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ドイツ・フランスぬりえ事情(3)

3.MILA社MILA社は、ノートルダムから7,8分のところにある小さな出版社です。主に教育的な本を出版されていて、ぬりえは2年前から始めた会社でした。
ぬりえの専門家ではないので、すべて分かるか分からないがという前提でお話をしてくれたRouillard氏は、背の高いハリソン・フォード似の方でした。
・ぬりえの本では、「ぬりえ」というタイトルのものが8巻まででていて、大変評判がよく、人気だそうです。特にMILA社では、”自然”ということにこだわって制作しているのだそうです。

ぬりえの効用としては、
*芸術的なものを学んで欲しい。教育的な意味もある。
芸術的とは、リアリズムも含め、たとえば動物でもいろいろな見方がある。写実的な絵を描く描き方もあるし、ナイーブ(素朴派、ルソーのような絵)のような描き方もある。どちらもあるから、そのようないろいろな見方を学んで欲しいという思いで出版しているそうです。
写実的な絵だと、はなから自分には描けないと思う子供もいるかもしれないが、自分でもできるようにナイーブ的な絵をとなりに描いている形式のぬりえ本で、この考え方がヒットしてい売れているのだそうです。
・このミラ社の本は、本屋で販売している。3.50ユーロと少し高いのだそうですが、売れ行き上々だそうです。
・フランスでは、伝統的に本を買う習慣があり、図書館が本を購入するので、子供の本の売れ行きがいいのではないかと思うとおっしゃていました。

きいちのぬりえの印象・「日本的ではない。アメリカ人みたいなのに、日本で成功したのが不思議だな」
どうも、きいちの少女のパッチリ目は、日本的とは映っていないようです。

●3社の出版社を訪れた感想
①キャラクターを扱っている出版社もあるが、それ以外のぬりえを制作している。
②会社によって違うが、手書きであったら、自然であったり、その会社のこだわりを持って、ぬりえを制作している。
③ぬりえをする際の親の係わり合いが大事であるという意見が出てきたが、絵本の読み聞かせの考え方の影響があるのではないか。
④どの会社も子供のぬりえに対して、非常に真剣で真摯であると感じた。それは単なる慰み物や遊びではないと考えているからではない。大事な子供時代に触れるものですから、しっかりとした考えをもって作られていることに安心感を持ちました。
⑤今は大人のぬりえは海外には見られないが、いずれ1,2年したら欧米でも大人のぬりえが出版されるのえはないかと思います。
今回はドイツ、フランスの出版社の意見でしたが、来年は、ボローニャの本の見本市に行き、さらに多くのぬりえをみて、出版社の取材をしてみたいと思っています。

◎何故バカンスに行く前にぬりえが売れるのでしょうか?
それは、フランスのぬりえの発祥に関係があったのです。
1850年代に、馬車から移動が鉄道になってとき、列車のような大きなものが動くので、
子供たちが怖がったそうです。それで怖がらせないために、列車にのっているときに、ぬりえをさせようと、2番目に訪問したHACHETTE社がぬりえを作って、子供たちにぬらせたのが
ぬりえの始まりです。
そのために、列車、車、飛行機に乗るときには、ドイツ、フランスでは必ずぬりえを持参するということが、続いているわけです。
バカンスに行くということは、乗り物にのるわけですので、ぬりえが売れるということになるわけなのです。

投稿者:Nurie |投稿日:06/06/14 (水)

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