東京都荒川区町屋 土日曜のみ開館
開館時間:(3月~10月)12:00~18:00 (11月~2月)11:00~17:00

ぬりえ美術館

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美術館便り3月~5月合併号 (2)

2.掲載雑誌より
2-1 「築地物語」NO.55 1998年11・12月号より
・きいちさんは京橋区新佃(現在の佃2・3丁目辺り)で生まれ、4歳のときに入船町に一家で引越し。昭和3年に築地2丁目11番(玄築地3丁目7番)に新築した店を本家としたが、きいちさんは母親と足立に住む。


・昭和3年明石町にある京橋商業高等学校に進むが、自分に合っていないことに気づいて
画家を目指して、川端画学校に通う。


・きいちさんは、銀ブラを楽しむモボ(モダンボーイ)だった。仕立てのいい服を着て、銀座に繰り出していた。
「キャバレーやカフェには行かないで、名曲喫茶とか、ジャズの店、ダンスホールに行って銀ブラをして帰ってくるんです。当時、銀座に遊びに行くのは、若い人かお金を持っている人。当時は兄が小遣いを余計にくれていたから毎日行っていたんです。一流の喫茶店でコーヒーが五十銭、ダンスホールのチケットが十枚で三円なんです。喫茶店はサボ意とかブランシックとか西銀座にあった大きな名曲喫茶とかに行きました。どうしたわけなのか、銀ブラをしないと、眠れなかった。私の三階の部屋からは銀座の灯りが見えたんですけど、その灯りを見ると、雨でも嵐でも銀座に行かなきゃ気がすまなかったもんです」


・ぬりえを始めると売れてブームを巻き起こした。収入が急激に増えたが、きいちさんはそのほとんどを芸事に注ぎ込んだのである。茶道、華道、長唄、三味線、日舞(花柳流名取となる)
この芸事がぬりえのなかに充分に生かされています。


・「机にむかっているかと思ったら、別なことをしているんですよ。きれいな包装紙をみつけると箱貼りをしたり、カーテンを縫ったりして、既製品の洋服だって着やすいように直したりするんです。」
きいちの器用さがわかる話である。

2-2 町雑誌「千住」Vol.11 2000年8月発行
・「千住は第二のふるさとなんですよ」
手広く商売をしていた実家は震災後すぐ、千住宮元町にも事務所を、足立区本木に工場兼倉庫と住居の一部を構えたので、子どもの頃からきいちさんと千住の関わりは始まるのである。


・きいちさんは使用人の沢山いる裕福な家で不自由なくのびのびと育つ。兄弟の上下が女だったせいもあり女の子と遊ぶことが多かったので、着物の切端で人形つくりをしてはままごとに興じ、母親のお供をして呉服屋にでかけるのが大好きだった。
・きいちさんは、小さいころから美しいものに並外れた憧れをいだいていた。


・「きいちは呉服の生地の名前やなんかすぐに覚えちゃうんだ」って言われていたんですよ。生まれつきのものなんでしょうね。それにまわりから「もっと男らしくしろ」とか
「女の子みたいだ」と言われたこともなかったんです。


・昭和19年12月29日に見合い、翌年1月19日に千住神社で結婚式をあげ、新居は千住緑町に構える。半年後召集令状が届き海軍省本部に配属となる。終戦となり、緑町の家に戻る。


・柔道家だった兄は警察でも仕事をしていたので、その紹介で、月島の進駐軍の米兵の持ち込む家族写真を、肖像画に描く仕事を始めた。1年くらい続けたところで、進駐軍が引き揚げることになり、肖像画の仕事は終わる。


・昭和22年の春、柔道家の兄が千住宮元町につたや道場を開き、その周辺に兄弟があつまって暮らし始めた。それからの2年間、この千住宮元町の居心地のよい小部屋から、日本中の子どもたちに向けてたくさんのぬりえが生み出されていったのである。


・最愛の一人娘をもうけたのも千住宮元町の家だった。


・足立区の梅島に家を建てて引越したが、親兄弟が暮らし、娘が踊りや幼稚園へ通った千住へはたびたび訪れているので、「千住は住んでいなくても自分の土地」だと思っていた。


・きいちさんがのめり込んだ日舞は、一人娘・美絵子がきっかけだった。週二回千住宮元町の花柳喜代先生のところに娘を送り迎えするうちに、きいちは自分でやりたくなり、男ながらに稽古に励んだ。
もともと歌舞伎などがすきだったきいちだが、踊りでみにうけたしぐさや表情が絵に影響を及ぼしたことは想像に難くない。


・「私の絵をモデルに娘の洋服をデザインしたんですよ」筆を持てば次々と洋服のデザインや模様が浮かんできたのだそうだ。

Posted: Nurie : 14年03月05日 | 美術館だより

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