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5月美術館便り

今月は保育学会第61回の中で、「保育におけるぬり絵の意義を問いなおす」と題して、保育におけるぬりえのシンポジウムが開催されますのでご案内いたします。
ぬりえは子どものときに誰もがしているものですが、残念ながら今までは保育の分野でも、美術・絵画の分野でも見過ごされていました。ぬりえ美術館を開館して、8月で6年目を迎えますが、やっと少し研究をされるようになり、大変嬉しい限りです。
ぬりえ美術館として、今回は「保育」という分野において、「ぬり絵の意義を問いなおす」という趣旨に賛同しまして、シンポジウムのパネリストとして参加いたします。

1.保育学会とは
日本保育学会は乳幼児保育の実践者と研究者とが協力して保育研究を進めることを目指し1948年に設立された、学会で、http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsrec/

2.保育学会第61回の開催会場・日時
今回の会場は、名古屋市立大学人文社会学部山の畑キャンパス(名古屋市)で2008年
5月17日(土)、18日(日)に開催されます。
住所:名古屋市瑞穂区瑞穂町字山の畑1 (大会準備委員会:TEL:052-872-5170)
大会URL:http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsrec/hoiku61/index.html■ 「保育におけるぬり絵の意義を問いなおす」のシンポジウム開催日時
5月18日(日)15:10~17:10 開催

3.シンポジウム「保育におけるぬり絵の意義を問いなおす」の趣旨・内容
[企画主旨]
「これまで,日本において,ぬり絵は保育の中に正当に位置づけられてこなかった。ぬり絵の意義を問うこともなく,子どもの嗜好的活動として保育の合間に行われてきたにすぎない。美術教育の領域においては,それは子どもたちの創造性を損なうものとして,子どもの表現活動の領域からは排除される傾向にあった。
しかし,そのような背景とは裏腹に,ぬりえ絵を好む子どもは多く,子どもにとってぬり絵は明らかに,幼児期の遊び文化の一端を担ってきたと言える。

近年の脳科学により,ぬり絵を行うことにより脳が活性化されることが明らかになった。また,発達心理学からは,ぬり絵は決して創造性を損なうものではなく,逆に想像力を育てる手だてとして重要であることも提言されている。美術教育の領域においてもぬり絵に対する研究が始まりつつある。そこで,本シンポジウムにおいては,ぬり絵に関する脳科学や心理学の最新の研究成果を報告するとともに,表現活動におけるぬり絵の意味,さらには,日本や世界のぬり絵の歴史的側面からぬり絵を取り上げ考察することにより,保育におけるぬり絵の意義を考えたい。」
 心理学、脳科学、美術教育、美術館などの分野からぬりえについて提言をしていきます。

4.ぬりえ美術館からの提言概要
[日本のぬりえ文化の歴史的背景と海外のぬりえ状況からの提言]
今海外では,大変な日本人気である。その中心は,マンガ・アニメなどであり,従来の伝統的な歌舞伎,能,生花から,寿司などの和食,武道,建築,ファッション等,が新しい日本文化として広く海外の人々を魅了している。
今世界に受け入れられている新しい日本文化を担っている人たちは,豊かな社会に生まれ,たぶん子ども時代にしっかりとしたひとり遊びをしてきたはずであると思われる。そうでなければ輝かしい個性を発揮することはできない。子ども時代に自分ひとりで熱中する遊びをすることは重要で,それらの遊びはたくさんあるであろうが,その代表的なものが,「ぬりえ」である。すなわち,子ども時代に「ぬりえ」を塗ることは,個性を磨き,人格形成に役立ち,その結果新しい文化創造に結びつくものなのである。
 しかし,現状はぬりえは子どもが暇な時間を過ごすものという捉え方が一般的であり,専門家からは創造性をなくすものという批判文こそあれ,研究はほとんどなされてこなかった。同じ時期に子どもが好む絵本と比較すると,絵本は優秀な作家や研究者を輩出し,美術館も数多くできているという大きな差がある。
今回は,ぬりえの歴史的な背景をさぐり,また調査に訪れた海外のいくつかの国のぬりえ状況をお伝えすることにより,新たにぬりえの意義を認識し,その活用方法を今後の保育におけるぬりえの活動の発展の参考にしていただきたい。

5.他のパネリストの概要
5-1.心理学と脳科学からみたぬり絵]相模女子大学人間社会学部 尾崎康子教授
 心理学において,子どもの描画に関する研究は古くから行われており,現代でも子どもの認知発達を知る上で重要な研究課題となっている。ところが,「塗る」ことの発達研究はこれまで何故か行われてこなかった。シンポジウムでは,心理学と脳科学によって得られた研究知見をもとにぬり絵の意義を提言する。
5-2.[美術教育におけるぬり絵の効果と活用]神戸親和女子大学発達教育学部 神吉脩講師
ぬり絵はどんな人にも絵を描く意欲と楽しさを与え,描画力を高めた。ぬり絵を仕上げる集中力と達成感はきわめて大きい。たとえ同じ輪郭を使っても,着色された作品は同じものがなく,どれも個性的であった。保育におけるぬり絵の活用にあたっては,子どもが喜ぶとか,教材が手軽だとかというだけで安易に実践するのでなく,子どもの状況に合わせ,描材や配色,混色などを考慮して取り組むべきであろう。

司会・指定討論者:愛知教育大学教育学部創造科学系 竹井史准教授

子ども時代が大変重要な時代であることは誰もが認めることだと思います。保育の分野でのぬりえの意義が見直され、保育園、幼稚園において、積極的な活用がなされるよう、またこれから研究者が増えてさらに研究が深まり、進んでいくことを願って、講演をしたいと考えております。(館)

投稿者:Nurie |投稿日:08/05/19 (月)

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