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1月の美術館便り

明けましておめでとうございます。今年も皆様にぬりえを楽しんでいただける展示企画をしていきたいと思っております。今年もご愛顧のほどどうぞよろしくお願いいたします。
 
フィンランドのぬりえ事情
昨年のパリのぬりえ展のあとに、フィンランドのぬりえの状況を取材してきました。
1月、2月に「ぬりえ美術館便り」でご報告をしたいと思います。 何故、フィンランドに行ったのかといいますと、フィンランドは、PISA(OECDによる国際的な生徒の学習到達度調査のこと)の成績が世界一ということで、PISAの結果にぬりえが関係しているのかどうか、フィンランドでのぬりえの実態を調べてみるために行ってきました。いまやフィンランドは、学校などの視察が多くなり人気の国となっています。

日本人気
フィンランドでは、保育園(幼稚園はない)やぬりえの出版社や本屋さんなどを取材しましたが、街を歩いてこちらが驚かされたのは、フィンランドの首都のヘルシンキでも大変な日本人気だということでした。本屋さんに行けば、マンガが人気で、本棚に行ってみると、ゴシック・ロリータの服装の少女が2人、マンガを手にしていました。一人は"ナナ"、もう一人は"デスノート"でした。日本の人気がそのままヘルシンキでも人気なのです。
「写真を一緒にとってもいですか」と尋ねると、「ピース!」と言って喜んでポーズをしてくれた。「ありがとう」とお礼も完璧な日本語でした。情報は殆どインターネットでとっているそうで、日本の歌も歌えるということでした。
街には日本のグッズショップもありましたし、ただし本物と偽者が混じったショップであったことは残念でしたが、次から次へとお客様が来店され、大人気でした。

又あるライブハウスの近くで見かけた光景は、日本からのビジュアル系のバンドのライブがあるということで、ここにもゴシック・ロリータをはじめとする日本の原宿系ファッションの少女たちがずらっと行列をして開店を待っている姿でした。その中で一番びっくりしたものが、留袖姿の少女でした。どのように着物を入手したのか尋ねると、インターネットで購入したという答え。後は見よう見真似で着付けをしたようでした。インターネットのお蔭で、北欧の都市にまで、日本の情報が来ているのかと、驚きと感激が混じった感情でいっぱいになりました。

ぬりえ状況
さて保育園での様子ですが、ぬりえは子供たちに好きな絵を選ばせて、好きなように塗らせていて、先生は、特に何も指導はしませんでした。
フィンランドでは、「保育園」というのは、教育をするところではないのだそうです。学校に入る1年前の子どもたち(就学前児童)は、「丸の中を10個黄色で塗りなさい」とか、「四角の形のものは、青でぬりなさい」等の勉強をするそうですが、それまでの子供たちは、保育園は勉強をする場所ではないので、テクニカルなことは一切教えないのだそうです。
訪問した保育園では、子どもたちの興味にあわせて、テーマを半年とか1年決めており、そのテーマにあわせて学んでいくそうで、今年は「木」がテーマで、森に行ったり、森の中で算数をしたり、体操をしたり、理科をしたり、自己表現をしたりしているそうです。保育園の中も、「木」のイメージの飾りつけが至る所にされていました。

具体的には、下記のようなことをしていますが、日本とは違いがありそうです。
・就学前児童には、朗読をしながら算数をしたりしているが、朗読は国語であるというわけ方をしない。
・理科では、グループに分かれて、「白樺」を調べる、「ななかまど」を調べるというようなことをしている。
・森に行って、近くの公園との違いを探したり、詩を作って朗読などもさせている。
*フィンランドは詩の国で、子ども頃から詩を覚え、楽しんでいます。
・外国人の子どもも増えているので、詩を読み、絵を描かせている。森を知らない外国人のために写生をしたり多面的にやっている。

この保育園では、"どうやって皆と一緒にいるか"、"他人との違いを認めながらどう一緒にやっていくか"、社会性を身につけることをさせることを第一義にしているといいます。
教育をしているのではなく、学校に入ったときに、よりスムーズに学ぶ体制を子どもに身つけさせるかということをしているそうです。それが保育園の役目と皆が捉えています。そして遊びながら勉強を取り入れているが、あえて教えているものではなく、子供たちが自分で考えるようにしているのだそうです。
他の国の幼稚園では、ほとんどが子ども用のテーブルと椅子にすわっていましたが、ここでは子どもたちの一部は大人用のテーブルや椅子に座ってぬりえをしていることでした。注意をして使えば、子どもたちでも大人用が十分に使えるというわけです。
ここにも、自分で考えるということが隠されているように思います。

フィンランドの子どもたちの優秀さのひとつは、勉強の前に人間性を育むこと、自分で考えることにあるのではないかと思いました。
続きはまた来月にご報告をいたします。 (館)

投稿者:Nurie |投稿日:09/01/06 (火)

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