと言っています。
どうしてそのように、スラスラ描けたのか、絵心のない私はずっと不思議に思っていました。

ある人から伺った話では、画家の眼はカメラのシャッターのようになっていて、映像が頭に残っていると聞いたこともあります。また頭に映像を残すときに、スケッチするものがないときは、指で自分の腿の上にスケッチするように描いて記憶を残すとおっしゃたのは、人形作家の与勇輝さんでした。
きいちの眼もそのようになっていたのかしらと思いました。

そして、最近読んだ本から、日本画家の上村敦之画伯が、次のようにいっているのを発見しました。上村敦之画伯は花鳥画を描く日本画の第一人者であり、家には上野動物園の鳥の種類よりも多く鳥を飼っているそうです。
鳥を飼っているけれど、鳥を見たからといって絵が描けるということではないそうなおです。
「本来の絵の目的というのは、自分が抱いた美しい世界を、イメージを描くわけですから」とおっしゃています。まずイメージが日本画では大事なものなのだというのです。
すなわち、見たものを描くのは、画面の中に再現するだけであり、絵ではないおっしゃています。

きいちも日本画を勉強しました。
きいちの毎月80枚もの少女は、毎日、毎日観察していて、そのなかから自分のイメージの少女、理想の少女をはっきり持っていた人であるから、描けたのだと少し自分の疑問が解けたのでした。

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2007年05月14日

夏休みも終わって

夏休みも終わり、9月がスタートしました。
このところ、NYの展覧会の準備で大忙しのため、ブログの記事もなかなか書くことができませんでした。夏を振り返って、すこし最近の様子をご報告いたします。
夏といいますと暑さのため、来館者数は春よりずっと少なくなります。今年もその傾向がありますが、様々なメディアに取り上げられていることと、大人のぬりえが話題になっていることから、徐々に来館者数は増加してきています。8月末現在で累計前年比153%、単月の前年比では、8月は186%(よっぽど昨年は暑くて、来館者がすくなかったのかしら?)小学生の来館者数は、380%という実績でした。
皆様、ご来館ありがとうございました。

年齢構成比は、開館以来変わらず、40代~60代が60%、20代~30代が30%、子どもさんは10%です。地元より、遠くからでも来館されるということも、開館以来変わりません。4年前の開館時の新聞記事などを切り抜いてもっていて、やっと来れたという方も数々いらっしゃいます。
東京にあることから、都内版に掲載されることが多いのですが、かつて月に100万部も売れていたぬりえです。全国にはまだまだぬりえ美術館をご存じない方々が沢山いらして、昔のぬりえの存在を探している方がいるかもしてません。これからも、全国のぬりえファンのために、新聞、雑誌の取材には対応をして、ぬりえの認知を高めていきたいと思っています。

さて、今年は、大人のぬりえが流行ということがあるために、ご高齢の方が娘さんと一緒に来館するということが見られたことが従来との違いです。年配者も堂々とぬりえをしても良い、何かすることの一つとして、ぬりえというものができて良かったと思っています。これが今年の一番の収穫ではないかと思います。また来館できなくても、娘さんや息子さんがお母さんのために購入していくということも数多くあります。
年配者の方たちとお話をしていますと、「大人のぬりえ」をしているようですが、最初は長い間絵を描いていないので、どんな色でぬったらいいかわからないようで、見本が欲しいという声を聞きます。きいち世代に遊んだ方々は、充分にぬりえの遊び方を知っていますから、すぐに自由に自分の好きな色で塗りますが、その方々の母親世代は、そう自由には描けないようです。何でも好きにしていいよといわれても、それが難しいということもあるのですね。

子どもたちの世代では、夏休みの美術館見学で、来館されたり、研究項目としてぬりえを選ぶという子どもたちが毎年一人、二人ほどいます。なかなかぬりえの資料がないので、研究課題にすることは大変ですが、これからももっと多くの子どもたちがぬりえに関心をもって、学んでくれると嬉しいと思います。

リアルタイムにきいちで遊んだ方々は、美術館に入ったとたんに、「懐かしい!」という歓声を上げます。しかし20代、30代の方々は、遊んだことがないのにも係わらず、コメントする言葉は「懐かしい」と表現されます。何故懐かしいのかなと考えますと、一つには「三丁目の夕日」などの映画やテレビドラマ、新聞、雑誌などにおいて、昭和30年代の景色を見ているので、そこに通じるものがあり、レトロなものとして、「懐かしい」という表現をするのではないかと思います。またもう一つは、「きいちのぬりえ」はぬったことがないが、自分の子ども時代に流行していたぬりえをしているので、ぬりえの感覚は知って、覚えているわけです。そこに戻って「懐かしい」という声を上げるのではないかと思います。

ぬりえ体験コーナーも大変な人気で最近では、ぬりえの本が塗られて直ぐに1冊が終わってしまうほどに多くの方々に塗っていただいています。現在では、皆様に塗っていただいた本は38冊にもなっています。20代、30代の方々の作品では、ぬりえの下絵にはないものを描きこんだり、「お待ちどうさま~」や「ああ涼しい」などぬりえの少女の言葉のように会話が描いてあったり、少女の背景を描きこんだりしています。これはマンガやアニメを充分に見て育ってきたからではないかと思いますが、とても面白く拝見しています。
夏休みは終わりましたが、秋は美術館めぐりなどにも最適な季節。ぜひ、ぬりえ美術館でぬりえの展示をみて、体験コーナーで1枚でも2枚でも塗って、ぬりえを楽しんでほしいと願っています。

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2006年09月02日

7月30日の館長室から

前回の館長室からでは、夏休みに入って子どもさんの来館が増えてきたお話をお伝えしましたが、30日は、99歳と94歳の方が来館されました。これは、きっと大人のぬりえ人気のお蔭です。

お二人とも娘さんがご一緒に来館されました。
99歳の方はお孫さんからきいちのぬりをプレゼントされ、それを生きがいのようにして1日2枚くらいぬりえをされているそうです。それをみてご家族の方も嬉しく暮らせるようないましたとお嬢様が明るくお話をされました。体を支えるための車を押しているとはいえ、99歳の来館に感激しました。その方の元気の秘密のひとつにぬりえがあるということをお聞きして、さらに嬉しくなりました。
この方のあとに、やはり娘さんに連れられて94歳のお母さんが来館されました。この方もやはりぬりえをされているそうですが、お花のぬりえをされているとのことでした。

