永らく臨時休館をしておりましたが、緊急事態宣言が解除されることになりましたので、10月2日(土)より開館をいたします。
来館の際は、マスク、消毒などにご協力を頂き、体調の悪い方はご遠慮くださいますよう宜しくお願いいたします。
緊急事態宣言が延長されましたので、臨時休館を9月26日(日)まで延長いたします。
ご迷惑をおかけいたしますが、ご了承の程宜しくお願いいたします。
きいち千夜一夜 No.31 2021年も引き続き「きいち千夜一夜」と題しましてきいちについてご紹介をして参ります。
それから二十数年経って、今年の春、再び喜一さんの個展会場へと足を運んでみたんですが、筆はますます冴えて素晴らしくなったという印象でした。童女画の中に混じって展示されていた最新作の”行灯”という美人画も良かったですね。私の持っている初期の作品とは、また違った線の柔らかさや漂う色気に感動して、先輩から多くを教えられたという感じですよ。
私としては童女画と同じように美人画についても、これからどんどん描いていってほしいという思いです。どちらも奥が深いですからね、両方を同時に極めるというのは難しいかもしれませんね”
美人画”を”余技”と割り切ったとはいえ、美人画を評価してくれる人の存在は、喜一にとってはやはり嬉しいものだ。
「まだまだ、百歳を過ぎても絵を描いていく、その意気込みは十分なんですが、一点一点に時間がかかる。だから、美人画と童女画と両方はやはり難しいですね。
童女画を描く時にしたって、取り立てて時代考証するつもりはなくても、”平安時代の女の子は着物はどうだったか?帯は?履物は?なんていろいろ調べたり、考えたりすると、下絵を描くにもかなりの時間を費やしてしまいますから」
あるいは、画家としてこうした作業をもっと早く始めていたら、自分の人生も変わっていたかもしれないと考えることもある。
「今日あるのは、ぬりえのおかげなんですけどね、逆にぬりえに翻弄されて、一生分を遊んでしまったかなと思うこともあるんですよ。もっとも、その遊びがなかったら、ここまで童女の世界に固執できたか、そのへんはわかりませんけどね」
★参考図書 小学館「わたしのきいち」
今月のエントランス
「おきゃくさまにケーキとソーダすい」
きいち
昭和30年代
夏の時期のお客様には爽やかなソーダ水。緑色のソーダ水が懐かしいです。サイダーも夏のものですね。ラムネという瓶に入った飲み物もありました。今は見ることができなくなりました。
ぬりえ美術館メディア情報
「レトロイズム」http://retroism.jp/ にぬりえ美術館が紹介されました。
展示室のご案内
★秋の企画展「秋は夕暮れ」を展示しています。
蔦谷喜一が晩年に描いた童女画の絹本を展示しています。
★館内のぬりえコーナーは、コロナ感染防止のためにしばらくお休みをしています。
ご了承の程お願いいたしまうす。
オリンピック、パラリンピックと、世界的にも非常に大変な中の開催となりました。
依然コロナのデルタ株が猛威を奮っていますので、更に気を引き締めていきましょう。
ぬりえのこころ -今月の一枚-
館内に入ってスグ目に留まるぬりえは、その時々の季節のものやテーマを設けて月毎に展示しています。このコーナーでは、月替わりのエントランスのぬりえから1枚を選んでご紹介します。
タイトル: はいおまちどうさま
作 者: きいち
年 代: 昭和30年代
9月のエントランスは、「おまちどうさま」と題しまして、食べ物がテーマのぬりえを展示しています。
昭和20~30年代のデパートの食堂のウィトレスさんが、「おまちどうさま」と運んできたところを描いたと思われます。
当時の子どもたちにとっては、レストランに行くというよりデパートの食堂に行くことが何より楽しみなことでした。「お子様ランチ」は1931年に上野松坂屋がお花見や上野の動物園に来る子どもたちに楽しんでもらおうと洋食をワンプレーとにして「お子様ランチ」と命名して提供したのが始まりと言われているそうです。
きいちのぬりえに食べ物のぬりえが数多く描かれているのには、日本がまだ貧しく豊かではない時代だったので、色々美味しい食べ物を描いているのだと思います。
日常の食べ物から、お正月やお花見、夏の冷たい食べ物、冬のお汁粉やお蕎麦などを描いています。
また東京などの大都市のデパートでなければ食べられないパフェやホットケーキなどのお洒落な食べ物もぬりえにして、東京ではこういうものがありますよ、と知らせていたと思います。
現代でもテレビ番組に食に関する番組が多く見られますが、美味しい物を嫌いな人はいないからでしょう。(館)