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2月の美術館ニュース

2月は節分。立春・立夏・立秋・立冬のそれぞれの前日を節分といったそうですが、立春の前日だけを特にいうようになったのは、昔の暦で、年の変わり目の重要な日にあたっていたからだそうです。一家の無病息災を祈り、豆まきをする。気持ちが又改まりますね。

館内に入ってスグ目に留まるぬりえは、その時々の季節のものや  テーマを設けて月毎に展示しています。このコーナーでは、月替わりのエントランスのぬりえから1枚を選んでご紹介します。

2月のエントランスは、冬の遊びがテーマの展示でございます。


今月は「ぬりえ」を取り上げました。ぬりえ美術館では、昭和20年代~30年代の人気ぬりえ作家、きいちを中心にぬりえを展示しておりますが、戦後のなにも美しいものがなかった時代に、絵の中だけでも美しいものということで、子ども達にぬりえが大変な人気になったそうです。
この絵は昭和20年代にきいちが描いたものですが、駄菓子の問屋さんであるご主人が昭和25~26年ころ、ぬりえが大変な人気で、駄菓子をつめて送る箱の隙間があると、注文がなくてもその隙間にぬりえを詰めて送ったが、クレームなんてなかったと、ぬりえの人気のほどを語ってくれました

ぬりえは室内遊びですから、明治の昔から、夏場より寒い冬場のほうが人気だったようです。
きいちも「北海道で一番売れた。」と雪が多かった地区で人気であったことを語っています。
ぬりえの絵の少女もこたつの中でぬりえをしています。
昭和20年代を背景としていると思わせるのは、少女が着物を着ていることではないでしょうか? 羽織は銘仙でしょうか? 私も小学校時代(昭和36年頃)、学校から帰ると時々着物を着たりしていことを思い出しますが、子どもが日常に着物を着て過ごしていたのですね。
ぬりえを塗る時間は短くなったかもしれませんが、子どもたちはぬりえを好きなことは今でも変りませんね。(館)


伝統工芸技術が脈々と息づく町屋
『江戸つまみ簪』

町屋 ぬりえ美術館のある荒川区町屋。ここはいわゆる東京下町と呼ばれるエリアです。下町のイメージというと江戸の風情を多く残し伝統と人情が息づく町というものではないでしょうか。
そんな荒川区では保存会を立ち上げ、おおむね江戸 時代、あるいは明治初年頃から伝えられる伝統の技術を大切に考えており、地域に、後世につなげようとする活動をしています。
美術館の周辺にも、その伝統技術のひとつで、昔懐かしくて、ぬりえに負けない可愛いものがあります。ぬりえに描かれる女の子も良く見るとこれをつけているかもしれません。江戸つまみ簪です。
江戸つまみ簪とは小さく切った薄地の布をつまんで折りたたみ、組み合わせることにより花や鳥の文様に仕立てた細工を髪にさす簪にしたものです。

色彩豊かで小さな小花がたくさん寄せ集めて作られている繊細な飾りは、一目見て多くの女の子がその可愛い魅力に心ときめかせることでしょう。昨今は若い人の間でも和装が流行していますから注目の小物ではないでしょうか。

古くは参勤交代のあった時代でも、江戸土産として喜ばれていたといわれ、白虎隊の遺品のなかにそれと思われる『つまみ楠玉』が残っていたり、江戸時代の社会風俗を描いた「守貞慢稿」(もりさだまんこう)には文政期に女性の黒髪を飾った描写が記事として残っているそうです。

大切な娘や妻、恋人のために買われたこの簪が持ち帰ったさきでどれほど喜ばれたことか。大事なひとが無事に帰った上に、こんなに綺麗で可愛いものを差し出された時のうれしさは、女性としてはきっととてもとても大きかったに違いないと思います。

今も豊富なアイディアで現代にもマッチする作品が次々に発信されています。簪だけでなく用途を拡げ、ブローチや帯留めなどの作品もあります。

荒川区では年に1度伝統工芸師たちの作品を展示即売する催しをしたり、荒川マイスターの店ということで、いつでもお店で買い求めることができるものもあります。

下町へお越しの際は、ぬりえ美術館ともども、江戸伝統工芸師たちの作品もどうぞご覧になってください。

つまみ簪博物館
http://www.ask.ne.jp/~kanzasi/

荒川マイスター紹介のホームページ


今月のエントランス

「ゆきがふってきた」 作者:きいち
今月のテーマは冬の遊び。女の子が被っているショールから、外の寒さとショールの暖かさが伝わってきます。短いスカートで寒そうにも感じますが、足に色を付ければタイツもまとえます。花柄を付けてあげれば、ショールとお揃いです。
冬は重ね着ができるので、その分色遊びもできて楽しみが増えるのではないでしょうか。


ぬりえ美術館『展示情報』
「ぬりえ美術館ニューヨーク展inあらかわ」
2/20(土)~2/26(金)10:00~17:00(最終日は15:00まで)
町屋文化センターにて展示されます。
文化センター所在地:荒川区荒川7-20-1
電話番号:03-3802-7111

投稿者:Nurie |投稿日:10/02/07 (日)

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