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「絵はだれでも描ける」より

「絵はだれでも描ける」より著者 谷川晃一(生活人新書 NHK出版)
貴方は絵を描くことが好きですか、苦手ですか?
小学生のときには絵で賞をもらったりしていたが、中学生時代に絵の先生から言われた一言で、絵はすっかりだめだと思い、描けないと思うようになりました。
この本「絵はだれでも描ける」は、私のように絵は苦手と考える人のために、絵の認識を新たにしてくれるものです。
著者のいう絵とは、二つあり、
①だれにでも描ける絵
②そうでない難しい絵・・・相応の技術研修がなければ描けない
例えば、ダンスにも下記のように二つあり、
バレー・・・厳しい訓練、高度な舞踏技術の習得が必要
サンバなど陽気なリズムのダンス・・・鑑賞者はいつのまにか体が動き一緒に踊りだすことがある

この本でいう「絵はだれでも描ける」でいう絵のタイプは、バレー型ではなく、どちらかといえばサンバ型の絵をいいます。
バレー型は「型」を学ぶものであり、サンバ型ははじめから型を気にしない絵であると言っています。

「絵」というとき、どうしてもバレー型の絵を考えていましたが、このように二つの捉え方があることは、新鮮な考えでしたが、ぬりえに当てはまると、ぬりえは二つの絵の考え方のうち、限りなく2のサンバ型に近い絵であると思います。

自由に描く絵の代表として児童画があるが、児童画の魅力は、開放感、無垢な魂の歌は、見るものの心を優しく癒してくれる不思議な力を持っていると評価しています。しかし、7、8歳になると本来備わっていた魅力的な絵画力は惜しいことに希薄になってしまうと嘆いています。
その原因は、絵はうまく描かなければならないという美術の一般的教育の結果の価値観に縛られているためであり、本来、創造的美術教育を行うはずの大半の美術専門の学校や大学では、目的とは逆の、型にはまった技術的教育しかしていないのは驚くべきことだと書いています。

著者の意見とは異なり、私は子供たちが絵が苦手と思わないようにするには、子供時代に学ぶ年齢にあわせて絵の描き方の技術とでもいうべき方法を身に付ける必要があるのではないかと、昔の自分を振り返って考えています。小さい頃から、子供が楽しく描き方を学ぶことができれば、絵は楽しいものということを知り、絵を描くことを続けていくようになるのではないかと思います。他の学科も同じですが、出来る様になるとその学科が好きになり、より勉強するようになるものですので、絵も描くことができるようになれば、絵が好きになると思います。


この本の中で、NHKの番組で素人の人が描けるようになる様々なテクニックを展開する「谷川晃一の自由デッサン塾」を9回開催して、参加者が絵心を蘇えらせて絵を描けるようなる経過を紹介しています。
又絵は描かなくても、別の方法で作品をつくったり、あるいは得たりすることができる方法も紹介してい
ます。

写真は写真として認識されていますが、それを「絵」としてみることは、そこに「絵」を発見していることであり、野菜や花の種の袋を額に入れてみるのは、パッケージから「絵」に変容すると言っています。
すなわち、描かなくても「切ったり」「貼ったり」「拾ったり」「集めたり」「写したり」「垂らしたり」「流したり」「投げつけたり」「穴をあけたり」「焦がしたり」「滑ったり」「押したり」いろいろな行為(技法)で制作することができると解説しているのです。
この意見には、目から鱗のアイデアでした。
線を引き、その中に何かの形をみて塗っていくことは、以前美術館の「大人のぬりえサロン」でもしたことがあるテクニックであったが、自分で線を描き、塗ることは、自分で作るぬりえだと思ったものでした。
ここで発見したことは、絵は自分で描くだけでなく、様々な技法があり、発見にもあるということです。「流したり」する方法は、千住博氏の描く滝の絵のテクニックとして使われています。

これらの考え方を代表する絵として、又だれでも描ける絵の代表として、ナイーブ・アートの様々な画家を紹介している。
アンリ・ルソーと素朴派、クロアチアの寒村の画家たち、ハイチの熱帯の絵画、ニカラグアのナイーブ・アート、タンザニアの動物画のティンガティンガなどなど。


要するに絵を描くこと、絵をものにすることは、いろいろなことを自由自在に考えて、既成概念や固定概念にとらわれずに、頭を柔軟にして楽しむことなのであると著者は纏めてまするが、ぬりえをするときにも、大人になると固定概念が強く、例えばチューリップの花は赤く、葉は緑に塗りがちである。ぬりえを通してて頭を柔軟にして欲しいとつねづね言っているので、絵もぬりえも、描くときに必要な概念は同じであると思いました。

投稿者:Nurie |投稿日:08/04/01 (火)

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