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スイスの「グリエツイ」7月号に記事掲載のご案内

5月にスイスのぬりえ調査をした際に、チューリッヒで発行されていますスイス-日本ジャーナルの「グリエツイ」に取材を受け、その調査内容が、7月号に掲載されました。
   
左:「グリエツイ」表紙 右:掲載記事

ぬりえ美術館(東京都荒川区町屋)の金子マサ館長が、5月24日から6月1日に掛けて、スイスのぬりえ事情調査のため、チューリッヒ、ジュネーヴの幼稚園、保育園を訪問し、教育関係者にインタビューしました。
金子館長の伯父にあたる蔦谷喜一(1914年?2005年)はぬりえ作家で、戦後日本で一世を風靡し、「きいちのぬりえ」シリーズは、当時の少女たちの間で絶大な人気を誇り、息の長いベストセラーを続けてきました。

日本では近年、認知症予防の研究が進み、脳の活性化に役立つ方法のひとつとしてぬりえが注目され、2006年には100冊を越えるぬりえ本が出版されるほどぬりえブームが再来しました。現在では、さらに裾野が広がり、老人保健施設でぬりえが使われ、お年寄りがぬりえを楽しんでいます。

絵本は子どもの成長にとって重要なものと考えられ、読み聞かせなどが重視されている一方で、ぬりえに関しては専門書も図書館にない上、専門に研究している人もいない点に疑問を感じ、金子さんはぬりえの調査を進めてました。今までにアメリカ(ニューヨーク、サンフランシスコ)、ドイツ(ベルリン、カールスルーエ)、フランス(パリ、トゥールーズ)、フィンランド(ヘルシンキ)、中国(北京、上海)で海外調査を行いました。

スイスでの教育現場を視察した金子さんは、ドイツ語圏のチューリッヒとフランス語圏のジュネーヴでは、かなりぬりえについての考え方が違う印象を受けました。金子さんは語ります。
「チューリッヒ州の幼稚園では、先生がぬりえの面白い使い方を見せてくれました。子どもたちにひとつのぬりえを配り、先生が色指示をだして、生徒たちがその色を塗っていくというものです。先生の指示が理解できるかをしっかり確かめられるものになっていました。同時にぬりえは、手先の運動(運筆)にも役立つと理解されています」
「ジュネーヴでは、ぬりえについてもっと寛容なムードがありました。ある幼稚園では、先生が『はらぺこあお虫』を読み聞かせたあと、いも虫と蝶々のぬりえのどちらがいいか子どもたちに選ばせてぬりえをしたり、先生がどのような絵を描くのか説明した後、子どもたちの想像に任せて絵を描かせ、色をぬらせる授業などが行われていました」

チューリッヒ教育大学教師との話しの中で、ぬりえ美術館で開催している「大人のぬりえサロン」で大人が描いたぬりえの作品や、高齢者のための脳の活性化のためにぬりえを活用している話をしたところ、その教師は、「スイスでは、大人がぬりえをするということは絶対考えられない。日本にはぬりえの文化があるのだと思う」と結論付けていたといいます。
「そのことが確認できただけでも、今回のスイスでのぬりえ視察は実りあるものでした」
金子さんは、今回の調査旅行でてごたえを感じたようです。 

ぬりえ美術館ホームページ
www.nurie.jp/index.html

投稿者:Nurie |投稿日:11/07/23 (土)

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