今年の冬の寒さは昨年来ずっと厳しいですが、春はもうすぐやってきますので、明るい服装とか春のガーデニングの準備など、春を楽しみにこの一月をやり過ごしたいものです。
ぬりえのこころ -今月の一枚-
館内に入ってスグ目に留まるぬりえは、その時々の季節のものや テーマを設けて月毎に展示しています。こ
のコーナーでは、月替わりのエントランスのぬりえから1枚を選んでご紹介します。
タイトル:ピアノをひくのよ
作 者:きいち
年 代:昭和30年代
2月のエントランスは、昭和の夢見た暮らしをテーマにしたぬりえを展示しています。
昭和20年~30年代のきいちのぬりえを展示していますが、お若い方にはここに展示されているぬりえに描かれているものが、すべて存在する、当たり前のことのように思っている方がほとんどです。40~60年ほどの前のことですが、その頃には、ここに描かれていたことは、ほとんど夢や憧れの世界のことで、実生活とは程遠いものだったのです。
このぬりえに描かれたピアノは、団塊世代にとっては、習ったことがある、習わせられたという方も多いのではないかと思います。親たちが自分の子ども時代には出来なかったからと、子ども達に音楽教育のためにピアノやバイオリンやバレー等を習わせたのです。ピアノがものにならず、途中で諦め、購入したピアノが家に残っているということもよく見かけました。私も小学校一年生のころに、バレーをほんの少しだけ習ったことがあります。そういう風潮が埼玉の田舎の街にも吹いていたのです。戦後に吹いた新しい風に、気持ちは浮き浮きしていたことを思い出します。
その他エントランス展示には、大きなぬいぐるみのお人形を持つ少女やこまごまとしたままごとのお道具と遊ぶ少女や、大きなソファで寛ぐ少女などが描かれています。ぬいぐるみもままごとのお道具も、そういうものが欲しいな、あったら嬉しいなという希望をぬりえに描いて、少女の夢を満たしたものなのです。私もお人形の乳母車を欲しいと思っていましたが、残念ながら手にすることはできませんでした。
きいちはそんな少女の希望をぬりえで叶えてくれました。(館)