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NY報告

11月に入りましたが例年にない暖かさですね。これからは紅葉が楽しみです。

9月の末から10月末まで、ニューヨーク(以下NY)でぬりえ展を開催いたしました。初めての海外におけるぬりえの展覧会でした。今月はその様子をご報告させていただきます。  
 

■開催会場・期間
1.日系人会     2006年9月25日(月)~9月29日(金) 1週間
2.紀伊国屋書店  2006年9月28日(木)~10月11日(水) 2週間
3.大西ギャラリー  2006年10月3日(火)~10月21日(土) 3週間
             2006年10月5日(木)オープニングレセプション

●何故海外で展覧会を開催するのか? 何故NYなのか?外国にもあるの?と質問されました。
 ぬりえは日本だけでなく、外国にも子供のするものとして昔からあります。しかし、日本では従来より子どもの遊びということで研究はされず、放って置かれてきました。そのため、ぬりえに対する認識はまだまだ低いままです。
そのぬりえを研究して、ぬりえを文化にしていきたいとぬりえの専門書「ぬりえ文化」を2005年に発行しました。この「ぬりえ文化」を書くために海外からのぬりえも含めて分析をしてみましたら、文化といえるすばらしいぬりえは、きいち以外にはないということが分かりました。
ぬりえを文化にする活動の次の一歩として、“世界の中でも最も素晴らしいぬりえ”を紹介したいと思い、海外で展覧会を開催することにいたしました。

NYは現代において、政治、経済の中心地というばかりでなく、芸術の中心なのです。日本画家でNYに住んで芸術活動をされていらっしゃる千住博さんも、
「NYというのは、『センター・フォー・ジ・アーツ』芸術において世界の中心である。NYには、全世界の美術館のディレクターや関係者たちがひんぱんに絵を見にやってくる。」と言われています。
その世界の芸術の中心で、最初に紹介し、目の肥えたNYの方々に見てもらいたいと考えたのです。
●NYのアートの中心は、今はチェルシー
NYには、メトロポリタン美術館、グッケンハイム美術館、ニューヨーク近代美術館など美術館やギャラリーがありますが、なかでも芸術家を育てるのは、ギャラリーです。
70年代~80年代にはソーホーというエリアに多くの芸術家が住み、ギャラリーが数多くありました。ソーホーはその後人気の街となり、観光客も多くなり、レストランや高級ブランドのブティックもできるようになり、アーティストやギャラリーはチェルシーに移りました。
現在は、チェルシーがギャラリーの中心街となり、文化人や芸術家が移り住んできて、文化、芸術の街となっています。

今回ぬりえ展を開催した「大西ギャラリー」は、このチェルシーの中の26丁目に位置し、向かいにはロバート・ミラー・ギャラリーがあり、今回は日本の草間弥生氏の作品を展示していました。アンディーウォーホールの作品など、美術館で展示するような作品を展示する有名ギャラリーも周りにいくつも点在しています。
大西ギャラリーは、オーナーが日本女性で、日本とイタリアの芸術、美術を中心に紹介するギャラリーとして、2005年12月に開館した新鋭のギャラリーです。

●チェルシーでのぬりえ展の反響・評価
ギャラリーにいらっしゃる人はNYに住んでいるひとばかりでなく、世界からの観光客など様々です。その方たちは、ギャラリーガイドの本を持って、自分の関心のあるギャライーを訪れたり、ぐるぐると1軒ごとにギャラリーを見学したりしています。ギャラリー巡りをする人々で、チェルシーのストリートは毎日、特に土曜日は賑わっています。

大西ギャラリーを訪れた人々は、まずぬりえの表紙絵のバナー(旗)のカラフルさに目を奪われ、次にぬりえ絵を見て、ぬりえの表現の繊細さ、しっかり構築された点、手が込んでいる点、手描きの魅力などなど、しっかりと評価されていました。
きいちでなければ描けない少女の可愛さ、ぬりえの繊細さ、表紙絵のカラフルなデザイン性等がきちんと伝わり、理解してもらえたことは、展覧会を開催の意義が達成できたものと思っています。

●新聞での評価
このレセプションの模様は共同通信の記者を通じて、ジャパンタイムズをはじめ日本そして海外の邦人向け新聞(インドネシア・ジャカルタ新聞)に流されました。
ジャパンタイムズでは:
○「来場者はきいちのぬりえの”かわいさ”を認め、同時にきいちの芸術性とそのディテールに感銘を受けていた」と全体的印象を書いています。
○子どものイラストレターをしているLiz Eck氏は、
「すべての顔が同じポジションであるのは非常に珍しい。きいち氏が描いたよう単純な子どもの態度の可愛らしさ、デリケートさを捕らえるのは、非常に難しいものだ」ときいちのぬりえの魅力に惹きつけられたようです。

●NYは「ぬりえ」である。
 今回は、35日間NYに滞在しました。そして、そのNYはどのような街であったか、考えて見ますと、NYはまさに「ぬりえ」であると解りました。
 NYは今年の10月17日で、人口が3億人になったそうです。移民が多く、出生率もたかいので、世界第三の人口になっています。なかでも、NYには、いろいろな国から、短期、長期に学ぶ人、働く人、住む人、旅行者などなど、様々な思いを持って、NYに来ています。
NYという下絵をどのように仕上げるか、塗っていくのかは、その人の志、思い、生き方、考え方、国民性など、その人が選び取ってきた人生から生まれる色、塗り方で幾つもの色に塗られ、それぞれのNYに完成させられていくのです。
そんなまさに「ぬりえのNY」で、海外初のぬりえ展を開催したことは、本当に正しい選択であったと思います。これを海外の第一歩として、これからも海外に日本のNURIEを紹介していきたいと思います。来年は、ドイツ、08年はフランスで開催する予定です。
日本では、大人のぬりえが人気ですが、これは世界の中でも進んだ現象です。どうぞこれからも、お好きなぬりえを楽しんでください。
(館)

投稿者:staff |投稿日:06/11/05 (日)

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