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6月の美術館便り

先月は1日(金)のTBS「はなまるマーケット」並びに22日(金)のNHK「こんにちは いっと6けん」の番組にてぬりえ美術館が放送され、大勢のお客様にご来館いただきました。大変ありがとうございました。

今月の美術館便りでは、 2008年に北京でオリンピックが開催され、2010年には上海にて万国博覧会が開催され、さらなる発展が予測される中国の北京と上海にて、幼稚園、出版社、本屋さんなどを見学、取材調査いたしましたので、中国のぬりえの状況について、ご報告をしたいと思います。あわせてHPの記事もご覧いただければ幸いです。

北京・上海の印象
北京・上海の第一印象は、東京とまったく変わらない!ということでした。中国の経済の発展に伴い、近代化が進んでいるということを実感しました。
今年の4月から豚インフルエンザが発生しましたが、私の出張直前に、アメリカに留学した学生がNYから東京経由で中国に帰り発症したということが分かり、東京から行った私にも影響がでて、幼稚園の見学ができなくなったり、自宅に来るのは中止となるということもありました。本当に世界は小さくなっていると感じました。

中国で人気のぬりえ  
今子どもたちの間で人気のぬりえがあるというので、体験をしてきました。
中国の子供たちが土日によく行くのが、親たちが勝手に「子どもの楽園」と名づけている子どもの遊戯施設です。それはショッピングモール等の中にあり、滑り台や砂場、おもちゃなどがあり、何時間でも子どもが楽しく遊べるようになっています。
子供たちに人気のぬりえは、ゴム状の黒い線(少し厚みがある)で絵が描かれています。内容は、キャラクターものが多く、日本のキティーちゃんやドラえもん、中国で大人気のヒツジのキャラクター(喜羊羊)などです。
1.絵は一枚、30元(約450円、1元=15円)けして安いものではありません。
2.黒い線で描かれた絵を紙の台紙からはがし鉄板の上に乗せます。
3.好きな色(これも黒い線と同様に特殊な絵の具)を塗っていきます。
4.完成したら熱をかけて乾燥させます。熱をかけると絵は少し厚みがあり、つやつやした絵となります。
5.乾燥した絵を紙の台紙に移して、完成です。
色鉛筆でする絵とはちがって、厚みや色のつやがあるところが新しく、綺麗で商品的な完成度が高いところが子供たちにも人気のようです。
このぬりえのほかに砂絵が人気で、同じ場所で提供しています。2歳程度の子どもも上手に砂を絵のせて遊んでいました。
私は、このぬりえをしたことはありませんでしたが、帰国後若い人(20代~30代)に聞いてみると、「子どもの頃したことがある。硝子に貼ったりしました」と言っていましたので、すでに日本にもあったことが分かりました。

ぬりえの現状
一人っ子政策を受け、子どもの教育に関しては、大変熱心だと思いました。
北京、上海の4つの幼稚園を見学しましたが、どこもそれぞれの特徴を打ち出し差別化を図っていました。
私立の幼稚園では、2歳以下の子どもも預かり、2歳になるとぬりえを始めさせています。小さい時から手先を動かし、脳を活性化させ、絵になじませ、絵を描く前段階としてぬりえに触れさせていました。
それぞれの幼稚園で、ぬりえの効用、目的についてしっかりと理解して実施していることが分かりました。
出版社の現場では、親達の要望を反映して、単に塗るだけでなく、ぬりえをしながら「漢字」「英語」「算数」などを学べるようなぬりえ本作りをしていますが、同時に
日本のアニメキャラクターのような可愛い少女の塗るだけのぬりえも人気があり、少女の好みは日本と共通していると思いました。

最近の特徴
さらに今の幼児教育の現場では、衣食足って礼節を知るという時代になったのでしょうか、子ども達がマナーを身につけることが要望されており、マナーを教える絵本などが本屋さんの棚に並んでいました。
幼稚園では、どこでも学ぶということに力を注いでいますが、アート、運動なども取り入れ"総合教育"として、子ども達の教育をしていました。更に子ども達の能力を伸ばしたいという親たちの要望を受けて、幼稚園の教育とは別に、アート、スポーツを学ぶためのクラスを設けており、ある幼稚園では全員が何らかのクラスに属しているそうです。
子どもは一人ですから、子どもの教育に対する親の要望の高さ、熱意が伝わってきました。国の発展は、子ども達の教育にかかっていますので、更なる発展が期待できると感じました。(館)

投稿者:Nurie |投稿日:09/06/01 (月)

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