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ターシャ・テユーダー展

   

ターシャ・テユーダー展
~絵本・ガーデニング・手作りの生活-夢を追い続ける幸せ~
会場:銀座松屋 3月31日(月)まで

ターシャ・テユーダーを知ったのは、既にファンであった知人の本からであった。昔ながらの手作りの生活、素晴らしい庭でゆったりとした時間を過ごす絵本作家というのがそのときのイメージであった。
今回の展覧会は、その知人とは別の知人から知らされたものであった。この知人は、大変花が好きな人であるのでターシャ・テユーダーが好きであることは容易に想像できたが、私の周りの中にもターシャ・テユーダーのファンが2人もいるということは、きっとこの展覧会は大人気であろうと思いながら、見学をしてきた。ターシャ・テユーダーのライフスタイルから彼女の作品や身の回りの物など、彼女の世界を紹介する
ターシャ・テユーダーの世界展である。

予想通り会場の銀座松屋は、1階からのエレベーターがすでに会場に行く女性で溢れていた。
会場は、彼女の庭のイメージをして作られた庭からスタートし、写真と彼女の長年親しんでいる食器や用具、洋服等の展示と絵本の原画の展示で構成され、最後はまた入り口より大きな庭で終了していた。
彼女の生き方が全て分かる展覧会になっている。彼女の使っているものが展示されていて、とても彼女の存在が身近に感じられる。

プロフィール
ターシャ・テユーダーは、1915年生まれの現在93歳。
ボストンに生まれ、9歳で両親が離婚。両親の友人の家に預けられる。15歳で学校をやめ一人暮らしを始める。23歳で結婚。「パンプキン・ムーン・シャイン」を出版。
30歳ニューハンプシャーの田舎に越す。4人の子どもに(2男2女)に恵まれる。
42歳「1is One」でカルデコット賞受賞。43歳離婚。
57歳更なる田舎バーモンド州の山奥で一人暮らしを始める。レジャイナメダル受賞。
87歳新作絵本「コーギービルのいちばん楽しい日」を出版
93歳現在に至る

   「毛糸をつむぐ機械」

1917年に出版した「Corgiville Fair」がベストセラーとなり、印税でバーモンド州の田舎を30万坪を購入し、自分の夢の暮らしを始める。
それは、1830年代の暮らしで、自給自足の生活を今も続けているという。家で使う蝋燭を1年分1000本、1週間をかけて作ったり、バターや石鹸を作り、庭になるりんごからはジュースを絞り、毛糸から紡いでセーターを編む。手作りは他にもあり、ぬいぐるみ、人形、マリオネット等など。ほとんどのものを手作りするというライフスタイルを紹介している。
幼い頃から花を育てたいと願っていたターシャの30万坪の庭は、毎年何千もの球根を植え続けて、完成したものだという。その庭を裸足で歩いている姿が今回のチケットやチラシに使われている。裸足という姿に、東京暮らしをしている自分は驚かされる。裸足になったのは、いつだったか思いだせないくらいである。30万坪の自然の中で生活し、裸足で歩き、好きな自給自足をして暮らしていれば、93歳まで元気なのだろうと想像がつく。
ターシャ・テユーダーの庭は、春の庭の花の優しさ、夏の緑の輝き、秋の紅葉の見事さ、冬の雪の白さ等、写真から彼女の庭の草木の香りや風の音さえも聞こえてきそうである。

絵本の原画コーナーは、87歳の時の作品の「コーギービルのいちばん楽しい日」の原画を展示。彼女と一緒に生活している犬が、イングリッシュコーギーであるが、そのコーギーの犬たちの暮らしを描いたものである。犬や猫、野鼠の動き、表情が詳細に描かれている。犬が人間のように動いているのであるが、大変可愛い物語で、犬好きにはたまらない可愛さであると思う。
「絵を描いていると、好きなように想像の世界に入れ、普段できないようなこともできるので、絵を描くことが大好き」だと彼女はいう。ターシャ・テユーダーの作品には、彼女の周りにあるものが描かれている。子どもたち、庭、犬、猫など。柔らかい線で優しい表情である。庭の草木までも、ソフトである。画材は、絵の具、色鉛筆、チャコール、ペン、鉛筆だそうで、クレヨン、クレパスは使わないそうだ。水彩の透明感がソフトな印象を作っているのかもしれない。

会場は、ターシャ・テユーダーの生き方に魅了された女性たちで一杯である。お花などガーデニングを好きな人。手作りが好きな人。絵本が好きな人。彼女のライフスタイルに憧れる人。99%女性である。
手作りをすることは現代では大変難しい、できにくい時代になってしまった。なんでも販売されているからだ。こういう時代だから、ターシャ・テユーダーのような生き方に憧れる人が多くいるのであろう。実際には、憧れて彼女のように成りたいと思っている人は大勢いるでしょうが、実際に取り組む人、続ける人は少なくて、だからターシャ・テユーダーがそのトップに輝く人になっているのだとおもう。
しかし彼女のようなことはできないが、彼女の書いた本を身近において、眺めているだけでも近づいたような気持ちにならいたいと思い集まっているのではないだろうか。すくなくとも、私はその一人である。気持ちだけでも、このようなナチュラルな生活を眺めて満足したいと思い。

ターシャ・テユーダの庭について、彼女の最近の言葉が彼女らしく、又粋であるので、これをご紹介して終わりたい。
「これからは体力が衰えたので、庭を自然に帰していく」

投稿者:Nurie |投稿日:08/03/27 (木)

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