きいちのぬりえは、少女がやさしく、その顔をみているだけでも気持ちがいいものですし、ぬりえの線がはっきりしていますので、塗りやすいので、高齢の方にもぴったりのぬりえだと思います。8月にはまた新しいぬりえが発売されますので、ぜひチャレンジして欲しいと思います。

お二人の来館は、大人のぬりえが流行っていることの証明でもありますが、ぜひ、これからもぬりえを続けて100歳までも長生きしていただきたいと願っております。

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2006年08月01日

夏休みで子どもたちが多数来館

夏休みにはいりましたので、子どもたちの来館が増えてきました。お母さんと一緒はもちろんのこと、お父さんやおじいちゃんとくる子どもたちもが多くなりました。おじいちゃんにとっても、お孫さんはとっても可愛いので、夏休みに遊びに来てくれたお孫さんが喜ぶようなことをして上げたいと思っているようです。
子どもたちを見ていますと、ぬりえができるので、展示を見ることよりもずっとぬりえをすることの方を喜んでいます。見るより早く、ぬりえ体験コーナーに座って、好きな絵を選んで塗っていきます。

さて、子どもたちがぬりえをする効用として、色彩感覚、集中力、情緒をやしなうことなどが、日本、ドイツ、フランスからのアンケート調査でも上げられています。(ぬりえ文化より)
そして観察力について言えば、絵を描くとき、対象を観察しないと描けないので、観察をしていくうちに、何かに気づいていきます。それが美しさの発見であったり、様々な色合いの変化であったり、対象物の動きであったりもします。
そのことがわかってくると子どもは一段と観察に熱心になっていきます。観察が熱心になると、より詳しい表現となっていきます。こうなるとリズムが出てきます。
見る(観察)→描く(表現)→知る(認識)の三段階です。
この過程を繰り返すことは、大変重要なことです。実は、大人になって仕事に就いたとき、その仕事に対したとき何が必要な能力かというと、「観察力」なのです。与えられた職務の内容に対して観察する力が必要になってくるのです。
観察力が薄いとその仕事への理解は少なくなり、結局、仕事の成果は芳しくないということになっていきます。
ですから、子ども時代に絵に親しむことが、大人になって仕事で成功するポイントになっているのですから、子どもの絵は大事です。

先日、この観察力に関して、まさにそうなのだということがありました。おじいちゃんの家に遊びにくると必ずぬりえ美術館に遊びに来てくれるAちゃんがいます。いま5歳の幼稚園児です。昨年からぬりえ美術館に遊びにきますが、Aちゃんは現代のぬりえにはそれほど関心を示さなかったようですが、「きいちのぬりえ」を見つけてから夢中になってぬりえをするようになったそうです。おじいちゃんの家に来る度に美術館に来ては、1、2枚のぬりえをしていきます。
ぬりえ美術館には、来館者が塗られた本が、テーブルに置かれて自由に他の方が見れるようになっています。Aちゃんは、他の本をみて、先日あることを発見しました。濃く塗る部分と薄く塗る部分があると素敵に見えるということを見つけたのです。他の方が、そのように塗っていたのでしょう。
そこで、早速そのテクニックを使って、大きなリボンを塗ってみました。今までの自分の絵と少し違って見えます。新しいテクニックを体得したのです。
それを見ていて、私は本当に感動しました。やはりぬりえをしていると、観察力がでてくるということです。
そして、この日、Aちゃんは、私のためにプレゼントを用意していてくれました。プレゼントは絵でした。A4の紙に、お母さん、Aちゃん、妹さん、そして、ぬりえ美術館の館長さんが描かれていました。ちゃんとヘアスタイルは短いヘアに描かれていました。
そのA4の紙は、きれいに折られていて、折られた面にすべて違う模様が描かれていました。素敵なアイデアに、このプレゼントにも感心してしまいました。とても嬉しかったです。

子供が絵を描くことは大事なことですから、絵を嫌いにならないように、大人は励まし、褒めて上げることが大事だと思います。大人でも褒められると悪い気はしません。子どもならなおさらです。きっともっと喜んでやることと思います。
ぬりえには、何も間違いはありません。どんな色でぬったり、はみ出したりしても、だんだん成長して、観察力がついてくると、上達してきます。ですから、自由にのびのびとぬりえをしてもらいたいと願っています。

どうぞ夏の一日、ぬりえ美術館の体験コーナーで観察力と集中力に磨きをかけてみませんか。お待ちしています。(館)

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2006年07月29日

プライスコレクション若冲と江戸絵画展見学記

今回の展覧会はアメリカの実業家、ジョープライス氏(76)が集めた江戸時代の個性派絵師の絵を展示したものです。
作品は、伊藤若冲を中心に、丸山応挙、長沢芦雪、森狙仙、酒井抱一、鈴木其一、曽我蕭白など、プライス氏が自分の好きになった絵、美しいと思った絵を集めたもので、
1章正統派絵画、2章京の画家、3章エキセントリック、4章江戸の画家、5章江戸琳派
にわけて構成してあります。

開催期間:06年7月4日(火)~8月27日(日)
会場:国立博物館・平成館
会場アクセス:JR上野駅 徒歩10分
料金:一般1300円 大学・高校生 900円 中学生以下無料

今回のコレクションは、1953年、プライス氏の卒業記念に若冲の「葡萄図」」などを購入したのがきっかけで、18世紀~19世紀の江戸時代のものを収集し始め、その後、悦子夫人と結婚して、近年は、桃山時代、明治時代の作品にまでコレクションの幅を広げているそうです。

若冲の印象というと、精巧に描かれた鳳凰のような鶏を思い出す人が多いことと思いますが、私もその個性的な印象に惹かれて今回の展覧会に足を運びました。
初日に見学したのですが、それほど込んでなく、ゆっくり見ることができました。
今回は、展示された作品が江戸時代の著名な絵画を集めたということでなく、個人のコレクションであるという点で、大変面白い作品が集められているということに感激しました。もし、これが日本であれば、有名になっていただろうか、展示をされただろうかというような印象をもった作品が多かったからです。
例えば達磨と遊女がさかさまな格好をした姿など、思わず笑ってしまったのですが、このようなテーマまでコレクションに入っていました。この作品は氏がコレクションしなければ、見られなかったのではないかと思いました。
そのような意味で、個人コレクションは、その人の目、審美眼で集められているものですが、従来の展覧会にはない面白さを感じました。癖があるかもしれませんが、その癖が好きであれば、病み付きになるというようなものです。

