« かなこさんの「すずかぜ」 | メイン | ぬりえ美術館5周年企画 8月~10月合併号 (2) »

ぬりえ美術館5周年企画 8月~10月合併号 (1)

ぬりえ美術館5周年企画
コマーシャルに使われたきいち展  期間:8月4日(土)~10月28日(日)

ぬりえ美術館は、2002年8月に開館しました。お蔭様で今年で5周年を迎えることができました。これも偏に皆様のご支援の賜物と心より感謝申し上げます。
開館した頃は、ぬりえは何も話題に上っておりませんでした。当時は、ぬりえは子どもたちがしていましたが、大人が「ぬりえ」と聞くと懐かしく、珍しいということから、新聞、NHKのテレビ・ラジオ、政府機関誌や雑誌等に取り上げられ、ぬりえ美術館が紹介されることとなりました。
その後、特に2006年からは、日本が高齢化率世界NO.1という国柄、高齢者の認知症の関連で脳が研究されていることにより、脳の活性化によいものが多々提案され、その中でも「ぬりえ」が人気となり、「大人のぬりえ」が話題になってきました。
同年JOMOが"夏休み全国ぬりえコンテスト"を開催するなど、2006年は一般的にぬりえに対する関心が高まってきました。今年もJOMOでは"第二回夏休み全国ぬりえコンテスト"を開催いたします。今回は、子どもだけでなく、中学生以上を含めて誰もが参加できるコンテストとして展開をしています。さらにぬりえの普及に寄与するものと思います。

企画展のご案内
2007年8月の5周年記念企画展としまして、
コマーシャルや商品に展開されたきいち作品を中心にご紹介いたします。

ぬりえの人気と批判
昭和22年から再びぬりえを描き始めたきいちは、戦後の何もない時代に、少女たちに夢の世界、美の世界を描いてみせ、毎月袋入りぬりえが100万部も売れたというほどの大人気となりました。ピーク時には、160万部も売れたと言います。あの時代、きいちのぬりえをしていない少女はいないと言っても過言ではありません。
しかし、あまりにぬりえが人気となっていたためでしょうか、"ぬりえをすると創造力をなくすのでいけない"と識者によりぬりえが批判されました。
この批判に対して、きいちは、「塗らなくてもいい。美しい絵を少女たちに描いてあげたかった。ぬりえは子どもの遊びであり、幼い子どもの情操を養う、心の遊びだ。塗るための絵として考えていたならば、もっと違った、教育的なものを描いていたと思う。」と言って、色をぬってもぬらなくても、持っているだけで楽しいという絵を描き続けました。(「メリーチャン花子さんきいちのぬりえ」草思社より)
21世紀になり、日本が高齢化率世界一となった今、脳の研究が進み、ぬりえは脳を活性化するので良いという時代になりました。
 
さて、それほど人気のぬりえも昭和30年代終わり頃になり、テレビが一般家庭に普及していき、国民の意識が一億総中流となり、時代は変わり始めていきました。
時代の影響を受けて、子どもたちの環境も変化し、昭和37,8年頃からオモチャはプラスチック・ビニールなどのダッコちゃん人形、タミーちゃん人形が生まれ新しい傾向になりました。テレビはカラーになり、テレビ漫画が子どもたちを魅了し、少女の遊びは男児に近づいていき、町の駄菓子屋も少なくなり、昭和45、6年頃には、すっかり店頭から「きいちのぬりえ」は消えていきました。

"紙芝居は、アイスクリームに負けた"といわれているそうですが、紙芝居を見るのに、従来買っていた水飴などを舐めるよりは、新しく登場したアイスクリームを食べたいという子どもたちの要望に負けて、消えていきました。
現在では、インターネットや携帯電話などの普及で、本やCDなど購買の様子が変化していますが、これも時代の変化によるものと思います。昭和30年代の終わり頃も、時代の変わり目だったのです。

きいちブーム再来
その後昭和47年、おもしろ雑貨の仕掛け人、文化屋雑貨店の長谷川義太郎氏が喜一を探し出し、忘れ去られようとしていた喜一の存在を世の中にアピールしようと動き始められたのです。その活動が実を結び、昭和53年資生堂ザ・ギンザ"アートスペース"にて「キイチのぬりえ展」が開催されることになりました。

資生堂ザ・ギンザ"アートスペースの25年の活動を纏めた本に、「キイチのぬりえ展」が下記のように紹介されています。

【ぬり絵は1960年代までは駄菓子屋さんで盛んに売られていた。太めの足と目に特徴があるぬり絵に「キイチ」と印刷された当時の人気作家蔦谷喜一さんを、文化屋雑貨店の長谷川さんが見つけだし、喜一さんの所蔵品と上野の版元が所有していた原画とぬり絵を借用して展示した。
さらに、ぬり絵の復刻版をつくり、子どものころ、ぬり絵遊びをした小森和子さん、
白石かずこさんなどにぬってもらった。また、一般のお客さまにも復刻版を提供し、ぬり絵を作成してもらい、会場に展示した。ドイツ文学者の池田紀さんの「ぬり絵」に関するエッセイを会場入り口に展示、キイチファンであったグラッフィクデザイナーの佐藤晃一さんがデザインしたポスターを会場入り口の装飾とした。その後、全国でキイチのぬり絵展が開催された】と記録されています。
この資生堂のぬりえ展がきっかけとなり、第二のきいちブームが再来することとなりました。

投稿者:Nurie |投稿日:07/08/14 (火)

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
/519

コメント

コメントしてください



(アドレスは非公開です)


今後の投稿のためにアドレスなどを保存しますか?

(書式を変更するような一部のHTMLタグを使うことができます)