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「ジブリの絵職人 男鹿和男展」を見学してきました


東京都現代美術館で開催中の「ジブリの絵職人 男鹿和男展~トトロの森を描いた人~」を見学してきました。
江東区にある東京都現代美術館へは、半蔵門線の清澄白河駅で下車し、深川資料館通りを通っていきました。実りの秋を象徴するかのように、深川資料館通りは、「案山子(かかし)」のコンテストが開催されていました。お店や学生さんたちによる手作りの案山子が、歩道に展示され、通行人の笑顔をさそっていました。街の活性化を図る意欲が伝わってきました。駅から美術館までの道は、ずっとアリのように人の列が続いていました。

「案山子コンテスト作品」
東京都現代美術館は、ガラスとスチールと石で造られたモダンな建物です。
スタジオジブリのアニメ作品の中でも、「となりのトトロ」は私も大好きな作品であったこと、アニメの原画展なので、いわゆる絵画の展覧会とちがう点でぬりえに共通する部分があるのではないかということから、展覧会に行ってみました。

何故「となりのトトロ」が好きかと言うと、やはり懐かしい日本の自然が描かれているということです。私が子どもの頃行ったことのある、祖母の生まれ育った田舎を思い出させる景色が、ストーリーとあいまって、心に深く残っているからでした。
今回の展示は、3部構成で、1章は、背景:テレビから映画へ、2章は、投影:ジブリ作品に想いを映す、3章は、反映:映画を離れてとなっており、それぞれの時代の作品の原画が展示されました。

「一章背景:テレビから映画へ」
男鹿さんは、「はじめ人間ギャートルズ」「あしたのジョー2」などテレビのアニメの背景画からスタートされていました。知らずに男鹿さんの作品を見ていたということになります。
「夏服の少女たち」の作品で展示された背景画は、まるで写真ではないかと間違えるほどの緻密さで描かれていました。その時代にあった景色が、こういうものがあったヮと思わず声をでてしまうような絵が描かれていました。
大変感心したものが「時空の旅人」の作品に展示されていました。描く前に美術に関する構成、設定を解説するものが展示されていたのです。「安土城天守閣内部」がどのようになっているか、地下1階から6階部分までをフロアごとに誰の部屋か、広さは、どのような素材でできているか、飾られている絵は何か。その絵の参考は、参考図書の何番の図であるかということが書かれていました。
絵を描くために、リサーチして背景を作り上げていくその詳細な資料があって、初めてすぐれた背景ができるということがよく分かりました。

「二章投影:ジブリ作品に想いを映す」では、数々のジブリ作品が展示されました。
男鹿さんの自然を描く才能は、「となりのトトロ」で花開いたそうですが、雨上がりの水溜りの田舎道や夕立が来そうな畑の景色など、遠い昔の子どもの頃に見た景色がそのままに描かれていて、何でもない景色ですが、こころにすーっと入ってきて感動しました。
男鹿さんの描写力について、「写真ではないですか」と言った人がいると解説にありましたが、そのようにおもった方は沢山いるのではないでしょうか。
しかしその男鹿さんにも反省があって、あまりに詳細に背景を描きすぎて反省したという言葉を「おもいでぽろぽろ」では語っているそうです。

「三章、反映:映画を離れて」
ジブリを退職してからの、書籍の挿絵や表紙、女優吉永小百合さんの原爆詩の朗読会「第二楽章」シリーズの為の挿絵などの作品を展示していました。

    
作品点数600点と、かなりの点数が展示されています。それぞれの好きなアニメがあるのでしょう、人気のアニメの原画の前では人だかりが多くなっていました。
展示が終わると大きな背景画が3点ほど展示されていて、それは写真撮影ができるので、
家族やお友達同士で、写真撮影会が賑やかに行われていました。
来館者の年齢は夏休みも終わっていましたので、大学生、社会人が中心で、見学を終えて出口をでますと20分待ちの入館制限をしていました。「前回は70分待ちだった」と後ろの男性が言っていましたので、20分でも短い方だったようで、今回の展覧会が好評であることが分かりました。

男鹿さんは、「頭の中を写生するように描くという感じ方をしている人」と宮崎駿監督がおっしゃているように自然を描かせたら素晴らしく、自然と昭和30年代の景色や空気感が来館者の心にアピールしているのではないかと思いました。

マンガ、アニメがソフトパワーとして人気になって、今回のようにアニメの原画が美術館でも開催されるようになりました。日本のアニメ人気をこのような方々が支えているのです。その素晴らしさ、仕事の大変さをこの展覧会で感じることができました。

アニメといいますと、完成された映像だけに目がいきますが、アニメの原画も実は絵なのです。原画の力を直に感じとることができます。これからも、アニメの原画展が様々な場所で開催されるようになると思います。
ぬりえもアニメの原画と同じように、絵ではなく塗るものとは思われているので、絵としては見られていませんでした。
とこらが考えてみますと、ぬりえもやはり絵なのです。きいちでなければ描き出すことができなかった、少女の憧れや昭和30年代の景色を見ていただければと思います。

きいちのぬりえは、日本を代表するぬりえとして、今年の11月からはドイツのカールスルーエ市にて、そして来年9月からはパリでぬりえ展を開催し、日本にはこのようなぬりえ文化があったということ情報発信をしたいと思っています。
アニメの原画とぬりえの絵、描かれた昭和30年代等いくつかの共通点を感じた男鹿和男展でした。

投稿者:Nurie |投稿日:07/09/12 (水)

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