だんだん蒸し暑くなってきました。じめじめした梅雨の季節に入りましたが、新暦では日本の6月は梅雨どきですが、旧暦の6月は梅雨が明けた夏の酷暑の頃で、厳しい日照りで水が干上がり、「水の無い月」でした。もうすぐ夏本番。花火や海のレジャーが今から楽しみです。
ぬりえのこころ -今月の一枚-
館内に入ってスグ目に留まるぬりえは、その時々の季節のものや テーマを設けて月毎に展示しています。このコーナーでは、月替わりのエントランスのぬりえから1枚を選んでご紹介します。
6月のエントランスは、物語をテーマにしたぬりえを展示しています。
タイトル:りんごうりのおばあさんにおくりものをするせでい
作 者:きいち
年 代:昭和30年代
寄贈者 :宮崎 ツヤ子氏
きいちは昭和22年に仕事を始めるときに、絵本を作りたい気持ちがあり、メリーさんとはなこさんという絵本を作っています。その後戦前からやりなれたぬりえを始めますが、そのぬりえの中に物語のぬりえをいくつか描いています。
今回展示している物語は、「青い鳥」、「オズの魔法使い」、「アルプスの少女ハイジ」、「森の兄弟」そして、ここで紹介している「小公子」です。
子どもの頃に読んだことがあるわ、と思い出される方も多いことでしょう。ニューヨークで生まれたセディが、イギリスの伯爵の祖父の後継者として、母とイギリスに渡っていくお話です。このぬりえは、ニューヨークのブルックリンで生活をしていたセディが別れる前にりんご売りのおばあさんにさよならをする場面を描いています。
昭和20~30年代、月刊雑誌を購入できるのは、クラスで数名という時代でした。それらを回し読みする時代ですので、ぬりえの中に描かれた物語も子どもたちにとっては、とても楽しい読み物兼ぬりえ、又はぬりえをしながら物語を覚えるいい手段であり、わずか5円か10円で物語が楽しめる、いくつもの楽しみがあるものだったのではないかと思います。
ひさしぶりに小公子など、昔読んだ絵本や物語を読みたくなりました。(館)