東京都荒川区町屋 土日祝日のみ開館
開館時間:(3月~10月)12:00~18:00 (11月~2月)11:00~17:00

ぬりえ美術館

前 8月の美術館ニュース(2) | ぬりえ美術館のブログ | 8月~10月美術館便り合併号(2) 次

8月~10月ぬりえ美術館便り合併号(1)

きいちの可愛さは永遠に

平成25年8月3日(土)~10月27日(日)


今年ぬりえ美術館は開館11年目となります。「ぬりえ美術館」を開館したきっかけは、蔦谷喜一という昭和のぬりえ作家が伯父であるということからでした。

戦後の少女、団塊世代の少女にとって、ぬりえは欠くことのできない遊びでした。
「ぬりえが宝物だった」「どれだけ夢中になったか」等と表現してやまない昔の少女たちがどれほどいることでしょう。ぬりえから沢山の夢をもらい、貧しいけれど心豊かに、情緒や仕草、美くしさ等を学ぶことができました。

ぬりえは子供の遊びですが、子どもの心を育む遊びでもあります。子どもにとって大切な「こころの宝物」をこれからも残して、日本の文化の一つとして、ぬりえ文化として育てていきたいと思っております。

蔦谷喜一の残した作品を、どうぞ心ゆくまで楽しんでいただきたいと思います。そしてこれからも、ご支援をよろしくお願い申し上げます。


1.きいちの人物像
「蔦谷喜一」は、とのような人物だったのでしょうか。
本名は、蔦谷喜一。大正3年(1914年)に東京は京橋区新佃に、紙問屋の五男で、九人兄弟の七番目として生まれました。新聞社に紙を納める紙問屋の息子として、何不自由なく育ちます。流行のファッションに身をつつみ、築地のお隣の銀座を闊歩するモダンボーイでした。
きいちは、子供のころから絵が好きで、特に人物画が得意だったそうです。

昭和6年。17歳の頃です。帝展に出展されていた山川秀峰の「素踊」をみて、自分の夢は何か、ハッキリと自覚するようになったきいちは、川端画学校で日本画を習い、クロッキー研究所で裸婦デッサンなどを勉強しています。


昭和15年。きいちが26歳。川端画学校の友人がぬりえの仕事を持ってきました。歌舞伎が好きだったきいちは、歌舞伎をテーマにしたぬりえや美人画のようなぬりえを描き、人気となっていきました。


戦争になり、中断。


戦後の1年は築地に駐留していた米兵の恋人や奥さんの肖像画を、掛け軸に描く仕事をしていました。100枚くらい描いたそうです。日本画の絹本(絹の上に描く)を学んだきいちは、米兵の持参したパラシュート(素材は絹であった)の上に肖像画を描いたそうです。きいちの絵がバタ臭いといわれますが、この頃の影響と思われます。


昭和22年より本名の「きいち」でぬりえを再び開始し、爆発的な人気となっていきました。戦争中は華美なものは禁止され、物資も充分でありませんでした。戦後、アメリカ文化が流入して、自由な空気があふれれきました。そんな空気の中、ぬりえが美しいものとして、子どもたちの間に流行したのです。最初はバラ売りでしたが、袋入りとなり、きいちのぬりえは、毎月100万袋、ピーク時には160万袋も売れるほどの人気を誇りました。


昭和40年頃、皇太子殿下のご成婚や東京オリンピックなどで一般家庭にテレビが普及するようになると、「ぬりえは古臭いもの」として廃れていきました。

昭和53年(1978年)資生堂の銀座のギャラリー「ザ・ギンザ アート・スペース」で、きいちのぬりえの展覧会が開催され、「第二次きいちブーム」が起こることになりました。それ以降、コマーシャル等に使われるなどして、人気が現在に続いています。


ぬりえが大人気の時代に、「ぬりえは子どもの創造性を阻害する」とぬりえが悪者扱いをされることもありました。そんなとき、きいちは、「ぬりえは絵画の教育ではない。幼い子どもの情操を養う、こころの遊びだ」と反論しています。
また、「もし、"ぬるための絵"を考えて絵を描いていたら、もっと違った、教育的なものを描いていたと思う。しかし、私は美しい絵を描きたいから描いてきたのだ。色を塗っても塗らなくても、持っているだけで楽しい、という絵が描きたかったのだ」とも語っています。


2002年、日本の現代アートの第一人者である村上隆氏がキューレーションをして、パリのカルティエ現代美術財団にて「ぬりえ展」開催され、きいちのぬりえが展示されました。その村上隆氏が蔦谷喜一を称して、「まだ貧しかったあの時代の、少女たちの美へのあこがれに応え、「想像力」を喚起した。芸術家です」とコメントされています。

生涯現役で絵を描いたきいちは、来年生誕百年を迎えます。

Posted: Nurie : 13年08月03日 | 美術館だより|

この記事についてのコメント

カテゴリー

最近のエントリー

月別アーカイブ

エントリーの検索

ぬりえのお店やさん ぬりえのアルバム 最新ぬりえギャラリー 海外のぬりえ研究室
Page Topへ