展示
1章では、墨絵というと中国の山水のイメージから、墨の線という印象が強かったのですが、墨絵の新しい印象持つことができました。墨絵にも様々な色がだせる。色を感じたのでした。
2章では、円山応挙の孫の応震の麦稲図屏風の麦と稲の風になびくようすに軽快なリズム
、音楽を感じました。また撫子に蜻蛉図では、繊細な細い葉の撫子に、軽やかな蜻蛉の飛んでいる絵に、日本の秋の儚い美しさを感じました。
3章では、若冲の絵に堪能し、特にタイルのような升目(86000個)に動物を描いた屏風が強烈な印象です。プライス氏は、この絵をご自身のお風呂場に作ったそうですが、なんと羨ましいことでしょうか。
4章では、江戸の文化は、歌舞伎と遊郭を中心とした都市文化ということで、浮世絵の美人画が多くみられました。この中のひとつに、先ほどお伝えした達磨と遊女の絵があります。
5章では、屏風の作品を展示していましたが、京の町屋の玄関に屏風を飾っておくには、人目をひくものが注目されたそうです。私は、鈴木其一の貝図に注目。貝の産毛の質感までが感じらました。

お勧めのポイント
なんといっても、ガラスケースなしで、光を変えて展示作品を見られることです。
私の美術館でもそうですが、照明は一定です。しかし、今回の展覧会では、昔は自然光(日光、月光)や蝋燭の灯りで鑑賞をされていたのだからと、プライス氏の絵画、日本画の見方への強い要望で、光が明るくなったり、暗くなったり変わるのです。そうすると、展示されている作品が、動くように、変化するのです。

今回の展覧会では、個人コレクションの意味を感じました。そしてその個人の「「見方」「切り口」というものが非常に大事ということが分かりました。プライス氏の見方、選定によって、従来の日本の美術展覧会とは違ったものが選ばれていたと感じたからです。
また同じものをみても、それをどのような見方、切り口で表すかということによって、新しく感じたり、古く見えたりするのです。
ぬりえも明治の昔からあるものです。今の「大人のぬりえ」の人気は、従来の見方を変えたから、新鮮で話題になっているのではないでしょうか。
これからも、ぬりえをいつも新鮮にみられるような見方、切り口を提案できるように、考え続けていきたいと思います。

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2006年07月17日

ドイツ・フランスぬりえ事情(3)

3.MILA社MILA社は、ノートルダムから7,8分のところにある小さな出版社です。主に教育的な本を出版されていて、ぬりえは2年前から始めた会社でした。
ぬりえの専門家ではないので、すべて分かるか分からないがという前提でお話をしてくれたRouillard氏は、背の高いハリソン・フォード似の方でした。
・ぬりえの本では、「ぬりえ」というタイトルのものが8巻まででていて、大変評判がよく、人気だそうです。特にMILA社では、”自然”ということにこだわって制作しているのだそうです。

ぬりえの効用としては、
*芸術的なものを学んで欲しい。教育的な意味もある。
芸術的とは、リアリズムも含め、たとえば動物でもいろいろな見方がある。写実的な絵を描く描き方もあるし、ナイーブ(素朴派、ルソーのような絵)のような描き方もある。どちらもあるから、そのようないろいろな見方を学んで欲しいという思いで出版しているそうです。
写実的な絵だと、はなから自分には描けないと思う子供もいるかもしれないが、自分でもできるようにナイーブ的な絵をとなりに描いている形式のぬりえ本で、この考え方がヒットしてい売れているのだそうです。
・このミラ社の本は、本屋で販売している。3.50ユーロと少し高いのだそうですが、売れ行き上々だそうです。
・フランスでは、伝統的に本を買う習慣があり、図書館が本を購入するので、子供の本の売れ行きがいいのではないかと思うとおっしゃていました。

きいちのぬりえの印象・「日本的ではない。アメリカ人みたいなのに、日本で成功したのが不思議だな」
どうも、きいちの少女のパッチリ目は、日本的とは映っていないようです。

●3社の出版社を訪れた感想
①キャラクターを扱っている出版社もあるが、それ以外のぬりえを制作している。
②会社によって違うが、手書きであったら、自然であったり、その会社のこだわりを持って、ぬりえを制作している。
③ぬりえをする際の親の係わり合いが大事であるという意見が出てきたが、絵本の読み聞かせの考え方の影響があるのではないか。
④どの会社も子供のぬりえに対して、非常に真剣で真摯であると感じた。それは単なる慰み物や遊びではないと考えているからではない。大事な子供時代に触れるものですから、しっかりとした考えをもって作られていることに安心感を持ちました。
⑤今は大人のぬりえは海外には見られないが、いずれ1,2年したら欧米でも大人のぬりえが出版されるのえはないかと思います。
今回はドイツ、フランスの出版社の意見でしたが、来年は、ボローニャの本の見本市に行き、さらに多くのぬりえをみて、出版社の取材をしてみたいと思っています。

◎何故バカンスに行く前にぬりえが売れるのでしょうか?
それは、フランスのぬりえの発祥に関係があったのです。
1850年代に、馬車から移動が鉄道になってとき、列車のような大きなものが動くので、
子供たちが怖がったそうです。それで怖がらせないために、列車にのっているときに、ぬりえをさせようと、2番目に訪問したHACHETTE社がぬりえを作って、子供たちにぬらせたのが
ぬりえの始まりです。
そのために、列車、車、飛行機に乗るときには、ドイツ、フランスでは必ずぬりえを持参するということが、続いているわけです。
バカンスに行くということは、乗り物にのるわけですので、ぬりえが売れるということになるわけなのです。

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2006年06月14日

ドイツ・フランスぬりえ事情(2)

2.パリの出版社 HACHETTE社
・アシェット社はエッフェル塔のすぐ近くにあり、又ガラス張りのモダンな建物の日本文化会館のすぐ隣といってもよいほどのところにあります。
大変古い歴史のある非常に大きな会社だそうです。ぬりえも3部門あり、オリジナル、テレビなどのキャラクター、ディズニーを扱う会社があるそうです。
若い女性の、BENTさんがインタビューに答えてくれました。
BENTさんは、なんと日本ファンの女性で、ラフなスタイルをし可愛らしい女性でした。

