年々桜の開花が早まって、入学式に桜が満開という景色は見られなくなりましたが、
それでも気分は桜、さくらで、この季節を楽しみましょう。
ぬりえのこころ -今月の一枚-
館内に入ってスグ目に留まるぬりえは、その時々の季節のものやテーマを設けて月毎に展示しています。このコーナーでは、月替わりのエントランスのぬりえから1枚を選んでご紹介します。
4月のエントランスは、「春は桜・桜」をテーマにしたぬりえを展示しています。
きいちは乙女のこころをどうしてこんなに理解していたのでしょう?
桜の花びらがヒラヒラと散っている。雪のように散っている。美しい雪のような花びらを受け止めたいという少女の気持ち。
皆さまもこのようなことをした覚えがありませんか? レンゲの花をみれば、花かんむりを作りたくなり、クローバーをみれば、腕輪を作りたくなり、椿の花をみれば、レイのように花をつなげたくなったり。
それは美しいものを自分のものにしたい、手元において置きたいという願望の現われなのではないでしょうか。
そんな乙女心が分かるから、きいちは20年もの永きにわたりぬりえを描き続けることができ、少女たちに支持されてきたのではないでしょうか。
美術館便り3月~5月合併号にも描きましたが、「ぬりえの背景によく描き込む花もきれいで可愛らしいものを選んだ。なかでも「さくらが一番多く描いた花じゃないかな。色もそうだけど、五枚の花びらのバランスが取れている感じが好きなのね。基本的に花はなんでも好んで描くんですが、さくらやコスモス、梅、ガーベラなど、どちらかというと一重の花が好きかな」と言っています。
ぬりえ美術館の中庭には鬱金桜(ウコンサクラ)がございます。薄黄色の八重桜です。江戸時代は鬱金桜が主流であったそうです。来館時に見られるといいですね。(館)