9月、長月になりました。夜が長くなるところから長月。季節の移り変わりを日の長さや風に感じたりします。秋になると太陽から月に眼がいくように思います。
ぬりえのこころ -今月の一枚-
館内に入ってスグ目に留まるぬりえは、その時々の季節のものや テーマを設けて月毎に展示しています。このコーナーでは、月替わりのエントランスのぬりえから1枚を選んでご紹介します。
タイトル:おふろOfuro
作 者:きいち
年 代:昭和10年代
9月のエントランスは、「昭和10年代のぬりえ」を展示しています。
素敵なタイルのお風呂に入っている女の子二人。お風呂はタイルですが、風呂桶と椅子は木製です。こんなところにも時代の移り変わりが見て取れます。
日本人のお風呂好きは昔からのことですが、ぬりえの中にきいちはこの絵と同じようなお風呂に入ったぬりえを何枚か描いています。子ども同士やお母さんと一緒、お人形と一緒等など。生活の一場面として、日本人の生活の中には必ずお風呂があったからでしょう。そしてお風呂の中に必ず人との交流が生まれていると信じていたからではないでしょうか。
日本には「裸の付き合い」という言葉もありますね。
先日テレビのドキュメンタリーで、マラソンの谷口浩美さんがケニアのマラソンランナーの練習の様子を見るという番組を放映していました。まだまだ貧しい国で、一月1000円の練習費を払うのにも親が大変という所のようでしたが、高地での練習方法や彼らの日常生活をみて、谷口さんがここが違うな、とおっしゃっていたことがあります。
それは練習後、紅茶を何杯も飲みながら、学生たち全員が気の合う仲間とその日の練習を振り返り、おしゃべりをしていることです。
その姿は今の日本にはない、というのです。練習が終れば、各自自分の部屋に帰えってしまうのだそうです。今は小さいころから、自分の部屋というものを持っていますから、昭和30年代のように皆と一緒に何かをする、ということが無くなっているのでしょうけれど、なにか日本が見失っているものがケニアにはあるのではないかと思いました。(館)