ぬりえの効用について
・字を書くための練習や色鉛筆を持つもち方の練習をするため。
・枠線から出ないようにすることを学ぶため。規則を遊びながら覚えられる。
・芸術など、きれいな色を選ぶ、配色など色彩感覚を学ぶ
・自分で描けなくても、きれいな色で仕上げることができる初めての経験になる豊かなものである。
・ぬりえをするときに、親も大事な役割があり、ただぬりえを子供に預けるだけでなく語りながら教えてあげるなどするとさらに良いものができる。
*親の役割について言及したのは、彼女が初めてでした。
・フランスでは幼稚園で教える。枠線からはみ出ないようにすることを教えている。
*それは、自分で描くのとは、学ぶ内容が違うと考えているからだそうです。。
*フランスでは、ぬりえは教育のプログラムに入っているので、アシェット社では、教育部門が学校と連絡をとりあってぬりえの出版をしているそうです。
 幼稚園では、インターネットから絵を取り込んで、子供たちに塗らせたりもしているそうです。
・フランスでは、乗り物にのるときの必需品のため、バカンスの前、特に5月の夏休み前には、ぬりえが一番売れるそうです。次はクリスマス前に売れるそうです。
・アシェット社のぬりえは、本屋、スーパーマーケットの両方で売られていいます。

大人のぬりえについては
・フランスでも、モネ、マネなどを描くということがあるが、大人は自分で描きたがるという意見でしたが、高齢者のことや脳のことを話すと、それはよく分かると理解されました。
きいちのぬりえの印象
・私は日本が好きなので、一般的な回答になるかどうだろうかといいながら、
「カワイイ」と日本語で言われたので、「カワイイ」という言葉は欧米で使われるようになったと聞いていましたが、彼女の言葉をきいて、海外で使われているのを実感しました。、
・「目がヨーロッパ的ですね。フランス人は、細い目や黒髪になりたいのに、この絵はその反対。だれも、別のものに憧れるのね」と目をほころばせて見ていました。

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2006年06月14日

ドイツ・フランスぬりえ事情(1)

ぬりえ美術館の金子でございます。
今日は、ワールドカップで大変盛り上がっているドイツとフランスに出張して先日帰国したばかりですので、出張の報告、中でもぬりえの出版社のことをお伝えしたいと思います。

ワールドカップ開催前の5月末の出発でしたが、ドイツ行きの飛行機は込んでいたため、今回はKLMオランダ航空で、アムステルダム経由でデュッセルドルフに入りました。
ドイツはデュッセルドルフとケルン、カールスルーエを訪問しました。
今回の目的は、2007年、2008年に開催するぬりえ展の調整と出版社や親へのぬりえに関するインタビューをすることでした。

ドイツは、2回目の訪問。前回は一昨年の2月の雪の降る大変寒い時期の訪問でした。今の時期は、新緑がそれは見事に美しく、デュセルドルフ、ケルンは大きな街でありながら森の中にいるのではないかと思うほど緑の多さを感じました。それは、かなり大きな木が街の中に沢山あるからではないかと思いました。そのために、日本のサッカー選手のなかには、花粉に悩まされている選手もいるそうです。しかし、大事に木を残していたことがわかります。
フランスは、パリを訪問。パリにはいった日から天気が良くなり、パリも青空に緑が輝いて、カフェでは喜んで外で日の光を浴びながらお茶を飲んでいる姿が見られました。

1.ケルンにあるSCHWAGER & STEINLEIN Kinderbuchverlag社この出版社は、、Ein Unternehmen社の子会社だそうで、子供のためには3つの出版社があります。そしてこの会社は、ぬりえを専門にしている会社で1950年代創業です。主に、大きなスーパーマーケットで販売しています。
このぬりえの会社では、”手書きのぬりえ”にこだわって制作しているそうですが、手書きの絵の魅力は大きいと私も同感で、意見が一致いたしました。
手書きの絵は、スペインのバルセロナに注文して描いてもらっているそうです。スペインには、手で描くという伝統があるのだそうです。
人気のぬりえについて
*一番のベストセラーは、「プリンセス(お姫様)」のぬりえで、ピンクの表紙が大事なポイントだそうです。ピンクとお姫様というのは、日本でもまったく同じだと思いました。女の子の夢は世界共通ということでしょうか。
・男の子向けには、「騎士」のものがあるそうですが、圧倒的に女の子に塗り絵は人気だそうです。これも、日本と同じですね。
・その他男の子の向けに、これから販売するのは、今年のサッカーのワールドカップがドイツで開催されるので「サッカー」をする少年のぬりえを予定しているとのことでした。
*街の中の本屋さんを見てみると、確かにキャラクターと思われるものもありますが、日本のように、キャラクター一辺倒ということはないのが、ドイツやフランスのぬりえの特徴です。

RAHM女史の意見として、
・少しだけ絵を描いて、そこに文章を加え、子供たちが自分で絵を加えていってほしいと望んでいらして、一部の本に少しだけ、そのようなページも作っているそうです。

ぬりえの効用について
1.ファンタジーを燃やすもの
2.子供たちが手を動かす、運筆に良い。
3.親が絵を描いて、それを塗らせるのがよいが、それができないので、ぬりえ本が必要
3については、ドイツやフランスでは、夜寝る前に絵本の読み聞かせを必ずするそうのだそうですが、絵本と同じように、親が読むように、絵も描いてあげると良いとおもっているようです。しかし、誰もが絵を描くということでもありませんので、やはりぬりえ本が必要だと考えていいらっしゃいました。

大人のぬりえついて
・日本での流行を伝えると、仕事などで、コインピューターを使うので、家では手を使うことをしたいというので、ドイツでも大人がすることが人気になると思っているそうです。
・この会社では、一つ大人向けがあり、大人のために、キャンバスに描かれた絵に番号をいれ、その番号の色をぬっていって完成させる絵が大人に人気だそうですが、紙より大人っぽく、高級なイメージがあるので、日本でもこれはいいのではないかと思いました。

*Rahmさんは、若白髪の柔和な感じの方で、手の指もぷっくりして、ここにも暖かさ、母親の手の暖かさを感じる女性でした。やはりぬりえをしているような人、子供を相手にしている人はRahmさんばかりでなく、他の幼稚園、出版社である人たちは、このような感じの人が多いように思いました。

