東京都荒川区町屋 土日曜のみ開館
開館時間:(3月~10月)12:00~18:00 (11月~2月)11:00~17:00

ぬりえ美術館

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2020年8月 1日の記事

8月の美術館ニュース(2)

きいち千夜一夜 No.19 ☆きいち没後15年☆

今年はきいちの没後15年に当たります。これにちなみまして、「きいち千夜一夜」と題しまして、きいちについてご紹介をしていきたいと思います。


「病弱な体」
三十を過ぎて急に病弱になってしまって、高熱やめまいやいろいろな症状に悩まされる。こんな状態ではとても長生きなんかできないと思っていた。
 
”すぐに熱をだして、寝込むとなかなか治らない。なんでこんなに体の弱い男の人と結婚しちゃったのかしら。水に濡れるのもだめなら、少しの風zにも吹き飛んでしまう。まるで、紙人形のような人だわ”とは、ある日まさが呟いた言葉である。戦争を終えて帰ってきた喜一は、それ以後ずっと、突然の高熱に悩まされることになる。最初は風邪だと思っていたのだが、熱が出る以外にまったく風邪らしき症状はない。高熱が続いても咳ひとつ出ないのは不可解だった。
軍隊に招集されるまでの半年の新婚生活ではもちろんそんなことはなかった。しかし軍隊から帰ってきた喜一はあまりに虚弱な男になってしまっていた。こんなにも体質が変わってしまったのはなぜなのか。まさ以上に、喜一自身、納得できなかった。


「熱がでてきたなと思うと、すぐに四十度以上になってしまって、それが一週間ぐらい続くんです。ぬりえの仕事が忙しかった時は、締め切りが近かったりするとそうそう寝てもいられませんからね。大変でしたよ」


 どうやら、警備隊時代、外地帰りの兵隊から移されたウィルスが原因のようだった。
「医者からは、体になにかの菌が入って、それが高熱の原因だと言われたんだけど、ハッキリと心当たりがあるわけじゃない。だた、つらいつらいと思い出してみるとね、同じ部屋に外地帰りの兵隊がいてね。彼は体調を崩していたらしくて、いつもハンモックで寝ていた。それを見て、よせばいいのに”寝苦しい夜はハンモックで寝たら、さそ気持ちがいいだろうな”って思って、それで真似をしたんですよ。部下に頼んで窓のそばにハンモックを吊ってもらって。それで寝入ったまではよかったんだけど、夜風で体を冷やし、一発で風邪をひいてしまってね。体が弱った時に、同室で寝ていた男の菌が、私の体内に入ってしまったんじゃないかと思うんですよ」


とにかく、ぞくっときただけで、次の日にはもうダウン。海軍省から家に戻ってしばらくの間は、一か月に一度の割で高熱をだしていた。そんな喜一に妻のまさは筆を洗うのさえ禁じなければならなかった。汚れた筆はまさが洗うというのがいつの間にか習慣となった。紙人形のような夫は、襟元を風が通り過ぎただけでも、翌日には寝込んでしまう。腕まくりをするのも命懸け。まして、指先といえども水にさらしたりするのは危険だった。従って、彼女は喜一が洗筆でもしようものなら、すごい勢いでそれを止めた。
「家内は、ぬりえの全盛期にも私が、どんな絵を描いているか、十分には把握していなかったんじゃないかな。家にいる時は、お互いにいつも近くにいて、私は絵を描いいるし、家内は着物の仕立てをしているんだけど、お互いが自分のことに夢中だから、相手がどんな仕事をしているかは、あまり注意してみ見ていないのね。でも私の体のこととなるととても気を遣っていた

参考図書 「わたしのきいち」小学館


今月のエントランス

「うみのすいか」
作者:きいち
年代:昭和30年代

冷やした西瓜は、瑞々しくて、シャリシャリした歯ごたえも美味しいですね。暑い海辺で食べたら暑さも吹き飛んだことでしょう。


ぬりえ美術館情報
○4月~5月に開催しておりました「子供ぬりえコンテスト」では、264通の応募をいただきまして、大変ありがとうございました。7月より優秀作品をホームページに掲載しておりますので、是非ご覧ください。


展示室のご案内
☆3月末より臨時休館をしておりましたので、春の企画展であります「懐かしい時、思い出の時、きいちのぬりえ」~きいち昭和の歌姫”美空ひばり”を描く~を延長して今月末まで展示しております。

Posted: Nurie : 20年08月01日 | 美術館ニュース

8月の美術館ニュース(1)

今年は梅雨明けが大幅に遅れています。梅雨が長いので、湿気も多いですから、体調の変化、並びにマスクをしての熱中症にも注意をしてお過ごしください。

 
ぬりえのこころ -今月の一枚-
館内に入ってスグ目に留まるぬりえは、その時々の季節のものやテーマを設けて月毎に展示しています。このコーナーでは、月替わりのエントランスのぬりえから1枚を選んでご紹介します。
   

タイトル:なみうちぎわであそぶ
作  者:きいち
年  代:昭和30年代    


8月のエントランスは、「海水浴は楽しいな」と題しまして、海水浴がテーマのぬりえを展示しています。
今年の海の海水浴は、残念ながら中止や休業のところが多いようですので、ぬりえを見て気分だけでも海水浴を楽しんでいただければと思います。
子どもたち、とくに泳げない子どもたちは波打ち際で遊ぶのが良いですね。波が沖のほうに行ったり、波打ち際に寄せてきたり、波を追いかけているだけでも楽しいものです。
波打ち際に立っていると、足元の砂が波にさらわれて足元がグズグズっとするので、面白かったことを思い出します。


展示しているぬりえの中に、「海の砂は暑いわね」という絵がありますが、本当に夏の太陽に照らされた海辺の砂は焼け付くように暑く、展示された絵の女の子は靴を履いていますが、履物なしには歩けませんね。きいちはどれくらい海に出かけたか分かりませんが、随分細かいところまで良く見ているものだな、と感心します。
今年は海やブールに行かれない分、家の庭やベランダでビニールプールで水浴びをするのはどうでしょうか?あまり日差しがきつくない時間帯に、1時間ほど水浴びしたり、かき氷やアイスクリーム、スイカなどを食べたり、お庭に水巻きをするなどしたら、涼しさを味わえ、夏の気分も楽しめるのではないでしょうか。

新しい夏の過ごし方を楽しんでみてはいかがでしょうか。(館)

Posted: Nurie : 20年08月01日 | 美術館ニュース

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