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ぬりえ美術館便り 8月~10月合併号

「昭和40年代のぬりえ展」
22年月8月7日(土)~10月31日(日)
 
ぬりえ美術館は、平成14年の8月に開館いたしまして、今年で8年目を迎えることができました。これもひとえに皆様方のご支援の賜物と感謝いたしております。

ぬりえ美術館の活動といたしましては、美術館のぬりえ展示を中心に、様々な形でぬりえに関する情報を発信していきたいと思っております。
その一つとして、今年5月に、「ぬりえの不思議」を株式会社ぎょうせいより出版いたしました。美術教育、 幼児教育、発達心理、脳科学の専門の先生方との共著でございますが、海外でのぬりえの現状を書かせていただきました。日本のぬりえの状況に新しい認識が広がっていくことを願っております。
また10月13日よりパリのエスパスベルタンポアレにて、ぬりえ展を開催する予定です。パリでの開催は2度目となります。今回は、ぬりえのワークショップを開催し、日本のぬりえを楽しんでいただきます。
今後ともぬりえ美術館にご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

平成22年の8月からの企画展では、「昭和40年代のぬりえ展」を開催いたします。
日頃は昭和20年~30年代のきいちのぬりえを中心にご紹介していますが、この度初めて、きいち時代以降のぬりえをご紹介いたします。
ちょうど今NHKの朝の連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」が放映されていますが、その時代のぬりえになります。
どうぞお楽しみください。

時代背景
昭和31年「週刊新潮」の創刊をきっかけに大人週刊誌ブームが起きる。サラリーマンたちの時間の隙間にはまり込むことで、週刊誌は雑誌メディアの中心へとあっという間におさまった。前後して「漫画読本」のヒットをきっかけにした大人漫画ブームも起きており、都市生活者の中によりスピード感のある娯楽が求められていたことがわかる。テレビ放送はジワジワと受信契約を増加させ、生活そのものが週単位への変化しだしていた。子ども雑誌がこうした状況に敏感に反応したのは当然だった。大人の世界より三年送れて、初めて子ども向け週刊誌「少年マガジン」「少年サンデー」は創刊されることになる。記事・読み物・漫画で構成されたそれは、週刊誌の特性をまだ捕まえていなかったし、とまどいも見られた。・・・・・・・・・
週刊誌そのものは隆盛期の中にあった月刊誌には部数的に遠く及ばなかった。およそ三、四年は、十万部前後だったといわれている。
しかし、テレビ時代の進行とともに、子どもたちの生活も週ごとのものに変化していった。週刊誌は子どもたちのブームを取り入れ、またブームを作ることで少しずつ気の置けないものへと変化していく。・・・・・
テレビの刺激の前に、月間マンガ誌は娯楽の王座をすべり落ち始めていたのだ。
(別冊太陽 少年マンガの世界Ⅱより)


昭和34年の皇太子様のご成婚、昭和39年の東京オリンピックという二大イベントを機会に、テレビを購入する家庭が増え、一般家庭にテレビが入ることにより、大人はもとより子どもたちの生活が変化していくことになります。
ラジオであれば、ラジオを聴きながら手を動かし、ぬりえをすることができますが、テレビとなりますと、見ながらぬりえをするという訳にもいきません。新しい文化が入ってくることにより、きいち時代のぬりえを始め、紙芝居、貸本漫画、映画などが衰退していきました。新しい文化の前には「古臭い!」というものに写ったのでしょう。
 
しかしぬりえは昭和40年代にも、現代にも存在して、子どもたちが遊んでいます。昭和40年代のぬりえとは、どのようなものであったのでしょう。
 大きく分けて、4つほどに分類ができると思います。
1.キャラクターぬりえ: マンガ、テレビのキャラクターのぬりえ本
2.童話、物語
3.ファッション系
4.ノート

キャラクターぬりえ現在のぬりえにつづくキャラクターのぬりえです。テレビで放映されていれば、その主人公たちに共感を覚えていくものでしょう。日本のみならず欧米、東南アジアでもキャラクターぬりえは人気です。遠いギリシャで、ドラゴンボールZのぬりえ本を見つけましたが、ポケモン、ドラえもんなどテレビアニメから人気となったキャラクターがぬりえになっています。
   

魔女っ子メグちゃん』は、1974年4月1日から1975年9月29日までNET日本教育テレビ(現・テレビ朝日)系列にて放送されたテレビアニメ。『魔法使いサリー』、『ひみつのアッコちゃん』に続く「東映魔女っ子シリーズ」の第3作である。

『魔法のマコちゃん』(まほうのマコちゃん)は、1970年11月2日~1971年9月27日の毎週月曜日19時~19時30分にNET(現・テレビ朝日)系列にて全48話が放送された日本のテレビアニメである。

『柔道讃歌』(じゅうどうさんか)梶原一騎原作、貝塚ひろし画の漫画作品。
週刊少年サンデー1972年21号~1975年14号まで連載された。またそれを原作
としたテレビアニメで、柔道を主題にしたスポーツ漫画です。
アニメ版 は、1974年4月1日~9月30日まで日本テレビ系で放送された。


童話・物語
シンデレラ、白雪姫、アンデルセンなどの童話や物語のぬりえ本です。昭和10年代にも「青い鳥」のぬりえが数多くみられましたが、塗りながら童話や物語を覚えていくぬりえです。
現在ではディズニーのアニメ映画のぬりえに続いていっているぬりえではないでしょうか。ディズニーのぬりえは、日本ばかりでなく、海外のどこの国でも見られます。ロシアの幼稚園でも、ディズニーのぬりえを幼稚園児が楽しんでいました。
日本のアニメキャラクターとディズニーはぬりえの双璧ではないでしょうか。
      

ファッション系
高度経済成長期になり日本経済も復活してきて、テレビドラマとしてアメリカのドラマが豊かさの象徴のような形でテレビを通じて日本社会に入ってきます。子どもたちの憧れは当然のようにアメリカ文化に向けられることになります。
きいち時代からぬりえは子どもたちの憧れを描いたものでしたが、この時代の少女に提案する「憧れ」がアメリカの生活から生まれてくるような素敵なファッションであったのでしょう。
経済も発展してきて、既製服の良いものが生まれてきて、ファッションにも関心が持てるようになり、どのようなファッションが流行しているのか、自分の好きなもの、
着てみたいファッションはどれか、ぬりえを塗りながらいろいろ想像することができたのではないでしょうか?
      

ノート系
ぬりえ専門のノートではなく、ノートにぬりえやきせかえがついたものです。ノートは罫線のない白紙タイプで、自由な使い道ができるようになっています。ぬりえは1ページから2ページほどで、裏表紙はきせかえやカード等になっています。
ぬりえで遊んでいた子どもたちが大きくなって、学校に行くようになり、学校でも使えるように企画されたノートではないでしょうか。表紙の絵柄でノートを選んだり、
勉強の合間にぬりえをするなどして楽しんだものだと思われます。
      

昭和40年代のぬりえには、漫画家さんが描いたものがでてきます。あたらしいぬりえの作り方の特徴であると思います。又きいち時代には男性作家が描いていたものが、キャラクターぬりえ以外のぬりえに、女性の方が描くようになっているのも特徴のひとつであります。

さあ、この中に見覚えのあるぬりえ本があったでしょうか?
8月~10月まで開催の企画展「昭和40年代のぬりえ展」をどうぞお楽しみください。                                

投稿者:Nurie |投稿日:10/08/10 (火)

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