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2006年06月14日

大人のぬりえと脳2

このところ昭和の30年代の当時の人気を思わせるほどに、ぬりえが話題になっています。しかしぬりえをしているのは、子供ではありません。大人です。
かつてはぬりえをすると子供の創造性を失くすという批判が言われた時代もありましたが、脳の研究が進んだお蔭で、最近では、「脳を活性化するのに、ぬりえが良い」ということが分かってきたのです。

ぬりえ美術館主宰の「大人のぬりえサロン」にも、お問い合わせが沢山寄せられています。その多くの方が、60代、70代の女性です。お席に限りがある(14名)ため、今はサロンに参加希望の方には、予約をお願いしています。それほどに人気です。

ぬりえ美術館の外ではどうなのでしょうか。
読売新聞(4月26日付け)では、脳を鍛えていますか?というい質問に対して、94%が何らかに取り組んでいると出ていました。取り組まれていることは、指先の運動やスポーツ、計算やゲーム、新聞や本の音読などで、その他身の回りのものを活用して鍛えているそうで、積極的に取り組んでいることが分かります。
脳を鍛える本も増え続けているそうです、当初の50歳代以上が中心だっ購入層が、20、30歳代にも広がっていると本屋さの談話も載っていました。

脳の活性化の一つにぬりえがありますが、大人のぬりえの本が、出版各社からでています。
大きな本屋さんでは、大人のぬりえの特別のコーナーを設けているほとですが、ぬりえ美術館で収集した本だけでも、すでに55冊もあります。どれも「大人のぬりえ・・・」、「大人のための・・・」、「大人が楽しむ・・・」、「趣味の・・・」、「脳をリフレッシュする・・・」など、大人を対象にしているぬりえであることがわかるタイトルになっています。
内容は、花、鳥、風景、名画、浮世絵。珍しいところでは仏画、般若心経、萌えなど様々なテーマを模索していることがわかります。またこのところの傾向としては、作家物が出るようになりました。竹久夢二、中島千波、山下清、内藤ルネ、高畠華宵のぬりえなどがあります。今後、中原淳一や松本かつぢ等が出版されるということも聞いています。作家でしたら、沢山いらっしゃいますので、これからも様々なぬりえがでてくることが予想されます。

ところで朝日新聞(3月25日付け)では、河出書房新社の担当者の声を掲載していますが、「ぬり絵が脳のはたらきをよくする、という実験データを確認しているわけではない」と書かれていました。
しかし、ぬりえ美術館では、測定を実施してみました。
●その結果は、頭部全体に血流が活発になり、特に前頭葉右側の血流の活発化が大きくなりました。これは脳が活性化したことを示しているのです。
やはり、脳を活性化するのは、期待したとおりでした。

●脳が活性化した要因としては、塗ることの単純作業が影響しているのではないかと考えられます。腕から手を動かす単調な動きとリズムが脳の活性化に寄与していると考えられるそうです。脳を活性化するには、単純な動きとリズムがいいようなのです。
●さらに、ぬりえは、色を塗ることにも重要な意味があるようです。色は、脳の感情、情動、心を司る部分に直接関与するようなのです。
色が人を元気にするのを見ていましたが、やはりそれは本当だったのです。
●又、「きいちのぬりえ」のように塗る素材に「顔」があることも重要な意味を持つそうです。誰と認識するのに、顔で人は認識するわけですから、「顔」は人間にとって重要な要素なものなのです。あの当時、素敵な服がなかったので、憧れて服を塗っていたとしても、そこのあの少女の顔がなかったとしたら、服の魅力は半減するということなのです。
●測定の結果は、脳の活性化により、認知症の予防や欝病の改善に期待ができることがわかりました。

ぬりえ美術館が様々なマスメディアを通じて知られることにより、老人保健施設などに関係する人の来館やお問い合わせが増えてきました。このぬりえが積極的にこのような施設でもっと、もっと利用される、活用されることがいいのではないかと思います。
そのためにも、これからもぬりえの効用をお伝えしていきたいと思っております。

ぬりえ本を持っている方にお願い。
ぬりえの絵を見ることも楽しいですが、ぜひそこから一歩踏み出して、一枚塗ってみてください。塗ってみると、どうしてこんなにと思うほどに、夢中になっている自分を発見することでしょう。

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2006年05月26日

自分の脳で実験をする。やっぱりぬりえは脳を活性化する!


電極をつけて脳の測定中、ちょっと痛々しい

4月27日に東邦大学医学部において、私が被験者になって、ぬりえをした時に脳がどうなっているのか実験をしてきました。頭にいろいろな装置をつけるというので、ちょっと健康診断のような不安や緊張感をもって大学にでかけました。

測定する部屋に入り、助手の方々が測定に必要な電極などを取り付けていきます。このとりつけだけでも、30分ちかくかかります。取り付けけられた頭は、なんだか近未来の映画にでてくるような感じです。
ところが、いざぬりえをし始めえると、測定室の外のことや測定されているということが全然気にならなくて、リラックスしてぬりえをすることができました。
30分間ぬりえをしました。
結果は、血流と脳波の動きから、やはり活発化されていることが証明されました。
ぬりえには集中するとか、入り込むということがありますが、測定が気にならずにできたということも、実はこのぬりえの特長がでていたからということがいえると思います。
自分の体で体験できたことは、非常に大きな自信になりました。

測定の前日に「脳を鍛えていますか?」という記事が読売新聞4月26日に掲載されました。
読売新聞では、「日頃から、脳を鍛えるため、何かに取り組んでいますか?」というアンケート調査をした結果を発表していますが、なんと94%のかたが「鍛えている」と回答されていました。この数字に、皆さんの関心度の高さが表れています。
先日、大人のぬりえサロンがテレビで放映されましたときに、大変な数のお問い合わせをいただきましたが、その背景が理解できました。脳の活性化の関心の高さが、そこにも表れていたのです。
脳を衰えはいつ頃からかんじるものなのでしょうか。
「衰えを感じる」は79%、「「よく感じる」は、男性は50代で、女性は40代で40%に達したそうです。
日本福祉大学大学院教授で、認知神経生理学が専門の久保田競さんは、「1980年代の半ば、脳は使うことで活性化すると分かった。数年前には、認知症も脳を使わないことと関係があるという調査結果がでた。それがきっかけで、高齢者を中心に広く一般の人の注目を集めるようになった」と見ているそうです。
脳の働きに関する研究はさらに進んで「遠くない将来、年齢に関係なく、『これだけトレーニングすれば認知症にならない』というプログラムのようなものができるだろう」と久保田教授は話されています。

