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まだまだ続く大人のぬりえ人気

美術館便り3月号

●大人のぬりえ人気の秘密を探るー日経トレンディー3月号―
「日経トレンディー3月号」に、「ぬりえ」の記事が取り上げられました。最近大人がぬりえをするのが流行しているらしい。「不思議ヒットを斬る」というコラムでその人気の秘密をさぐって、4人の識者がその理由を語っています。

■ぬりえは脳をバランスよく使う。"ほどほどの創造力"がストレス解消に効果的
―杏林大学医学部精神神経科教授 古賀良彦氏―

ぬりえを脳科学的に見ると「見る」と「描く」という2つの作業をバランスよく行う「視運動強調」を保つ運動といえる。見ることは脳の後ろ半分、描くことは脳の前半分をよく使うので、ぬりえをすることによって脳全体が活性化されることになる。

ポイントは、"ほどほどの創造力"。単純作業だが図柄が多く、色を使うので飽きない。12色、24色程度の色の認知能力を使うことで、程よいリラックス感も得られる。塗っているときは集中するが、終わったらさっと忘れられるところも良い。
「たかがぬりえ、されどぬりえ」なのだ。

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日経トレンディー3月号 「不思議ヒットを斬る」

■気軽に有名アーティストとのコラボレーション気分を楽しめる。参加型アートのひとつ。
―ワーカホリックス代表取締役 柏木 篤氏―

最近の現代美術の世界でも、ファンが「色」に強く反応する傾向があり、村上隆氏の作品など一見平面的であり、そのままでもどこか"ぬりえ"っぽい。
ファンも作品を高尚な芸術として見るのではなく「カッコいい」「カワイイ」という身近な感覚で惹かれていることが多いので、好きな作家の作品に自分の好きな色をつけることにも抵抗がないのではないか

あらかじめアウトラインが引かれているぬりえなら、デッサン力は必要ない。自分の感覚で色をぬるだけで、好きな作家とコラボレートしているような気分が味わえるのだろう。
参加型のアートの楽しみ方が、若い世代を中心に定着しつつある。

■絵に自信がなくても、作品ができる「達成感」が人気。手ごろな生涯教育ツール。
―学研 用事教育研究所主任研究員 加藤 信巳氏―

大人のぬりえは絵が苦手な人でも枠内をきれいにぬれば鑑賞に堪える作品ができるという「達成感」が人気なのではないか。一時絵手紙がブームになったのと似て、特別な才能がなくてもちょっとしたコツさえつかめば作品と呼べる水準のものができる。

手先をつかうことは、前頭葉の機能を高め、認知症(痴呆)予防に有効ともいわれていることから、ぬりえは高齢化社会のコミュニケーションツールとしても有効ではないかと考えられる。
性別や年齢に関係なく楽しめるのもぬりえの良さ。ぬりえを使った高齢者と子供など異世代の交流も可能なのではないだろうか。

■団塊世代には懐かしく、若者には新鮮な遊び。ぬりえの楽しみは世代を超える。
―ぬりえ美術館館長 金子 マサー

団塊世代の女性のほとんどが、子供の頃にぬりえで遊んでいる。きいちのぬりえだけでも毎月100万部、ピーク時には160万部売れていた、大ベストセラー。それだけあの当時の女の子は、ぬりえで遊んでいたのだ。
色や画材、ぬり方で十人十色の出来上がりになる。ぬりながら、色の世界に没頭することでストレス解消にも役立っているようだ。
キャラクターもののぬりえで育った若い世代は、自由に好きな色を塗れることが新鮮で楽しいという。キャラクターは色が決まっているからだ。若者ならではのポップな色使いで、レトロなぬりえも新しい表情を見せる。ぬりえは世代の壁も軽々と超えてしまうのだ。

●ぬりえ美術館開館以来、ぬりえの注目度がアップ!
いままで忘れられていたぬりえが注目され、ぬりえの効用や活用の幅が広がってきたようです。ぬりえの脳への効果の研究はまだ必要のようですが、画家が高齢になっても元気に現役で活躍しているのは、よく知れていることです。ちなみにきいちも今年91歳。

2007年には、団塊世代の定年が来ます。昔とった杵柄で、60代からの趣味のひとつとしてぬりえにチャレンジしてみては、いかがでしょうか?

投稿者:Nurie |投稿日:05/02/10 (木)

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