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第1回 国際ぬりえシンポジウム報告 1

去る7月15日(日)・16日(祝)両日、記念すべき「第1回 国際ぬり絵シンポジウム」が開催されました。
参加の講師の方々の講演を拝聴した感想を含め、シンポジウムの様子を皆様にご報告いたします。

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当日は季節外れの台風がやってくる真っ最中。大丈夫? 開催できるの? とハラハラいたしましたが、盛会の内に無事終了することができました。

初めてとなる今回のシンポジウムは、一日目はシンポジウムとして各界の専門家の方々による講演とディスカッション、二日目は一般の皆様に広く開放し、ぬりえの魅力をお伝えする市民公開講座でした。また、2日間を通じて、ぬりえに関する書籍やグッズの展示販売や、ぬりえ体験コーナーにてぬりえを楽しんでいただくスペースも設け、国際的なぬりえのイベントとしてふさわしいものでした。

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一日目 国際ぬり絵シンポジウム
一日目のセッションは、全体を3部構成とし、それらを「文化」「科学」「芸術」の側面から、それぞれ各分野の専門家の方々の講演とディスカッションという形式で進行されました。

シンポジウム1「ぬりえを文化に」
最初のセッションは、ぬりえの文化的側面にスポットを当てた講演とディスカッションです。
まずは館長・金子が講演いたしました。
日本のぬりえの発祥から、現在はどのように利用されているか、また、世界ではどうかということについて、金子の研究家結果を発表いたしました。現在世界中で高い評価を受けている日本文化にぬりえをどのように位置づけていくかということについて考察し、ぬりえもまた日本発の文化として世界を制することのできる可能性があることをお話しました。
そのためには、ぬりえが文化として成熟し、と同時に世界に通用するぬりえ作家や研修者が輩出されていくことが欠かせません。そうなったときに、日本のぬりえがマンガやアニメのように、世界中に普及していくことでしょう。
続いて、ぬりえ作家のあきやまみみこさんが、高齢者向けのぬりえ本を出版するいきさつや、実際に高齢者施設に伺ってのぬりえ体験を話されました。
ぬりえは高齢者にとって、昔を懐古する大変有用なツールであること、ぬりえをぬることによって高齢者の顔がみるみるいきいきとしてくるという体験を話され、深く胸を打たれました。
このお話から、ぬりえは日本の文化を次の世代へ、また、日本の文化を知らない外国へ伝える大変有用なツールとして活用できるということを示唆しているように思われます。
このセッションの最後は、日本画家の山崎宏さんによるぬりえの特徴についての考察でした。
日本のぬりえの特徴は、輪郭線をはっきり描いているということ。これは、伝統的な日本画の手法通りのもので、このことはさらに日本のマンガやアニメにも通じているということなのです。そしてこれは、日本人の持つ「等価」という思想を表しているとも話されました。描かれているすべての素材が、すべて等しい価値のもとに置かれているというのは、世界の絵画に類を見ない特徴なのだそうです。

ぬりえが日本の文化のルーツと同根であること、また文化を伝承するツールとして有用であること、そして日本の文化として世界に発信するに足る価値を持つものであることを、各界の専門家の方々によって確認することができました。

投稿者:staff |投稿日:07/07/24 (火)

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