2002年8月に開館し、あっという間に今年19周年を迎えました。
これも偏に皆様方のご支援の賜物と心より御礼申し上げます。
昨年、今年とコロナの感染防止ということで臨時休館が多々あり、残念ながら企画展を始め作品を見てもらえる機会が少ない残念な年でした。
その反面、家庭内に自粛する時間が多くなり、ぬりえに触れてくださる方が多くなったことは嬉しいニュースでした。
今年はオリンピックが開催され、海外の選手たちが様々な日本の良さについてインスタグラムなどを通じて発信をされていましたが、私たちは自国の素晴らしさを他国の人たちを通じて知ること、気が付くことがあるのではないかと感じました。
日本の素晴らしさは幾つもありますが、日ごろ自分たちは当たり前のものとして過ごしているので気が付かないでいるのではないかと思います。
ぬりえ美術館は、昭和20~30年代の「きいちのぬりえ」を展示している小さな美術館ですが、きいちのぬりえの中に描かれた世界は、そんな日本の素晴らしさ、良さを描いているぬりえだと思います。
きいちのぬりえは、日本の文化を描いているぬりえです。
きいちのぬりえが描かれた時代から60年余りたった今でも、当時の少女だけでなく現代の子どもたちにとっても「可愛い」と感じてもらえるのは、きいちのぬりえに描かれた少女たちが普遍的な可愛さ、日本的な美をもっているからでしょう。
これからも荒川区町屋の小さい美術館ですが、「きいちのぬりえ」の魅力を発信していき、ぬりえ文化に貢献していきたいと思っています。
今後共ご支援、ご鞭撻の程宜しくお願いいたします。
2021年8月
ぬりえ美術館 館長 金子マサ
ぬりえ美術館の情報が下記サイトに掲載されましたので、ご案内いたします。
「レトロイズム」さんのホームページをご覧ください。
(以下の画像をクリックすると新しいウィンドウでホームページに飛びます)
きいち千夜一夜No.30
2021年も引き続き「きいち千夜一夜」と題しまして、きいちについてご紹介をしてまいります。
「この女の子たちが、自分の意思を持ち、自由に体を動かすことができるとするならば、どんなふうな仕草をするか、私の中にはかなりはっきりとしたイメージがあるんです。それがいつもうまく表現できずに悩んでしまう。
たとえ自分なりにパーフェクトなデッサンができたとしても、受け手にはなんの変化も感動もないかもしれませんけれど、でも、それは私のこだわりとして、最後まで捨てたくない」
あれほど美人画に憧れ、いつかは美人画だけを描く画家になりたいと思いを募らせてきた喜一だが、八十歳をすぎて、童女画こそ自分の取り組むべきテーマであることに気づいたようだ。
「美人画は描いていて楽しいし、これからも続けていきたいと思いますが、でも、自分の生涯の仕事として全うするものじゃないと最近思うようになりました。
それに、私が描かなくても、ほかにいくらでも描く人がいる。だから今後は美人画については余技でやっていこうと考えています」
ぬりえが売れなくなり、生活のために必死に美人画を描いていたころ、喜一に甥がこんなことを言ったことがあった。
”どこだったか仕事で行ったホテルのロビーにおじさんの絵がいっぱい飾ってあったけど、何だかどれも悲しそうな顔をしていたよ”
「童女画を描いて、こういうことを言われたことはないんですよ。童女にはエネルギーや色気まで感じるということで。まあ、とらえ方は人それぞれですが、それにしても美人画は寂しくて、童女画は色っぽいって、これはどういうことなんでしょうかね」
☆参考図書 「わたしのきいち」
今月のエントランス
東京タワーは昭和33年(1958年)に完成しました。
東京タワーを見ることができない地方の子どもたちにも、ぬりえに描いてあげれば、どんな感じがわかりますね。ぬりえには当時の流行や人気のものなども描かれていました。
ぬりえ美術館展示情報
8月~10月まで秋の企画展として、きいちの肉筆である童女画の絹本を展示しています。
日本画には紙に描く紙本と絹地に描く絹本がありますが、きいちは美人画を学びましたが基本的にそれらの絵は絹本で描いています。
展示室のご案内
★秋の企画展「秋は夕暮れ」を展示しています。蔦谷喜一が晩年に描いた童女画の絹本を展示しています。
★館内のぬりえコーナーは、コロナ感染防止のためにしばらくお休みをしています。ご了承の程お願いいたします。
Posted: Nurie : 21年08月05日 |
オリンピック開催中で、メダルに沸く種目と悲観する種目と悲喜こもごもです。そして競技の外では、コロナのデルタ株が猛威を奮っています。引き続き感染防止に各自が気を付けましょう。
ぬりえのこころ -今月の一枚-
館内に入ってスグ目に留まるぬりえは、その時々の季節のものやテーマを設けて月毎に展示しています。このコーナーでは、月替わりのエントランスのぬりえから1枚を選んでご紹介します。
タイトル:おせんたく
作 者:きいち
年 代:昭和30年代
8月のエントランスは、「夏でもお手伝い」と題しまして夏のお手伝いのぬりえを展示しています。
女の子が干している丸い“洗濯物干しハンガー”は、大変懐かしいですね。
昭和20~30年当時は、子どもたちが家のお手伝いを沢山していました。子どもが多い時代でもありましたから兄弟の面倒を見るのは勿論、いろいろお手伝いをしたものです。
ぬりえの少女は自分のお人形の洋服を洗って干しているようですが、家族の洗濯などもする子どもたちもいたことでしょう。
展示中のぬりえを見ると、お庭の植木の水やりがあります。夏の夕方に水やりをすると涼しくなって、とても気持ちが良かったことを思い出します。最先端の家電である掃除機をかけている少女もいます。
このように何でも自分に出来ることはお手伝いをするもの、と思っていました。お手伝いをしていると、お店のご主人がお駄賃をくれたり、おまけをしてくれたりしました。それが子どもにも大変嬉しくて、またお手伝いをしようという気持ちにしてくれたように思います。
どんなお手伝いをした思い出がありますか。(館)