脳の研究を背景に、脳の活性化のために様々な商品がでていますので、継続してできなければ、活性化につながりません。そのためには、ご自分の好きなもので、継続できるものに取り組まれるといいのではないでしょうか。これは私の私見ですが、脳には様々な部位がありますので、一つのものだけをするのではなく、お好きなものをいくつかすることがさらにいいのではないかと思います。

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2006年04月28日

大人のぬりえと脳

ぬりえ美術館の金子でございます。
3月、4月とテレビでぬりえ美術館が続けて放映されました。
1.3月18日(土)テレビ東京の「アド街ック天国町屋編」でぬりえ美術館が紹介されました。
2.3月27日(月)NHK総合「乙女屋雑貨店」では、「ぬりえ」が少女の大好きなものとして取り上げられ、ぬりえ美術館やぬりえ作家の蔦谷喜一が紹介されました。
3.4月12日(水)日本テレビ「ザ・ワイド」にて「大人のぬりえの人気」が取り上げられ、ぬりえ美術館で開催されている「大人のぬりえサロン」が紹介されました。

それぞれ、その後の反響は大きく、ブログのアクセスが通常の3倍ほどになるほどでした。
その結果、来館される方が、多くなりました。大変嬉しいことです。
一人でいらっしゃる方もいらっしゃいますが、最近の傾向では姉妹で、親子で、学校や会社の友人たちと一緒に二人、三人とお誘い合わせて来る方が多くなりました。皆様方が、同じようなテレビを見ていることが多いのではないかと思います。同じ画像を見ていると、理解が早いので、お誘いしやすいので、昔、同じ体験をした友人、知人を誘って来館するのだろうと考えられます。

そして、ザ・ワイドの「大人のぬりえサロン」の風景が放映された時に、まだテレビで映っているときから、電話が鳴りました。「大人のぬりえに関心があるので、やってみたい」、という問い合わせの電話でした。私もテレビを見たかったのですが、電話を切るとまた次の電話がかかるというような状態でしたので、とうとう見ることが出来ませんでした。

「大人のぬりえ」にこれほどのお問い合わせがあったのは、番組の中でインタビューに答えたサロンの参加者が60代、70代であったので、この年齢の人がしているのなら、自分でもできるかなと近親感を覚えて、ご連絡をしてきたものと思います。
ぬりえをすると脳の活性化に役立つこととか、「大人がぬりえをするのが人気」ということは新聞やテレビなどのマスコミを通じて知っていらっしゃるのです。また娘さんから贈られたとかで「大人のぬりえ」の本を既にもっている方など数多くいらっしゃるのです。ところが、行動に移している人がまだ少ないようなのです。

本を見るだけ、または1枚くらいは塗ったことがあるという程度です。その方たちは、一人だと自由に塗れていいのだけれど、どうも上手な絵ではない。もっと上手に描けないかなとか、上手く描く方法はないかと不満を抱えているようです。ぬりえは一人でできそうですが、その完成度の低さに達成感、満足感がなかったのです。それで、良い方法を探していたのでしょう。
そんな所に、この番組を見て、「これならできる!」と思って、思い腰を上げられて、電話のダイアルを回したのだと思います。
ぬりえをサロンでしていますと、他の方の色の配色とか塗り方とか、刺激されます。そして、自分でもそのテクニックを覚えて少しづつですが、上達することができます。更に、ぬりえ美術館では、先生がいらっしゃいますので、優しく個々の方に相応しいアドバイス
来館者の中には、「海馬」であるとか「前頭葉」であるとか、脳についての知識が豊富にある方もいらっしゃいます。驚くほどです。でも、実際には、ぬりえやドリルなどをしているわけではないのです。

さて、脳が活性化すると認知症の予防になるだけではありません。東邦大学医学部、総合生理学の有田教授は、脳内神経の「セロトニン」の研究者として著名な方で、私も今週、ぬりえをしている時に脳のセロトニンはどうなるのか測定をお願いしている方です。
有田先生によりますと、セロトニンには3つの働きがあり、活発になると、1.頭を目覚めさせる。2.筋肉に緊張感を働かせる。3.交感神経を適度に働かせるという動きがあるそうです。
ですからセロトニンが活発化すると、眼が大きくぱっちりと見え顔の輪郭引き締まって、顔全体がリフトアップされて、背筋がピンと伸びるそうです。
素敵なことばかりですね。
さらに、自律神経への働きかけにより、バランスのとれた心の状態に整うのだそうです。つまりセロトニン神経を活性化させれば、顔形、姿勢、メンタル、体調まで、すべてがベストな状態になるのです
今は、「大人のぬりえ」ということで、年配者に光があったっていますが、ぬりえをして脳を活性化するということは、年配者も、子供も、そして若者も、すべての人にとって非常に有効ということになります。
杏林大学医学部精神神経科学教室の古賀先生によりますと、脳は1日の終わりに軽く動かしたほうが脳の健康が保てるということから、寝る前にぬりえをするのが良いそうです。
ぜひ、子供と年配者だけでなく、すべての年代の方々がぬりえを、特に寝る前にぬりえをしてみてはいかがでしょうか。

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2006年04月25日

館長室から 新しいぬりえの楽しみ方発見!

館長室から(3月26日)
大人のぬりえの流行から、年配者やご高齢のかたにまでぬりえの関心が広まってきているようです。
今日来館されたお客様のお母様は、随分認知症が進んでいるそうですが、「きいちのぬりえ」の少女をみると大変喜ばれるそうなのです。その理由をお聞きしてみると、少しでもキツイ言い方をすると嫌がり、怖がるのだそうです。が、それに反し「てきいちのぬりえの」少女の顔は、安らかで優しいので、お母様の気持ちをホッと和ませているのではないかと、おっしゃるのです。

認知症になってあまり考えることができなくても、心と体に伝わっていくものがあるのですね。私たちが見ても可愛らしくて、優しい少女は、認知症の方にとっては、心で感じることが私たち以上に多く、より敏感に感じられているものだということが分かりました。
毎日「きいちのぬりえ」の少女を見ていられるように、古くなったポスターが1枚ありましたので、プレゼントさせていただきました。

