ぬりえのあれ、これ NO.9
2022年は、ぬりえの出版物の中からぬりえに関する「あれ、これ」をご紹介いたします。
「きいちの魅力」をきいち自身が語っている言葉を、『夢をつむぐ』の尾崎秀樹氏によるインタビューの中から見てみたい。(―の部分が尾崎氏)
―・・「きいちのぬりえ」は本当に長い間続きましたね。けっこう男の子もやっていた。こういった無国籍な女性に対する憧れが子どもの心にあったってことだとおもいますよ。
蔦谷・・私の描いた女の子は、よく色香があるっていわれるんです。
―・・フランス人形の与えるイメージに近いですね。蔦谷さんの描かれる女の子は、なんとなく下ぶくれの、目がパッチリしていて口元が愛らしく、それで三等身か四等身ぐらい、
足が割合に太めという一つの型がありますが、最初からこうしたイメージがあったのですか。
蔦谷・・そうですね。子どもを描き始めたときになぜか最初からそうでした。やっぱり子どもらしさってことを考えたんでしょうね。子どもはだいだい三等身、四等身だし、足が太いのは顔とのバランスをとるために結局太くなったんです。そんで可愛いっていわれるから、それじゃこれでいこうなんて。(笑)
フランス人形からはずいぶん影響を受けたと思いますよ。いちばん最初に描く時に、こういう形でいこうかなと思いましたから。
―・・髪をカールさせるのもそこからですか。
蔦谷・・そうですね。それからシャーリー・テンプルの影響もあるんじゃないですか。
子どもの絵ですから意識的に外国のファッションを描こうと思ったことはないんだけれども、子どもの絵だからといって単に子どもらしく描いたんじゃだめなんです。服装にしても、服飾デザイナーになったつもりで大人のファッションを持ってきたりして、いろんな服を着せてやりたいと考える。ときにはイヤリングや指輪などの、女の子がしてみたいなと憧れているアクセサリーもつけてやりました。それを子どもらしく描くと子どもたちに喜ばれましたよ。
―・・それはやっぱり子どもの願望があるんですね。
蔦谷・・無国籍さといいますが、子どもの夢の中に外国の女の子のイメージがあるんじゃないですかね。特に戦後の女性や子どもファッションは欧米のものが入ってきたでしょう。だから自分の夢を表現してくれたっていうんで受けたんじゃないでしょうか。
それに子どもたちの好むものは遊びの絵なんです。学校へ行く絵とか学校の中での絵ではだめなんですね。だからお遊びと、ごく普通の風俗を主として描きました。
参考:「ぬりえ文化」小学館スクウェア
今月のエントランス
年代:昭和30年代
作者:きいち
ドレスを着たら、何をしましょうか?もちろんダンスで決まりでしょう。音楽も聞こえてきそうですね。Shall we dance?
ぬりえ美術館マスコミ情報
★8月4日東京新聞でぬりえ美術館が20周年を迎え、10月30日(日)に閉館することが紹介されました。
10月で閉館になりますので、きいちのぬりえの可愛さを是非目に焼き付けてください。
展示室のご案内
★8月~10月まで、秋の企画展を開催しています。絹本とぬりえを展示しています。
★館内のぬりえコーナーは、ころな感染防止のためにお休みをしています。ご了承のほどお願いいたします。
Posted: Nurie : 22年09月03日 |