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パリの幼稚園見学

今回はサンジェルマンデュプレにあります幼稚園 Ecole Maternelle Saint Benoit を見学させていただきました。園長先生は、バレッテ先生(Madame VALETTE)がっしりした体格の40代位の先生で、ジーンズに同じようなブルーの色合いのセーター姿でさっぱりとした方でした。さっと園内をご案内してくださり、午後の時間に先生たちに「ぬりえをしてみせてあげてください」とお願いしてくださいました。

午後の時間に年中さんのクラスで授業を見学。
   
開始と終了にクラス全員で歌を歌っていました。
先生は、「絵を描きたい人」、「ぬりえをしたい人」、「粘土をしたい人」、「積み木をしたい人」と子どもたちにやりたいものを選ばせました。4つのテーブルでそれぞれ
絵、ぬりえ、粘土、積み木が始まりました。

   
ぬりえのクラスでは6名の園児が絵も自分の好きなきいちのぬりえを選んで取り組みました。一人の女子園児が小さい花柄をはみ出さずに塗って上手でしたので、「このお子さんはクラスの中でも年長さんに近い方ですか」とお聞きすると、先生は「この子は一番小さいのだけれど、何をやっても出来る園児です」とおっしゃていました。海外で幼稚園を見学していますと大雑把なぬり方をする子どもたちが多い中、一目で違いがわかるほど丁寧な園児でした。

  
絵を選んだ子どもたちは、秋の葉っぱを描くことがテーマでした。画用紙に絵の具を2~3色置いて、プラタナスの葉っぱの茎を筆代わりにして、それらの色を混ぜながら、下のほうに向けて色を伸ばして、秋の葉が落ちているような絵を描いていきます。
プラタナスの葉っぱの茎を使っているということが一番興味を引きました。秋の葉ですから、絵に結びつきますので、大変面白いと思いました。

一つのことを全員でするのではなく、それぞれが好きなことをするということも、大変自由な教育であると思いました。

年少さんのクラスでは、30分の授業が終わってしまって、終わったぬりえを先生にみせていただきました。その日は、10月という月のイメージで、かぼちゃを塗っていました。
   
3歳時の年少さんのクラスでは、ぬりえも大変重要と先生が考えられていて、よくぬりえをさせるとのことでした。
効用としては、
1.構成力を養うの良い
2.色を学ぶ
例えば、赤、黄、青の三色を混ぜていくと、
赤+黄=オレンジ、黄+青=緑、赤+青=紫 という色になることを学ぶ


どんな画材を使っているのか質問したところ、教室内をさがして、これが色えんぴつ、マーカー、日本のクレヨン、パステルなどなど見せてくれました。

14日のフランス人対象のぬりえのワークショップで、参加者がパステルの使い方を良くご存知でしたが、それは幼稚園時代から触れているという背景があったからだったのです。

   
廊下にはそれまでに制作した葡萄の絵が展示されていました。これは三角形の線が引かれた中に、丸いものでスタンプのように好きな色を押していき、葡萄を形作っていくものでした。そこに葉っぱの形の切り絵を3枚、好きな場所に貼っていきます。赤、青、紫、緑などの葡萄の絵が並んでいました。

このクラスの先生は、13年小学校で教えた後に小さい子どもたちが好きであったので、幼稚園の先生になったということで、お話をお聞きしただけで、大変子どもたちの教育に情熱を持った先生ということがわかりました。
私の友人のお子さんがこの先生のクラスの児童でしたが、大変いい先生についていただいて、良かったと思いました。

園長先生は、これらの効用の他に下記の点も付け加えています。
1.集中力
2.最後まで仕上げる根気

今回の幼稚園の取材でわかったことは、非常に個々の先生の教える自由度が高いということでした。園長先生もそれぞれのクラスの先生にお任せしていますし、先生自身は例えば絵が好き、又は得意な先生は絵についての力をいれる。音楽が得意な先生は、音楽に力をいれることにより、子どもたちは絵や音楽への造詣が深くなるということになります。
これはフランスの教育界では、普通のことのようです。
08年に訪問した幼稚園で、すばらしい絵画教育を拝見しましたが、そこでもやはり「絵に強い先生が教えているから」と園長先生がおっしゃていましたが、その意味はこういうことだったのです。

パリは芸術の都、ファッションの街と言われていますが、小さいお子さんの服装を見ても、日本では見られない非常に微妙な色の組み合わせの大変素敵な服を着ています。
日本では冬でも明るい太陽がでる国ですから、子ども服というとカラフルな物が多いですが、(最近は黒、カーキなどの色もみますが)冬になると太陽が射さない曇り空のおおいパリでは、微妙なニュアンスをもった色が大変素敵に映えます。
小さい頃から、そのような色やファッションに慣れていると、それが当たり前であって、それが普通と考えているのではないかと感じます。
羨ましいなとも思いました。

投稿者:Nurie |投稿日:10/10/28 (木)

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