きいちは自身が日本舞踊を習い名取までになっていましたので、日本舞踊を題材にしたぬりえを数多く描いています。左の絵は「藤娘」、右の絵は「三面子守」です。私もすこし日本舞踊を習いましたので、着物の中で、足をどのように曲げているか、腕はどのようになっているか、想像することができますが、きいちは本当に踊りを知って描いていることがわかります。
きいちは戦後仕事を始めるときに、絵本作家を目指したことがあります。結局慣れたぬりえを本業としましたが、袋入りぬりえの中で絵本のように物語を展開しています。上のぬりえのようにシンデレラ、親指姫、かぐや姫、リボンの騎士など、多くの物語を残しています。ぬりえであれば、絵本を購入できない子どもたちでも、物語に触れることができるからでもあったと思います。
美空ひばりのぬりえを中心にした展覧会、どうぞお楽しみください。(館)