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「超・美術館革命」-金沢21世紀現代美術館の挑戦

ルーブル美術館の館長も関心をもっている美術館があるという記事をみて、この本を読んでみることにした。著者は、金沢21世紀現代美術館特任館長の蓑豊氏(角川oneテーマ21)

年間130万人、2年間で300万人もの人を集めたという美術館が、金沢21世紀現代美術館である。
従来型の美術館とはまったく別の発想によりできたものである。その発想は、現在は金沢21世紀現代美術館特任館長の蓑 豊氏の経験と発想によるところが大きい。氏はシカゴの美術館に勤務し、中国・日本美術部長、東洋部長を経験された方である。
「みせてやっている」という従来の美術館の発想ではなく、美術館は、サービス業であると考えていて、経営哲学を取り入れているというまったく新しい方針の美術館なのである。

美術館は「市民の応接間」にして欲しいと、中が見えるガラス張り、四方から自由に出入りでき、無料ゾーンがいっぱいある建物となっている。美術館は午後5時までだが、無料ゾーンは10時まで開いているという。午前9時から午後10時まで13時間営業という型破りな美術館である。
キーワードを将来ある子どもたちにしている。子どもに感動を与える美術館。美術を通して子どもたちの創造力を高め、こころを豊かにしたいと考えているという。
金沢21世紀現代美術館には誰もがしっているような作家の作品はないので、恭しく拝むような姿勢で干渉する必要はない。それだけで気が楽であり、誰が作ったのか知らない作品を相手に嬉々としてして触ったり、中に入ったりして遊び、好奇心をむきだしにして大勢の子どもたちが駆け回る。子どもたちが大勢いる点もルーブル美術館の館長をびっくりさせたという。
一番集中して見てくれ、吸収できるということで、特に小学校4年生を意識しており、4年生招待を10年間つづけるといいう。
子どもたちをキーワードにする別の理由として、美を感じる感性は、知識も教養も身分も関係ない。鋭いか鈍いかの違いがあるだけである。。その感性を育てるのが美術館であり、芸術は豊かなこころをつくり、こころの豊かな人々が平和な社会をつくると考えているからだ。
オランダの国立美術館の統計では、「子どものときに美術館に来た人は、大人になっても100%自分の子どもを美術館に連れてくる」ということが明らかになったという。
子どもたちは大切である。

金沢21世紀現代美術館の建物は、直径113メートル、周囲350メートルの円形ガラス張りの建物は、伝統の街にあっては異質の感を与える建物であるが、この建物でも話題を集めている。
この建物を設計したのは、SANNAという日本人ユニットである。彼らの設計で2010年にはルーブル美術
館の別館がランスにできるという。

最後に著者の考えている美術とは「美術は目に見えない力を与えてくれる魔法なのだ」と最後に語っている。
金沢という伝統の町に、現代美術の美術館をつくり、最初は市民にとって、違和感を感じたことであろうが、館長として著者が、サービス業という考えで経営的手腕を発揮して運営した結果、市民の憩いの場として300万人が集まる美術館となり、ルーブル美術館までが注目する美術館となったのである。
ぜひ、近いうちに、金沢21世紀現代美術館に行ってみたいと思っている。

投稿者:Nurie |投稿日:08/02/28 (木)

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