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ニューヨーク報告第二弾 12月の美術館便り

今年最後の美術館便りは、"ニューヨーク報告第二弾"をお伝えいたします。
 
■日本ブーム
ニューヨーク(以下NY)ばかりではなく、今欧米では 日本的なものが大変流行しています。
アニメ、マンガは、紀伊國屋書店などのような日本の書店だけでなく、アメリカの本屋さんにも置いてあります。大人の方でも、日本のアニメの「ナルト」が好きなど、具体的なタイトルが出てきたり、私も知らない名前がでるなど、驚かされることがありました。
日本のアニメは1960年代から輸出が始まっているようですが、その後もずっと日本のアニメが世界の人々の楽しまれています。
今やドイツでは、日本製アニメが1326時間、30分のアニメ番組に換算すると、毎週51本、イタリアでは週40本、フランスでは、自国産業の保護政策をとったために、EU圏外からの番組は制限されているので、週10本の日本製アニメが放送されているということになっているそうです。これは、知らず、知らずに日本文化、精神が受け入れられ、浸透していっていることではないでしょうか。(参考:「クール・ジャパン世界が買いたがる日本」)

そして、日本の食文化です。滞在中に、和食のお店に出かけることが多がったのですが、そこで見たものは、外国人の店かしらと思うように、日本人より外国人のほうが多いということでした。
従来の日本食というものは、すき焼き、てんぷら、寿司というようなものでしたが、現在は、それらのほかに、より大衆的なものや、寿司などが一般的に流通していることが従来とは変わっていることでした。
牛丼、ラーメン、焼き鳥、居酒屋などのお店が繁華街や若者が集まる街に増えています。かつて、私は1980年代初期にアメリカに出張で行った頃には、日本食レストランといえば、駐在員や観光客の日本人を対象にしたお店でした。ところが現在は、お店側がターゲットを現地の人を対象にしています。はっきり、日本人を相手にしていないというお店もあるほどでした。
イースト・ビレッジのある居酒屋に行ったときのことですが、そこで注文したのはおにぎり、ヤキトリ、キンピラゴボウ、おひたし、焼きそば、シシャモ、ポテトサラダ、菜の花のオイスター炒め、さつま揚げ、肉じゃが、ハマグリの塩焼き、湯豆腐、これに日本の瓶ビール三本を注文しました。私一人ではありません。五人分です。さて、お会計は、合計120ドル×119円で14,280円でした。五人ですから一人当たり2,856円。日本と同じくらいの価格でした。
お隣は外国人の四人連れで、熱燗三本がテーブルの上にありましたが、他のテーブルを見ても、外国人の方々で、一杯になり、居酒屋の雰囲気に馴染んでいました。
これは一例ですが、他の居酒屋や焼き鳥屋に行っても、同じような光景が見られました。

■居酒屋の流行の理由:
 どうして、このように居酒屋が流行なのでしょうか?
欧米では、昔は、お酒はパブで飲むものでしたが、パブはお酒がメインで、食べるものというといわばつまみだけ。お食事をするときには、レストランですが、こちらは料理がメインでした。
ところが、居酒屋はお酒が飲めて、料理も楽しめる。その上、日本の居酒屋の場合には、料理の幅が広く、和食、中華、イタリアン、コーリアンなどが混在しています。このような食事の業態が、今まで欧米にはなかったのです。それで、人気となっていったものと思います。

第二の理由は、日本人のおもてなしの心、受け入れられていっているのではないかと思います。
初めて、日本食レストランに行ったアメリカ人の知人は、その和食の店のサービスが大変良いのにびっくりしてしまいました。「グレートサービス!!」と感激しました。
NYでは、高級店、高い店に行けば、良いサービスが受けられますが、手ごろなお店では、
サービスがあまりよくないのが普通、当たり前なのです。居酒屋のような、安い大衆的な店にもかかわらず、良いサービスをしてもらえたら、誰でも気持ちが良くなり、又行きたいと思うのは人情ではないでしょうか。これが、居酒屋なり、日本食レストランがNYに浸透していっている理由のひとつではないかと思います。

更に、三つ目の理由として、日本の良い商品をつくろうとする物造りの精神も、日本ブームに一役買っていると思います。NYにも、ユニクロが出店されました。そのユニクロとアメリカのGAP(ギャップ)と比較してみると、ユニクロのほうが、品質、デザイン性、縫製がよくて、値段が安いので、ユニクロの方が良いという声を聞きました。
日本の工業製品は、機能と品質の高さが特長ですが、家電や車ばかりでなく、ファッションの世界でも、日本は基本的に、今より更によい物を作ろうという物造りの考えをもって、商品を作っています。その考えから生まれた商品がNYでも認められているのです。
そのほかにも、音楽、建築、現代アートなど、新しい日本の文化が世界の中で、魅力的なものとして、受け入れらているのです。

ぬりえは子供の遊びであり、塗ったら棄ててしまうものですが、そのようなものにまで、手を抜かずに描いている「ぬりえ」。 そこには、上記のような日本人のこころ反映されているのです。
子供のものでありながら、美しく、芸術性がたかく、しかもNYでも馴染んで着ている日本のアニメやマンガの原点といえるものであったので、ギャラリーに来た人は感銘を受けているのではないかと思いました。
日本的なものの流行の背景を考えるとき、日本のぬりえは、アニメ、マンガのように世界に広がっていくことを確信した次第です。(館)
館)

投稿者:Nurie |投稿日:06/12/01 (金)

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