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7月の美術館便り

今年の梅雨は、地区によってはゲリラ豪雨のようになったりして、大変不安定な
天候です。梅雨はもうしばらく続きますが、梅雨の晴れ間を利用して、健康的に過ごしていきたいものです。

■チベット曼荼羅の世界
7月2日に相田みつを美術館の第2ホールで開催されていました「チベット曼荼羅の世界」展を見てきました。
曼荼羅をどのように描かれているのか知りたかったことと、先日DVDで「セブンイヤーズインチベット」を見ていたことから、チベットのことにも興味があったことから、見学をしてきました。
今回の曼荼羅は、「ダライ・ラマ法王生誕75年 祝賀特別記念行事「チベット砂曼荼羅の世界」と題して、ダライ・ラマ法王のご長寿と世界平和を願い、タシルンポ寺院の僧侶たちが南インドから来日し、チベット仏教美術の頂点「砂曼荼羅」を公開制作したものでした。

会場内にあります製作現場には、ダライラマを祭った祭壇を前に、僧侶4人が曼荼羅を制作中でした。制作は6月29日から7月4日までということでしたので、ほぼ完成に近い形でした。丸い円を4分割して4人で制作を担当していました。
曼荼羅は下図のようなものが描かれているものではなく、描き始めだけは、コンパスのようなものを使うようですが、その後はひたすら色砂を入れた金属の棒を静かに擦って色砂を棒の先から出して曼荼羅の一つ、一つの絵を描いていくというものでした。
その現場は、大変静謐な世界でした。

案内状にある曼荼羅についての解説によりますと、
・・・~チベット仏教における大日如来の砂曼荼羅について~・・・・
大日如来を教主とする「大日経」は、弘法大師空海が日本に伝来した密教のひとつの柱であり、チベットの仏教では密教経典の四類のカテゴリーのうち二番目の行タントラの主要な経典とみなされています。
チベット密教における「大日経」の相承はインドの学者ジターリから、チベットのバリ・ロツア―ワ伝わり、それから何代かをへて現在のダライ・ラマ法王にまでその伝統は継続しています。
チベット仏教では様々な形で曼荼羅を作成しますが、中でももっとも正式な曼荼羅の描き方は、各種の色砂を組み合わせて描くこの砂曼荼羅です。大日曼荼羅はより多くのの人が見ることにより、多くの利益をもたらすものと言われています。
この曼荼羅の本質は、一切の仏たちの「すべての生きとし生けるものの苦しみを取り除きたい」という慈悲の心(大悲)と「空を理解する知恵」(空)の二つであるが故に、名「大悲空胎蔵曼荼羅」と呼ばれています。
そして「大日経」には、「この曼荼羅を見る人は、無限の過去から積んできたあらゆる悪業が浄化され、地獄、餓鬼、畜生などの悪趣に生まれ変わる罪障が浄化される」と説かれています。是非この素晴らしい機会に、大日曼荼羅を参拝されることをおすすめします。
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私自身は描いているのではなく、描いている僧侶の手元を見ていたのですが、制作している僧侶と同様に、集中している自分がいることに気がつきました。
曼荼羅の解説の中「大日曼荼羅はより多くの人が見ることにより、多くの利益をもたらすものと言われています」とありますが、そのようなものであるとは知らずに見に行ったのですが、その大きな力によって惹きつけられ、集中をさせられてしまったのではないでしょうか。

今回は本物の大日曼荼羅を見ましたが、ぬりえの世界でも曼荼羅、マンダラのぬりえがあります。日本では、春秋社等から曼荼羅のぬりえが出版されています。まさにこのチベットの曼荼羅のような絵がぬりえになっています。
ところが海外では、特にドイツ、フランスなどで見かけるマンダラは、子どもたちが塗るものとして1990年代から流行しているそうですが、チベットの曼荼羅とは全く別物のデザインです。妖精やお花、海賊、月や星など子どもたちが喜びそうな絵を丸の中に左右対称に描いたものをマンダラと呼んでいます。その目的は「癒し」と謂われています。特にドイツでは、いわゆるぬりえは余り歓迎されずに塗られていませんが、このマンダラだけは「癒し」だからという理由で、幼稚園でが子どもたちがマンダラを楽しんでいます。
目的はさて置き、ドイツやフランスのマンダラは、とても可愛らしいデザインの絵で、
このようなぬりえであれば、日本の子どもたちも喜んで塗るだろうなと思います。

曼荼羅に集中し、心の中がすっきり、清々しい気持ちになることを体験した1日でした。(館)

投稿者:Nurie |投稿日:10/07/07 (水)

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