ぬりえのあれ、これ No.1
2022年は、ぬりえの出版物の中からぬりえに関する「あれ、これ」をご紹介いたします。
「タイのぬりえ」 ~小学館スクウェア 「ぬりえ文化」より~
日本だけでなく、フランスやアメリカにぬりえがあるように、世界中にぬりえがある。
なかでもタイのぬりえにはオリジナリティーがあり、興味をそそられた。
そこで、タイの知人を通じて、2002年12月にひとりの画家を紹介され、その後も2003年、2004年と連続してタイに行き、この画家とぬりえを出版している企業からタイのぬりえ事情を聞くことができた。
タイのぬりえの発祥は、ラーマ5世(在位1868~1910)の時代に、出版技術が開発され、新聞が発行されるようになり、この新聞の中に描かれたイラストがぬりえの始まりといわれている。いわゆる風刺漫画、ポンチ絵からと思われる。
ラーマ5世は、在位期間が明治天皇とほぼ同時代であり、日本のぬりえの発祥も明治時代であるから、国は違えど同じ頃に誕生していることになる。偶然かも知れないが同じタイミングということが興味深い。
タイにおいて、ぬりえ作家といわれている人は、新聞にイラストを描き始めたヘーム・ウェチャコン氏で、1903年生まれであるから、ちょうど2003年が生誕100年でそれを記念した本も出版されていた。ぬりえ作家といわれるのは、「タイではこの人ただひとり」との出版社見解である。
タイではぬりえを「カーテユーン」と呼んでいる。英語で風刺漫画のことをcartoon(カーテユーン)という。漫画とぬりえは違うのに、どうしてカーテユーンと呼ぶのか、またタイ語でなく英語で呼ぶのはどうしてなのか不思議に思っていたのだが、その歴史的経緯が分かり、納得できた。
ぬりえの発祥を知ることは、どこの国でもぬりえの研究がほとんどされていないために難しい事なのですが、タイでは上述のように発祥を知ることができて大変嬉しく思いました。
(館)
今月のエントランス
東北のどこか雪が深い地方の子どもが、雪を防ぐために、フード付きのケープを着ていますが、今見てもとってもお洒落です。これなら雪が沢山降っても、大丈夫ですね。
ぬりえ美術館展示情報
2022年も壁面にはきいちが描がいた美人画や童女画の絹本を展示いたします。
展示室のご案内
☆きいちの描く絹本をお楽しみください。
☆館内のぬりえコーナーは、コロナ感染防止のためにしばらくお休みをしています。
ご了承の程お願いいたします。