きいち千夜一夜 No.13 きいち没後15年
今年はきいちの没後15年に当たります。これにちなみまして、昨年に続きまして「きいち千夜一夜」と題しまして、きいちについてご紹介をしていきたいと思います。
それにしても、多くのぬりえ作家がいた中で、きいちの作品だけが行き残り、認知されて今日に至るのはなぜなのだろうか。
「一つには、私自身が常に楽しんでやったからじゃないでしょうか。だから子供の世界にごく自然に入りこんでいくことができた。姉二人と妹二人と、女に挟まれて育ったせいか、昔から女の子の好きなものが、そのまま自分の好きなものになってしまったというのもあるのかもしれませんね」
好きな色は、ピンク、赤、紫、ブルー、白。背景によく描き込む花もきれいでかわいらしいものを選ぶ。
「さくらが一番多く描いた花じゃないかな。色もそうだけど、五枚の花びらのバランスがとれている感じが好きなのね。基本的に花はなんでも好んで描くんですが、さくらやコスモス、梅、ガーベラなど、どちらかというと一重の花がすきかな」
ぬりえの背景としてよく描きいれたものには、さくらの花のほかに蝶がある。蝶は絵柄や色彩を変えることで、華麗さ、はかなさ、躍動感など、どんな雰囲気も自在に表現できるから、ぬり手の好みでぬりえを楽しんでもらうのに、ぜひとも添えておきたいものだそうだ。
「私は自分の子供の成長を見ながらぬりえを描いてきたから、いつも意識の底には、子供にこんなものを着せたい、見せたいというのがあって、そういいう視点を持ち続けてきたのも人気の理由かもしれませんね」
こういう意図で、喜一は自費制作時代のおとぎ絵シリーズのほかに、その後も多くの童話やおとぎ話にちなんだぬりえを描いている。『かぐや姫』、『ねむり姫』、『不思議の国のアリス』、『シンデレラ』と女の子向けの物語はもちろん、『牛若丸』、『桃太郎』、『ぶんぶく茶釜』など、数多くのストーリーを紹介してきた。書店で絵本を買ってきては、子供に読んで聞かせ、自らもぬりえにつくりかえて楽しむ。それはまるで絵本の挿絵を描くようなわくわくする作業だった。
☆参考図書「わたしのきいち」小学館
「はねつきしましょう」
年代:昭和20年代
作者:きいち
長い袖の着物に羽織を着て、大きな羽子板で羽根つきをする、お正月ならではの光景ですね。兄弟やご近所の友達と羽根つきをした思い出を持っている方も沢山いらっしゃることでしょう。
今はご近所で羽根つきをする姿を見かけることもなくなりましたが、羽根つきの伝統をぬりえから知るというのも、時代の流れですね。
ぬりえ美術館グッズ情報
☆ぬりえ美術館オリジナルのマスキングテープが発売されました。菊の着物、花かご、ペンキぬりの3人の女の子が描かれています。1個 440円
展示室のご案内
☆1月~2月は、壁面に第10回ぬりえコンテストの優秀賞受賞者の作品を展示しています。
☆館内にはぬりえ体験コーナーがあり、自由にぬりえを塗って楽しんでいただけます