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7月の美術館便り

先月は27日(土)の毎日放送をキーステーションに、TBS系列の「知っとこ!」の番組にてぬりえ美術館が放送され、大勢のお客様からお問い合わせ並びにご来館いただきまして、大変ありがとうございました。

ぬりえ美術館は来月の8月3日(月)で、開館7年目になりますが、昭和20年~30年代のきいちのぬりえは、 毎月100万部売れていたといいます。すなわち毎月100万人の少女たちが、きいちのぬりえをしていたことになります。きっと日本のどこかで、きいちのぬりえを捜し求めている昔の少女達が大勢いるのではないかと思っております。そのためにもぬりえ美術館の存在をご案内して、きいちのぬりえを見に来ていただきたいと願っています。

7年目を迎えるにあたり、改めて、「何故ぬりえ専門の美術館を開館したのか」をご説明したいと思います。普通、大人になるに従い、ぬりえをしたということも忘れてしまうものですが、私は、昭和20年代から30年代にかけて人気であった「きいちのぬりえ」のぬりえ作家、蔦谷喜一の姪であったことから、大人になってもぬりえを忘れることはありませんでした。

しかし、どうして「ぬりえ」なのかということですが、美術館を開館する以前に勤務しておりました化粧品会社の仕事で、1980年代にパリに年2回、5、6年の間、出張しておりました。その時に、「フランスの文化は素晴らしい」と感激をしたものですが、と、同時に自分が日本のことについて何も知らないことに気が付かされました。フランスに行き、フランスの文化を知ることにより、日本にも長い歴史と素晴らしい伝統、文化があることに気が付いたのです。それから、歌舞伎や骨董など、日本の伝統、文化に関心をもつようになりました。

2000年、母の病気の看病で会社を退職することになりました。その後病気もよくなり、日本の伝統、文化への関心から、「ぬりえは日本の文化かもしれない」と思いまして、2002年にぬりえ美術館を開館しました。

美術館では、ぬりえが最も隆盛であった昭和20年代、30年代の「きいちのぬりえ」を中心に海外のぬりえも広く収集、展示しております。現在「ぬりえの世界」を改めて問い直すことで、文化的な価値を高めたいと国内外において活動しております。  
ところで、美術館に来館される方はといいますと、当時実際に塗った方々が6割、20~30代が3割、小学生は1割という割合ですが、この比率は開館以来変っておりません。そのような意味で、ぬりえ美術館は、リアルタイムで塗った団塊世代を中心に、
「なつかしの美術館」として存在しております。 

館内には、「ぬりえの体験コーナー」があります。来館者の方々の感想として、「ぬりえを見ていたら、ぬりえがしたくなりました」という感想がいくつかございまして、開館2年目からぬりえの体験コーナーを設置しています。体験コーナーでは、大人の方々が、久しぶりのぬりえを嬉々として体験されていかれます。
皆様が塗ったぬりえは、ぬりえ美術館のHPに、「ぬりえギャラリー」という名前でご紹介をしています。是非HPをご覧ください。
ぬりえをされた方の感想は、
○50年ぶりくらいにぬりえをしたが、楽しくて没頭してしまいました。
○子どもの頃に戻った気持ちでぬりえを楽しめました。楽しいひと時を過ごせてとても嬉しく思いました。
ぬりえは、大人の方でも、すぐに没頭することができることに、誰もがビックリされている声をよく聞きます。

きいち時代のぬりえは今のアニメのようなキャラクター物ではありませんので、自由に、好きな色で塗ったものです。ですから、ぬりえは「十人十色」と言われていました。
ところが時代が変って、今の若い方はキャラクター物のぬりえで育っていますので、「自由に塗っていいのですか?」ときいちのぬりえを見ておっしゃることがあり、私の方が驚かされてしまうことがありました。

ぬりえは自由に、好きなように塗って楽しんでいただければいいと思います。頭を柔軟にして、実際にはないような色を塗ってみるのも楽しいでしょう。さらに主人公の少女だけでなく背景も塗ってみると更に少女が生き生きとしてきますので、塗ってみていただきたいと思います。
ぬりえには、何も間違いということはありません。怖がらずに塗っていただきたいと思います。

「大人のぬりえ」ということが言われて3年ほど経ちますが、高齢者の方が楽しむことが一つ増えて、良かったのではないかと思っています。1日、たった15分でもいいのです、ぬりえを楽しんでいただければ、脳は活性化し、心も元気になります。楽しいですよ。

ぬりえ美術館では、今でも「時」が昭和30年代のようにゆっくりと流れているようです。 

投稿者:Nurie |投稿日:09/07/02 (木)

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