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3月の美術館ニュース(2)

『海外ぬりえ』研究室 No.3
ドイツのぬりえ「Malbuch」
   
   
今回はドイツの「手書き」のぬりえという、現在では珍しいぬりえをご紹介いたします。出版社はケルンにあり、2007年に訪問したことのある会社です。ぬりえを専門にする会社で、販売先は大きなスーパーマーケット。安い価格だがグレードは高いというぬりえを販売しています。スーパーマーケットでの販売は、幅広く多くの人々に買っていただけるからだそうです。
この会社の特徴は、「手書き」にこだわり絵を作っていることです。そのためにスペインのバルセロナに注文して描いてもらっているとのことでした。何故ならスペインには、手で描くという伝統があるのだそうです。ちなみにトリックフィルム(アニメーション)に関しては、ベルギーに伝統があるそうです。
この会社ではDie Biene Maya(ミツバチマーヤ)のぬりえを作っているのですが「ミツバチマーヤ」はドイツのテレビでも放映され、主題歌が大変な人気で、知らない人はいないくらいの物語のぬりえということです。テレビのキャラクターがだんだん多くなっているけれども、オリジナルの作品作りに力をそそいでいるそうです。きいちの時代にも日本では手書きのぬりえでしたのでこのぬりえ本には大変関心を持ったのですが、やはり会社のオリジナリティーを出すために手書きということにこだわったものと思われます。日本のぬりえはほとんどキャラクターものですが、このようにこだわりをもったぬりえがでてきて欲しいものです。

この本のぬりえは、眠りの森の美女、シンデレラ姫、三匹の子豚など童話からとられたもので構成されています。この会社のぬりえは、手書きで書かれた線のため、線が柔らかく、見ていても人に優しい印象を与えます。又線が太いので子ども達が塗る際に、はみ出しにくいので塗りやすく、又紙面に対して、多くの絵が紙面いっぱいに描いてあるので、子どもにも見やすいぬりえだと思います。

この会社の担当者にベストセラーをお聞きしてみたところ、
・一番のベストセラーは、「プリンセス(お姫様)」のぬりえで、ピンクの表紙が大事 なポイントだそうです。ピンクとお姫様が人気なのは、日本でもまったく同じです。 女の子の夢は世界共通ということですね。
 又ファンタジーを感じられるように、「マーメイド」「バレエ」「ポップスター」な どが人気ということでした。
・男の子向けには、「騎士」のもの、その他、自動車、サッカーのぬりえだそうです。
・数字の順番に線をつないで描いていくものにも人気があるそうです。

その他に、ドイツでは、「子馬の絵」が人気だというので、理由を聞いてみたところ、ドイツでは乗馬が盛んで、自分の馬を持ちたいという思いがドイツ人の生活の中にあるのだそうです。事実、本屋さんにも子馬のぬりえが多く販売されていました。
日本では、馬は我々の生活には入っていないのでイメージしにくいのですが、さすがにドイツならではの発想のぬりえであるのだと思いました。

参考(出版社)
SCHWAGER&STEINLEIN Kinderbuchverlag
http://www.schwager-steinlein-verlag.de

今月のエントランス


タイトル: 『しんじゅのおうぎ』
年代:昭和30年代 作者:きいち

豪華な扇を持ってこちらにほほえむお姫様。手袋や花飾りが、ゴージャスさを引き立てています。真珠がいっぱいついた扇って、一体どんな色をしていて、どんな風に輝くのでしょう。ぬるときに想像がはたらく、宝石のような1枚です。

ぬりえ美術館メディア情報
「都電荒川線お散歩Book」に沿線の見どころとして、紹介されます。3月下旬発刊予定。

【展示室のご案内】
3月~5月まで、館内の展示は10周年記念企画展を開催しています。
色鮮やかなぬりえやきせかえの原画をご紹介いたします。
懐かしいぬりえを観て、塗って、ぬりえの世界を体感してください。

投稿者:Nurie |投稿日:12/03/02 (金)

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