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ギメ美術館見学

世界の宗教博物館を作りたいと望んだエミール・ギメのコレクションを元に誕生したこの美術館は、彫刻、絵画、装飾品など現在約4万5,000点もの収蔵作品を誇っています。
1836年生まれのエミール・ギメ(Emile Guimet)は古代エジプト、ギリシア、ローマ時代の地中海から中近東を経てアジアに至るまでの宗教博物館を作るという夢を抱いたリヨンの実業家でした。家業である化学産業で財を成した後に世界を旅して回ります。インド、中国、そして1876年には日本でもたくさんの美術品を収集したギメは、1879年にリヨンでコレクションを発表し、1889年にはそれらをパリに移して正式にギメ博物館が誕生しました。

その後、ギメと同様の情熱を持ったコレクターが集めた作品や、フランスがアジアに派遣した考古学発掘隊の収集品を所蔵することになり、コレクションは充実していきます。
さらに古代エジプトなどのコレクションがルーヴル美術館に移管された代わりに、ルーヴルのアジア美術部門がそっくり加わり、ギメ美術館はアフガニスタンから日本に至るまで、五千年にも及ぶ歴史の中で生まれた美術品を集めた稀なる東洋美術のミュゼとなったのでした。
(フランスの美術館・博物館(ミュゼ・ド・フランス) 情報より)
http://www.museesdefrance.org/museum/special/backnumber/0711/special01.html

マリー・アントワネットの漆の箱を発見

   
今年の2月東京都美術館で開催された「ルーブル美術館展~フランス宮廷の美~」の展覧会で、マリー・アントワネット所蔵の漆の家具が展示されていましたが、当時日本の漆に人気があり、マリー・アントワネットも収集しており、母親から小箱を譲り受けていたと文献で読んでいました。ギメ博物館でその一部を見ることができました。
香箱など22個の日本の漆の箱ならびに印籠が大事に展示されていました。黒の漆に春秋の季節の花を配したものや金箔に螺鈿が施されたものなどがあり、日本からフランスに渡り、ベルサイユで愛され、今もこのパリに日本の漆の小箱が保存され、フランスや海外から来た人の目を楽しませていることに、深い感慨を覚えました。文化は国を超えてこのような形でも伝えられていくものであるから、いいものを造り、いいものを分かる目、心を育むことを幼い頃からしていかなければならないと感じました。

   
漆の小箱の隣の展示室には、尾形乾山の陶器の皿など見ることができました。左右対称でない日本のデザインが新鮮で驚きであったことでしょう。

日本の美の世界は、今日本のソフトパワーのマンガ・アニメに表現されて、パリの若者たちを魅了しています。日本人が描く世界が、格好いい、面白い、素敵として今何事もなく受け入れられています。
パリの高級ブティック通りであるフォーブル・サントノーレの服やアクセサリーを私たちが美しいと感じるように、日本のマンガ・アニメの世界の魅力をパリっ子も感じているのです。マンガ・アニメの魅力を感じた人たちは、いつか、そんなに遠くない日にその奥にある日本の美の世界も感じ取ってくれるようになるのではないでしょうか。

投稿者:Nurie |投稿日:08/10/17 (金)

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