カップルでぬりえ美術館を訪れる方も少なくありません。そんなカップルの方々のぬりえの楽しみ方は、同じ絵をお二人が塗ることです。
ぬりえ美術館の「ぬりえ体験コーナー」には、2種類のぬりえBOOKが何冊か置いてございますので、それが可能です。男性の方にも、きいちの可愛い少女を塗っていただくのですが、これが以外にも、お上手なのです。
やはり、これは女性が塗ってもの、こちらが男性と分かりやすいのですが、同じ絵なのに、全く違った印象になるので、完成した絵を見ながら、お二人で話が弾んでいるようです。

最近のぬりえの話題を聞いいて、多くの方々が見えるようになり、ぬりえを楽しまれる方の幅や楽しみ方の幅が広がってきているように思います。男性だって、子供の頃には男の子のぬりえをしていた時期があったわけですから、ぬりえの楽しさは知っているわけです。彼女のお蔭で、何十年ぶりにぬりえをしているのかもしれません。
年齢が広がったことはぬりえの大きな変化の一つです。カップルで楽しんでいただくことは、これも従来の大人のぬりえ向けの対象とは違った意味で、年齢の広がりできてスゴイ変化だと覆います。
年齢幅や塗り方の楽しみ方が広がったおかげで、ぬりえに対しての認識が変わっていくのではないかと、最近感じています。それが具体的にどのようなものとは、いえないのですが。

今、本屋さんには様々な大人のぬりえが売られていますが、これから発売されるものに、新しい認識に相応しいぬりえが生まれてくるのではないかと思います。そして、新しいぬりえを描いてくださる画家の方もでてくるようになるかもしれません。
そんな新しいぬりえの動きを期待しています。

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2006年03月26日

3月18日(土)アド街ック天国町屋編で紹介されて

3月18日(土)テレビ東京のアド街ック天国町屋編で紹介されて、大勢のお客様に、早速見学に来ていただきました。ありがとうございました。

開館して3年半になりますが、まだまだぬりえ美術館をご存知ない方が多く、
「こういう美術館があるなんて、ちっとも知らなかったヮ」
「ずっとぬりえを探していたのよ」
「テレビをみて、居てもたっても居られなくなって、来てしまいました」
と、言って美術館に入ってこられました。

きいちのぬりえだけでも、月に100万部売れていた「ぬりえ」です。その他の画家のぬりえを入れるとどれ位ぬりえが売れていたか計り知れません。昭和20年代、30年代に少女時代を過ごした方なら、誰でもが遊んで過ごし、ぬりえで心を育ててきた人たちです。その大事な少女時代の心の部分を美しいもので埋めてくれた「ぬりえ」は、忘れることができない楽しく、大事なものだったはずです。
子供たちの手が離れて、子供の頃を振り返る余裕のできた今、「ぬりえ」という言葉を耳にしてみると、一気にその頃のことが思い出されて、ぬりえを見てみたいなという気持ちになってしまうのでと思います。
貧しかい時代だったのですが、貧しさを補う人々の思いやりがあった時代だったので、その時代を乗越えてこれたのです。それが昭和という時代でした。

アド街ック天国町屋編でも、町屋が「昭和の残る街」として「ALWAYS 三丁目の夕日」の映画のような雰囲気で予告されていました。三世代家族、子供が外を飛び回っている、もんじゃ焼きなど、まさに町屋とぬりえは、三丁目の夕日を代表するものなのです。
これから、3月27日(月)にも、NHK総合で夜23:00~23:29「乙女屋雑貨店」という番組で、駄菓子屋さんの雰囲気を楽しみながら、昔懐かしいぬりえが紹介されます。

どうぞ、これからもぬりえ美術館をよろしくお願いいたします。

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2006年03月24日

1月3日館長室から 本物をめざして

あけましておめでとうございます。今年も良い1年でありますよう、皆様のご多幸をお祈りもうしあげます。

さて、今年は久しぶりに東京にいるものですから、元旦の初参りにでかけ、その後日比谷の某ホテルに行きました。そのホテルには久しく立ち寄っていなかったので、館内の店が随分と変わっておりました。

ちょっと一休みしたくなり、館内に半年程前に出来た有名和菓子店に入りまして、「あんみつ」を注文しました。
待つことしばし、見た目にも美しいあんみつがやってきました。寒天、えんどう豆、餡(
餡を選ぶことができます。私は黒餡と白餡のミックス)、梅の花や松の形に型抜きされた寒天やあんずや金柑などが彩りに飾られています。すっきりとした黒蜜と大変上品な餡が、寒天をつつみ、一口、一口、口の中に、満足感を運んでくれました。
あんみつ、ひとつで元旦早々から幸福感を感じさせてくれました。今年一年がいい年になるような気持ちを持たせてくれました。
それは何故か、考えてみると、あんみつの素材のひとつ、ひとつがどれも本物だったからだと気がつきました。素材が良い、手を抜かないつくり、飾り付けが美しい、味が良い、店員の方のサービスが気持ち良い。だから更に美味しい。というわけです。
もちろん、お値段もちょっとしたランチ並みですから、週に1度など食べられないかもしれません。でも月に一度でも、心の満足度が大変大きいので、十分気持ちが豊かになれるのではないかと思います。
その本物の良さを分かる人なら、かならずそこにまた来きます。
ぬりえ美術館も本物の良さを目指して行こうと更に思った次第です。

投稿者 Nurie : 11:06 | コメント (0) | トラックバック

2006年01月03日

11月の来館者の声 慰問袋にぬりえ

先日三姉妹が揃って一緒に来館されました。一番上の方は昭和10年代、一番下の妹さんがきいち世代ということでした。お姉さんは、絵を描くのが上手ということで、よく絵を真似して、ぬりえを描いたり、着せ替えを描いてくれたそうです。

そしてご自分の子どもさんの時代になると、テレビを見ながら、「ひょっこりひょうたん島」などを描いてあげたそうです。ところがお孫さんの時代になると、テレビの画面の動きが早く、描いてあげられなくなってしまったそうです。ここにも時代の変化があったのですね。
そして、戦争中のお話ですが、兵隊さんにおくるために、ぬりえをぬって慰問袋の中に入れたそうです。
皆様もこのようなぬりえに関する思い出がありましたら、ぬりえの歴史にもなりますので、情報を送ってください。よろしくお願いいたします。

