今年の桜前線は、例年より早くなりそうですね。私の田舎は、埼玉県の幸手市ですが、権現堂の堤の桜が大変有名です。土手下に咲く菜の花と桜が一緒に見れることでも魅力の一つとなっています。日本人にとって、桜は特別な花ですね。
館内に入ってスグ目に留まるぬりえは、その時々の季節のものや テーマを設けて月毎に展示しています。このコーナーでは、月替わりのエントランスのぬりえから1枚を選んでご紹介します。
タイトル:おひなさまのおかし
作 者:きいち
年 代:昭和30年代
3月のエントランスは、「ひなまつり」をテーマにしたぬりえの展示しています。
「雛祭り」はいくつになってもこころ時めく女性のお祭りですね。
今月のきいちのぬりえに描かれているのは、お雛様のときに飾って、食べるお菓子です。今では普段から美味しいお菓子が手に入り食べられますが、昭和20年~30年代はそうそう美味しいお菓子を毎日食べられるものではありませんでした。そういう時代に、雛菓子は特別なお菓子に位置づけられるものだったのだと思います。
ここに描かれているのは、籠に入ったお菓子ですが、たぶん砂糖で作った果物や鯛などのお目出度いものを形どったお菓子だと思います。その他、雛あられや菱餅などを飾りますね。
菱餅のピンク、白、緑の3色には意味があるそうです。ピンクは、健康と桃の花を意味し、白は清浄と残雪を、緑は穢れを祓うという思いがこめられているのだそうです。菱餅は、強い繁殖力を持つ水草のヒシの実に由来するのだそうです。
ぬりえ美術館のある荒川区は下町ですから、町の中に沢山の餅菓子屋さんがあり、お団子やお饅頭、海苔巻きなどが売られています。春になると草餅がでてきますが、蓬の入った草餅も雛祭りの3月3日のお節句に邪気を祓うために草餅をたべたということに由来があるそうです。
お菓子の話をしていると、お菓子が食べたくなりますね。皆さまのご出身の土地や今お住まいの土地での、雛菓子はどのようなものがありますか。(館)