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「ルーブル美術館展~フランス宮廷の美~」を見学して

フランス宮廷の美という魅惑的なタイトルに惹かれて東京都美術館へ向かいました。フランスといえば「文化」であり、宮廷といえば「お姫様の世界」であり、そのいずれも期待させ、女性ならずとも、行ってみたくなるという展覧会でした。想像のとおりに、北風が強い今年一番の寒さという日にも関わらず、上野駅を降りてから、会場である東京都美術館へ向かう女性たちの群れがありました。

今回の展示は、ルイ15世の寵愛を受けたポンパドール婦人とルイ16世の王妃マリー・アントワネットの時代の宮廷の栄華がテーマの展覧会でした。この18世のフランスの宮廷において、歴代でも最も洗練された文化が花開いた時代でしたが、それは、ポンパドール婦人とマリー・アントワネットらの、美を愛する女性たちの影響が大であり、お抱えの職人たちが、彼女たちのためにロココ様式、新古典主義の様を展開しました。

今回の「フランス宮廷の美」では、机、椅子などの家具、ソース入れ、塩入れ、テリーヌ容器などの食器、たばこ入れ、時計、燭台などのインテリアなどが展示されていました。そして、展覧会の締めくくりは、マリーアントワネットの旅行用携帯品入れの展示でした。
宮廷の美といえば、ヨーロッパのお城には歴代の王、王妃の豪華な装飾品の展示がされていますので、ダイアモンドなどの王冠やネックレスなどの装飾品をイメージしていまました。ところが今回の宮廷の美では、身に付ける上述のようなアクセサリーなどではなく、タバコ入れやポプリ入れ、食器類の展示でした。
期待とは幾分違いましたが、家具、食器、インテリアのそれぞれの作品が華やかな装飾に彩られて、二人の美意識の高い女性のために、高価な材料と高度な技術力が駆使された、美しい作品でした。

私たちがフランスに描くイメージは、ベルサイユ宮殿が華々しかった18世紀のフランス文化にあるのではないかと思いますが、特にロココ様式の装飾様式は、まさにフランスのエレガンスであると思います。
マリーアントワネットは、お母さんであるマリーテレジアの影響で、日本の漆器が大好きだったそうですが、お嫁入りするときにすでに50点の漆器を持参したそうです。今回の展示品の中で、素敵な作品と思ったもは、日本の漆器をつかったものでした。その漆器を使ってブロンズなどで装飾したあずまや形蒔絵の置物や蒔絵の水差しなどは、漆器のフランス風アレンジですが、まったく別物で漆器ではないようでした。
蒔絵は日本でもかなり華やかなイメージのものであると思いますが、フランスに渡るとブロンズなどでさらに装飾が施されて、華やかさの二乗も三乗にもなるのでした。
ロココ様式には、植物や海の生物などがモチーフとして良く使われて、葡萄、貝、ざりがに、アーティチョーク、アモール(天使)などが使われて、日本の蒔絵の植物の絵に加えられる具象の面白さを感じました。

日本のお姫様の櫛、簪、化粧道具などと比較すると、日本の工芸の技術でも自然の植物、生物などをよく使いますが、日本の工芸のほうがより繊細で、自然にちかいのではないかと思います。フランスのほうはより装飾的であるとおもいました。

マリーアントワネットの使った旅行用携行品入れは、マリーアントワネットのお気に入りで、国外に逃亡するためにもう一つ制作を依頼していたほどお気に入りのものだったそうですが、オーストラリアの国境近くで捉えれれた王妃の最後の品であり、展示品の最後にもってきてその悲劇性を物語っていました。そのトランクはチラシなどで見て想像していたものより、実物はかなり大きなトランクで、実際に使っていた王妃のことがしのばれました。


ルイ15世の寵愛を受けたポンパドール婦人とルイ16世の王妃マリー・アントワネットの時代の宮廷の美に特化した今回の展覧会はテーマが絞られ大変見やすいものでした。
パリのルーブル美術館では、非常に大きな美術館であるので、良く地図をみて、理解して進まないと、大変な広さであるので、見たいところに行き着くことがむずかしいこともありました。
このような機会を活用して、美術館に足を運ばれることをお勧めいたします。

投稿者:Nurie |投稿日:08/02/14 (木)

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