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2005年12月12日

意外なぬりえの楽しさ、魅力

最近は子供ばかりでなく、大人にもぬりえが人気となっています。
そのぬりえの魅力とは何かを考えて見たいと思います。
1.どのぬりえをしようか絵を選ぶとき。
2.選んだぬりえにどのような色を塗ろうか考えるとき。
どんな色の服や着物にしようかと迷いながらも色を選ぶことが楽しい。
3.徐々に色が塗られて、ぬりえの中の主人公がいきいきと変化していくとき。
4.更に、塗りながら、ぬりえの主人公と対話するなどして、ぬりえの中にある様々な世界をいろいろ空想するとき。
5.ぬりえが完成したときの達成感、満足感。
6.最後に完成したぬりえが自分のものであるという喜び
どうですか? これらは、ぬりえ美術館に来館された感想ノートやアンケートから纏めたものですが、同感でしょうか。

実は、もう一つ忘れてはいけない楽しさが残っています。
それは、塗るばかりがぬりえではない、ということです。大好きなぬりえを最後まで塗らずにとっておく、これがまた楽しみなのです。
もったいなくて、塗れないということもあります。塗らないで、コレクションをしてとっておくのです。
塗らなければ、そのぬりえを眺めて、あんな色、こんな色と空想の世界で様々に色づけできます。でも、塗ってしまったら、その絵はそこで止まってしまいます。
そして、もし上手に塗ることができなかったら、悲しくなってしまいますね。

この「もったなくてこの塗れなかった」という声を、今でも多くのお客様から聞きます。
ぬりえ美術館に寄贈される多くのぬりえが塗っていないものが多いのも、実はこのような理由があったのです。

意外な楽しみ方ですが、共感していただけるのではないでしょうか。

投稿者 Nurie : 21:57 | コメント (0) | トラックバック

2005年11月30日

アンネ・フランクに関する記事

30日のブログのコメント(ぬりえ学会記録)に対するお返事の中で、「アンネの日記」のことを書きましたら、31日の読売新聞の朝刊にアンネに関係する記事がでていました。アンネにつながってビックリしています。その記事の概略をご紹介いたします。
アンネ・フランク一家が1933年から42年まで暮らしたアムステルダム市南部の住居において、アンネの日記が書かれたといわれ、この家の修復がこのほど終わり、迫害を受ける外国人文学者の住居兼仕事場として提供されることになったそうです。
迫害に遭う作家を毎年一人選び、1年間提供するそうで、第一号はアルジェリアの作家・詩人のエルマフディ・アヘルシュール氏(32)に決まったそうです。
迫害者の支援という形で、これからもアンネの功績が残っていきますね。

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2005年10月31日

都営線ポスターと大人のぬりえの人気の背景

■問い合わせ
最近のお問い合わせは、「町屋二丁目から、どのように行くのですか?」ということが多くなりました。これは都営線のポスターを見た方からの問い合わせということがわかります。
この都営線のポスターで、ぬりえ美術館は都電沿線の美術館として紹介され、最寄り駅が都電の町屋二丁目と書かれているからです。
国立博物館の法隆寺宝物館や国立近代美術館フィルムセンターと一緒にぬりえ美術館が一緒に掲載されていますが、きいちのぬりえの少女が、かなり目立つのです。きいちの魅力や偉大です。
下記都営交通局のHPでも見られます。
http://www.kotsu.metro.tokyo.jp/index.html

■「大人のぬりえ」の取材
取材もこのところ多くなっています。
テーマは、「大人のぬりえ」です。ラジオ局、FM局、新聞、テレビ局と殆どのマスコミからこの「テーマについて取材依頼がきています。
ラジオは東海ラジオ、FM局は東京以外のFM局に流れました。新聞、テレビは全国版ですので、今まで東京を中心に言われていた「大人のぬりえ」がじわじわ東京以外にも広がっているように感じます。

皆様の関心は、「大人のぬりえの背景は?」ということです。
いろいろ理由は考えられると思いますが、ぬりえ美術館で感じていることは、
1.今までは「ぬりえは子どものするもの」と考えられていたものの解釈が広がってきた。
新解釈がでてきたということです。
2.それには医学的な研究も進んで、「脳」についての研究が進み、ぬりえをすることが脳を活性化する のでよいということが分かってきたことがあると思います。
3.脳に良いとなぜぬりえが流行るのか、といいますと、
日本の高齢化の問題があります。高齢者が増えてきましたので、いつまでも認知症にならないような  願いから活性化によい活動をする、また老人保健施設などでの活動に「ぬりえ」が取り入れられている ことがあげられます。
4.それから2007年問題があります。定年退職したら自分の好きなことをしたいと考えている方がいる と思います。例えば、若いときには買えなかった憧れの楽器を購入したり、ピアノを習ってみたいなど 中高年向きの楽器教室が人気となっています。楽器と同じように絵を描いてみたいと願っている人も多 いと思います。しかし絵は誰でもが描けるもものではありません。絵を描く一歩手前の絵として、ぬりえ であれば誰でも描けます。
5.40代~60代の女性であれば、きいちのぬりえは、昔とった杵柄。あの墨の線で囲まれた絵をみる と、塗りたくてうずうずしてしまいます。体に染みこんでいると言ってもいいでしょう。
6.そしてぬりえ美術館の存在も人気の裏にあると考えられます。ぬりえは子どもの頃にするものですから、大人になるとすっかり忘れてしまっています。そこに、新聞やラジオでぬりえ美術館の記事を目にし たり、耳にしたりすると、昔の思い出に火をつけてしまうのです。「懐かしい!」と子ども時代のぬりえが 思い出されるのです。ここにも大人のぬりえが流行している一端があると思います。
7.ぬりえの一番の魅力は、やはり楽しいことです。子どもだけに楽しませておくのはもったいないです。大人も塗って楽しみましょう。

■今週は、3代にわたるきいちファンの方々が3組ほど来館されました。この中の一組の方と
保育関係の勉強で美術館見学が宿題という方が熱心にノートをとり、「ぬりえ文化」を購入されました。 ぬりえにも背景があることを理解していただきたいと思いました。
ぬりえ美術館は、まだ小学生や未就学の児童さんは10%程度の来館ですが、昨日、今日は、すでに きいちのぬりえを知っていて「きいちさん好き、可愛い」という子どもさんが
6,7名来館しました。小さい方にも知っていただきたいと思っていますので、嬉しいことです。

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2005年10月30日