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4月の美術館ニュース(2)

『海外ぬりえ』研究室 No.4
イタリアのぬりえ「Colora Maschere」

今月は、イタリアの「仮面」がテーマのぬりえ本をご紹介いたします。
仮面の発祥のベニスでは、15世紀身分の違いで衣服が決まっていたので、カーニバルで身に着ける仮面やマントにより身分の違いを全てをなくすことができたので、貴族や役人、神父や庶民までも仮面を身に付け、身分に関係なくリドット(カジノ)やオペラ座を共に楽しんだのだそうです。
イタリア語ではマスケラと呼ばれ、この本のタイトルもMASCHERE(マスケラ)と名づけられています。
その後17世紀から18世紀にはヨーロッパ大陸全土の宮廷でヴェネツィア式仮面舞踏会は人気となったそうです。
ぬりえ本に描かれている仮面の人物は、伝統的にその衣装と性格がきまっており、特徴的なものは下記のようなものですが、子どもの頃からこのようなぬりえをして、それぞれの名前と性格を覚えていくのだと思われます。


①アルレッキーノ 継ぎ合わせた色鮮やかなまだら模様の衣装を着た道化師姿の召使です。額に瘤のある悪魔を表した黒い仮面を着けています。常に貧しく、空腹でいますが、持ち前の機知とユーモアで権力を持つ登場人物たちを笑い者にしていきます。

②ブリゲッラ 緑で縁取られた白いスモックとパンツを着て、金銭欲を強調するオリーブグリーン色の仮面を着けています。世知に長けた策士で、ペテン師でもあります。一方、優れた音楽家でもあり、ギターを携えた姿で表されることもあります。

③プルチネッラ イタリア南部のナポリ出身の召使で、くちばしのような長い鼻のある仮面を着け、若い雄鶏のような容貌をしています。愚鈍と明敏、臆病と大胆と対立するどちらの性格にもなることが出来ます。哲学的で憂鬱な夢想家でもあります。

海外のぬりえ本の特徴の一つに、色見本のぬりえがついていることが挙げられます。このぬりえ本も左側のぺージに色見本があり、右側をぬりえするようになっています。
パリでぬりえ展を開催した際に、ぬりえを塗ってもらったことがありますが、参加者の一人が、「フランスのぬりえには色見本がついていたので、簡単に塗ることができたが、きいちのぬりえは色見本なしに塗らなくてはいけないので、時間がかかった」と感想を話された方がいました。

今日本では、キャラクターのぬりえ一辺倒ですから、そのキャラクターの色が決まっていますので、自由に好きな色をつけることはできません。色見本のあるぬりえと同じようなことになっています。
昭和20~30年代のぬりえは、塗る人によって同じ絵でも違いがあることから、「十人十色」と言われたものです。
想像性の幅もひろがりますので、自由に塗れるぬりえを楽しんでいただきたいと思います。
(参考:仮面の名前とキャラクターは、箱根の森ガラス美術館より)


今月のエントランス

タイトル: 『えんそく』
年代:昭和20年代 作者:きいち

今であれば、遠足の服装はカジュアルで汚れてもいいような服と思いますが、昭和20~30年代は「遠足もお出かけ」ということで、普段着とは違う服を着せてもらいました。
だから子どもたちは、嬉しそうな顔をして得意げに胸を張って歩いています。

ぬりえ美術館メディア情報
①京成電鉄「下町日和きっぷ」折込チラシで紹介されました。
②4月13日(金)NHK Eテレ「団塊スタイル」でぬりえが介されます。

【展示室のご案内】3月~5月まで、館内の展示は10周年記念企画展を開催しています。
色鮮やかなぬりえやきせかえの原画をご紹介いたします。
懐かしいぬりえを観て、塗って、ぬりえの世界を体感してください。
体感してください。

投稿者:Nurie |投稿日:12/04/03 (火)

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