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学校や勉強を描いたぬりえ

平成17年4月 vol.28
日本で一番素晴らしい季節となりました。西から桜前線が上がってきます。日本人ほど桜をすきな民族はいないのではないでしょうか?平安時代のころから、花は桜を一番に愛でて以来、いつの世にも、桜が日本人のこころを代表してきました。皆様の桜の楽しみ方は、どのようなものでしょうか?

ぬりえのこころ -今月の一枚-
館内に入ってスグ目に留まるぬりえは、その時々に合った季節のものやテーマに沿って月毎に展示替えしています。「ぬりえのこころ」では、月替わりのぬりえから1枚を選んでご紹介します

 
タイトル:わすれもののないように
作  者:きいち
年  代:昭和20年代前半
寄  贈:藤元 耿子氏
 

4月のエントランスは、入学式、新学期のイメージから学校や勉強をイメージするぬりえを展示しています。
「わすれもののないように」と、どの家庭でも言われていたのでしょうね。家庭での躾がとても厳しかったですが、それが今にして思えば、とても自分にとって良かったことだと、祖父母や親に感謝しています。
きちんした躾がされていると、どこにでても恥ずかしいことはありませんし、それは人とのコミュニケーションを気持ちよくするものでもあります。
最近、電車の中でメーキャップをしたり、食事をする人を見かけますが、他人との関わりの意識が私たちとは違うようですね。車内には自分一人がいて、他の人は見えないかのようです。
きいちのぬりえの少女を見ていると、きちんと躾された少女、どのような家庭でどんな風に育てられたのかが分かる気品ある少女を感じます。そのため、いつの時代でも、誰が見ても、安心して絵をみていることができ、気持ちがいいのだと思います。
きいちのぬりえで、すがすがしさを味わってください

つたやきいち展を見学してきました

●大阪行き
2月11日から開催されています大阪府立大型児童館での「つたやきいち展」に行ってきました。8時3分ののぞみに乗って東京駅を出発。大阪は、難波の「くいだおれ」で昼食を食べて、食い倒れ人形の前で大阪観光気分を味わいました。難波から南海高野線にのって、泉が丘で下車。高層団地群がどこまでも続いて、そこは外国かと思うような超近代的な景色が広がっていました。
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(写真はくいだおれ人形)

●大阪府立大型児童館ときいちのぬりえ:
大阪府立大型児童館は、漫画家の松本零士さんが館長で、建物も宇宙船をイメージしています。今は春休みとあって、小学校のどちらかというと低学年の子供たちが親たちと一緒に沢山来ていました。
大阪府立大型児童館には、「おもちゃ博物館」という本(全24巻)に紹介された玩具が収蔵されいます。
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(写真は大型児童館の館内)

きいちのぬりえはその収蔵品から、今回展示されたものでした。4階のエレベーター前の広場の壁面と奥の昭和30年代の街の中の2箇所に展示されていました。この日は、この「おもちゃ博物館」の著者でありコレクターでもある日本玩具研究所の
多田敏捷氏に会場までおいでいただき、きいちのぬりえを集めたころの当時の収集の様子ならびにきいちの様子をお話いただきました。

●展示内容
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(案内ポスター)        
数々のきいちのぬりえや絹絵、そしてミスタードーナツに使われた景品やポスターなど、大変珍しいものが展示されていました。(写真は、1986年8月30日~9月15日に使われてたミスタードーナツの景品関連品)
ここに展示されている絹絵は、多田先生がきいちに依頼したもので、昭和50年代頃に描かれたきいちが60歳代のものです。きいちの絵はどれも丁寧に詳細に描かれているのが特徴ですが、非常に描き込まれた素晴らしい絹絵が数多く展示されていました。

●多田敏捷先生の玩具に対する考え方
多田敏捷先生は、おもちゃは、大事な「子供文化」「児童文化」であるという信念と「子供たちを楽しませてくれてありがとう」という感謝の気持ちを持って、玩具をコレクションされ、玩具を単なる慰みものという扱いでなく、「児童文化にしていきたい」という考えをお持ちの方です。
おもちゃは遊びの道具だからと軽く扱われがちのものですが、私もぬりえを文化にしていきたいと考えていましたので、同じ考えをもって活動されている多田敏捷先に出会えて、大いに同感し、大変な勇気をいただきました。

●多田敏捷先生のきいち観
多田敏捷先が、きいちのぬりえをコレクションしたのは、きいちのぬりえの絵が一切子供だましをしていない。手抜きをしない。非常にまじめな絵であるということからでした。きいちのぬりえは一流の絵であり、「きいちは子供文化の大事な代表者である」ともおっしゃってくださいました。

女性にとっては、きいちのぬりえは本当に宝物ですが、どうして女性がきいちのぬりえを好きであったのか、当代の目利きの多田敏捷先生に上記のように言っていただいて、きいちが一流の画家で、いい絵を描いていたから、誰もがきいちのぬりえの少女が美しい、可愛いと理解して、大勢の日本の少女たちが好んで塗ったのだと分かりました。

尚、「おもちゃ博物館」の本の中の玩具は、島根県のわらべ館にも収蔵されているそうで、きいちのぬりえも30余点あり、一部は常設展示されているそうです。

展覧会は、4月10日(日)までとなります。

投稿者:Nurie |投稿日:05/04/02 (土)

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