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1月の美術館便り

新しい年を迎え、夢や抱負にあふれていることと存じます。
今年もぬりえ美術館では、皆様の顔や心が緩んで、温かくなるようにぬりえを楽しんでいただきたいと思っております。今年もよろしくお願いいたします。

□ぬりえでダイエット
昨年いただいたアンケートの中に、"ぬりえで10kgダイエットしました!"というものがございました。大変な報告だと思います。
ぬりえをしているときの、一番の効果は、「すぐに集中できる」ということが挙げられます。
実にこれは脳を調べたときにもでていた効果なんですが、その集中をダイエットにつなげられた訳です。
この方は間食をしたくなったときにぬりをしていたら、10kgもやせたそうなのです。食べたくなったらぬりえすると、ぬりえに集中できるので、食べ物に手がのびることもないですし、食べたいということを忘れることができるからだと考えます。このすばらしい成果を「ためしてガッテン」にでもお知らせしたいと思うほどです。
ぬりえは脳の活性化に役に立つと言われて、老人保健施設など様々な場所で高齢者向けにぬりえが使われていますが、また新しいぬりえの使い方の発見となりました。
やせたいと願っている方は、ぜひぬりえにトライしてみてはいかがでしょうか。

□ぬりえの調査
昨年5月に「ぬりえの不思議」という本を株式会社ぎょうせいという出版社から発売させていただきました。日本、アメリカ、ドイツ、フランス、ロシア、中国でぬりえがどのようになされているのかを報告しています。
子どもたちはぬりえが大好きですが、それぞれの国の歴史や文化によって、教育現場でぬりえをどのように取り扱っているかは違いがあります。
他人との違いを理解させるためにぬりえをするというニューヨークの幼稚園。様々な人種が集まり、クラスアメリカでは、違うということが前提であり、それを認めていく教育が小さい子どもの頃からなされていることを実感させられました。
さらに使い方としては、自分で鉛筆で絵を描いて、それに色づけするということをニューヨークもサンフランシスコの幼稚園でもしていました。この使い方もアメリカ独自の使い方で、他の国ではまた見たことがありません。
ロシアでは、かなり積極的にぬりえをしています。モスクワのかなり余裕のある幼稚園では、一人に一冊のぬりえ本をつかって、ぬりえをしていますが、小さい園児が色などを間違うと先生が指導をされていますし、絵やダンスなど子どもの才能を伸ばす場所が様々にあり、無料や教材費程度で学ぶことができるようになっています。また図書館でもぬりえの本がおかれ、見るだけでなく、塗ってもいいのだそうで、これも大変珍しいことでした。
多くの図書館では、"図書館は本を読むところであるから"という理由で、ぬりえの本を収集していない図書館が多いですし、まして置いてある本に色をつけるということは、他の人がつかえなくなるので、塗ることは禁止になっていると思います。

ドイツでは、残念なことにぬりえに対しては積極的ではありませんでした。母親が自分の子供の頃にぬりえをしていないと、子どものぬりえに対しても余り関心がなくなるということも体験しました。しかし、マンダラのぬりえが1990年代にでてきて、マンダラは癒しということで
子どもたちに塗らせていました。マンダラの本をみるとぬりえとどこが違うのかと思いますが、ドイツの方からみると分類というか範疇が違うということでぬりえとは分けて考えているようです。
 
フランスでは、ドイツとは反対に積極的にぬりえが使われていて、とくに年少の園児には有効だと活用されています。鉛筆、クレヨン、マーカーなどの画材の使い分けなども教えられています。フランスは歴史もあり、芸術の国ですから、小さいときから美術館なども見学し、美術教育がしっかりなされていると思いました。
フランスを始め欧米では、アルファベットを使いますが、アルファベットは流れるような文字ですから筆圧がいりません。それに比較して日本語は、筆圧が必要な文字のようで、日本人は2,3歳児でも十分色鉛筆でも色を出すことができますが、欧米の子どもたちは指の力がないため、色鉛筆では色がでません。そのため、ちょっと触っただけで色がでるマーカーをよく使っています。日本では、マーカーでぬりえというのは余り見かけませんね。

中国でも幼稚園でぬりえがされています。ぬりえは絵画に入る前の入り口という捕らえ方で、ぬりえをしています。一人っ子政策の中国では親たちが子どもの教育に力をいれているので、幼稚園の授業のほかに絵画、スポーツ、音楽などの課外授業も盛んになされています。中国は日本と同じように手先が器用ですから、2歳、3歳児でも上手に塗ったり、折り紙を折ったりすることができます。お箸をつかう国の共通点かと思いました。

それぞれの国でどのようにぬりえをしているのか、今年も継続して、調査をしていきたいと思っております。(館)

投稿者:Nurie |投稿日:11/01/09 (日)

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