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「小袖 -江戸のオートクチュールー」見学

名古屋市博物館にて開催の、「小袖 -江戸のオートクチュールー」初公開松坂屋京都染織参考館の名品 開催期間 4月26日(土)~6月8日(日)を見学してきました。
http://www.museum.city.nagoya.jp/tenji080426.html#top

   

今回の展示は、松坂屋京都染織参考館が所蔵しているもので、今まで公開されたことはなく、幻のコレクションと言われていたもので、今回初めて紹介されるものだそうです。
着物の全体の美しさの上に、日本の職人の技術の素晴らしさにため息がでてくる、贅沢の極致の展覧会でした。

平安時代には、十二単を貴族は着ていましたが、それは"広袖"でした。その下に来ていた下着が表着として発達して、袖口が小さいので、「小袖」と呼ばれたのだそうです。
「小袖」は江戸時代の上流の女性が身にまとった着物で、色鮮やかな絹地に刺繍をふんだんに施したり、複雑な模様を染めの技法で表現するなど、贅を尽くしたものということですが、これらは、注文者の意向を受けて作る高級衣服であり、まさにオートクチュール(高級注文服)といえるものと紹介されていました。
博物館には、圧倒的に女性の来館者で、着物をお召しになって来館される方はチケット割引サービスがあるそうで、着物姿のあでやかな女性たちも大勢来館されて、華やかでした。着物姿の女性が多いことはとても素敵なことだと思いました。

今回のテーマは、
一章:小袖もよう アートをまとう 
    四季を彩る花、樹、模様の玉手箱-身近な品々から物語まで-、憧れの名所、
二章:装いをめぐるとき-時間、季節、機会-、婚礼、夜着、外出の装い等々
三章:小袖へのまなざし 
四章:コレクション探訪
これらのテーマにそって、絞り、刺繍、金の刺繍、金摺箔、染め等の技法を凝らした美しい着物が展示されていました。

季節、季節の花が着物の上に斬新なデザインで表現され、どれもこれも凝った着物で、このようなものを見るとき、日本人に生まれてよかったなと感激する一瞬です。

千姫が所有したと言われる小袖は、「水葵模様小袖」。刺繍の水葵の中に絞りが施され、水の流れが染め残し模様で描かれ、さらに鹿の子絞りが施された大胆な意匠でした。
菊模様小袖は寛文小袖の貴重な品だそうですが、右肩に重心をおいてすそまで斜めに模様がダイナミックに入った一品でした。
模様の玉手箱では、桐、蓑笠、屋形船、茶道具、和歌の文字、古典文学等々が模様の中に取り入れられ、注文者の教養が推し量られたものだそうです。物語は、やはり「源氏物語」で、五十四帖の中から「梅に結び文様小袖」と題して、「梅枝」帖に由来する模様の小袖が展示されていました。
名所では、近江八景などが描かれ、贅沢な文様が日本の職人の素晴らしい手わざにより施されていました。

圧巻は、淀殿の小袖ですが、この着物だけは掛けるのではなく台の上におかれ、硝子ケースに覆われて、大変貴重な品物でああることが分かりました。赤い色の小袖で、幾分生地もいたんでいますが、細かな柄が丁寧に刺繍され、非常に贅を尽くしたものであることが分かりました。この作品は京都染織参考館の方でもわずかな人しか見ることのできない一品だそうです。この小袖のレプリカが後期の展示で展示されるそうです。

オートクチュールによって、技術も発展したことでしょう。素晴らしい才能の女性と、それを受ける職人の技術があって生まれた美でした。
東京での展示を願っています。

投稿者:Nurie |投稿日:08/05/30 (金)

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