きいち千夜一夜 No.1
今年はきいちの生誕105年に当たります。これにちなみまして、「きいち千夜一夜」と題しまして、きいちについてご紹介していきたいと思います。
大正三年(1914)二月十八日、東京の下町、京橋区新佃に「蔦谷音次郎商店」の五男坊、七番目の子供として生を受ける。
幼少時代は家にじっとしているのが好きな子供だった。近所の男の子たちがベーゴマやメンコ遊びに夢中になっているときも、喜一は決して仲間に入ろうとはしない。母の着物の端切れや、時には半襟まで持ち出して切り刻んで人形をつくったり、妹たちが人形遊びやままごと遊びに熱中する姿を眺めて過ごすほうが性にあっていた。
そんな喜一が得意なことといえば、それは絵を描くことだった。疎開先の小学校で彼と地元の子供とを結びつけたのも、彼が起用に描きこなしたチャップリンの絵だ。
「風景はからっきしだめだったんですけど、人物をテーマにしたものは、みんなが褒めてくれました。」
ことあるごとい一家は洋装店や呉服屋で服や着物を新調した。こうした出費に父親は実に寛大だったのだ。
三歳ころから母親に連れられて呉服屋へ行くうちに、喜一にはそれが楽しみなセレモニーとなっていった。紬や錦紗を見るだけでなく、手がその感触を確かめながら着物の美しさを優雅さを心ゆくまで堪能するのだ。
兄弟の婚約が決まったりすると、随分派手なお祝いをしました。今、手元には妹の婚約の時の写真が残っていますが、みんなで正装して写真館で記念写真を撮りました。一族郎党がずらっと並んで写真に収まる。父はこういう派手なことの好きな人でした。でもだからってお正月に家族で和やかにお膳を囲んだり、みんなで旅行を楽しんだり、そういうことはありませんでした。私としては、きれいな衣装を着るより、みんなで楽しく食事をしたり、父親に抱かれて甘えたりしたかったんですけれどね」
きいちの絵好き、綺麗な物好きは、幼少の頃から始まっていたのですね。
*参考図書 「わたしのきいち」小学館
踊りに欠かせない舞扇。今回展示のぬりえの中にも舞扇が何枚か描かれています。
扇を使いこなせるようになるにはお稽古を沢山しなければなりません。ぬりえの少女は皆上手に出来るようですね。
ぬりえ美術館展示情報
○第9回ぬりえコンテストの優秀作品を展示しています。
今回は最終217通の応募の中から選考いたしました。優秀作品ならびに次点作品、特別賞作品はぬりえ美術館のホームページにも掲載しています。
作品の展示は1月12日~2月24日まで。
展示室のご案内
★1月~2月はぬりえコンテストの優秀作品を展示しています。
★館内にはぬりえ体験コーナーがあり、自由にぬりえを塗って楽しんでいただけます。
Posted: Nurie : 19年01月11日 |