きいち千夜一夜No.30
2021年も引き続き「きいち千夜一夜」と題しまして、きいちについてご紹介をしてまいります。
「この女の子たちが、自分の意思を持ち、自由に体を動かすことができるとするならば、どんなふうな仕草をするか、私の中にはかなりはっきりとしたイメージがあるんです。それがいつもうまく表現できずに悩んでしまう。
たとえ自分なりにパーフェクトなデッサンができたとしても、受け手にはなんの変化も感動もないかもしれませんけれど、でも、それは私のこだわりとして、最後まで捨てたくない」
あれほど美人画に憧れ、いつかは美人画だけを描く画家になりたいと思いを募らせてきた喜一だが、八十歳をすぎて、童女画こそ自分の取り組むべきテーマであることに気づいたようだ。
「美人画は描いていて楽しいし、これからも続けていきたいと思いますが、でも、自分の生涯の仕事として全うするものじゃないと最近思うようになりました。
それに、私が描かなくても、ほかにいくらでも描く人がいる。だから今後は美人画については余技でやっていこうと考えています」
ぬりえが売れなくなり、生活のために必死に美人画を描いていたころ、喜一に甥がこんなことを言ったことがあった。
”どこだったか仕事で行ったホテルのロビーにおじさんの絵がいっぱい飾ってあったけど、何だかどれも悲しそうな顔をしていたよ”
「童女画を描いて、こういうことを言われたことはないんですよ。童女にはエネルギーや色気まで感じるということで。まあ、とらえ方は人それぞれですが、それにしても美人画は寂しくて、童女画は色っぽいって、これはどういうことなんでしょうかね」
☆参考図書 「わたしのきいち」
今月のエントランス
「わあー つめたい」
年代:昭和20年代
作者:きいち
砂浜は熱くても、海の波は冷たい! それでも波が寄せてくると楽しい。
日に焼けったって平気。潮風だって気持ち良い。楽しい夏!
ぬりえ美術館メディア情報
読売新聞夕刊「はじまり考」でぬりえのはじまりについて掲載予定です。
展示室のご案内
☆春の企画展「春はあけぼの」を延長して7月末まで展示しています。
☆館内のぬりえコーナーは、コロナ感染防止のためにしばらくお休みをしています。
ご了承の程お願いいたします。