少し大きくなった少女でしょうか。ピンクのコートに黒の毛皮や帽子、バッグをコーディネートしていますので、大人っぽく見えます。冬でもピンクなら温かく感じられます。(館)
9日(土)より、昨年募集いたしましたぬりえコンテストの優秀作品を美術館内に展示しています。1/9(土)~2/28(日)まで。
次点作品は、HPに掲載しています。
「海外ぬりえ」研究室No.51 今月は、シンガポール編です。
今月はシンガポールのぬりえ本をご紹介いたします。
今東京では、新しいぬりえの流行として細密画のような細かい絵のぬりえ本がフランスからやってきて人気となっていて、本屋さんの店頭には様々な細密画ぬりえ本が並んでいます。
この人気はフランスや日本だけのものではないようで、シンガポールのお土産としていただいたぬりえ本もこの種類の本でした。
この本では、シンガポールの名所、旧跡といわれる場所を描いています。その名所を近代科学の申し子のようなロボット君が訪れ、それぞれの場所に馴染みながら、旅をしていく様子が、描かれています。
シンガポールの伝統的な建築物は、中国であったりインド風であったりしますが、その国の建物のベースに伝統的な模様といいますか、形が含まれていますので、そのものがすでに細密画のようです。例えば建物のヒサシやテーブルに描かれた模様や龍の鱗模様などを
現代風にアレンジをして、伝統と現代のミックスの面白い効果をだしています。
表紙に描かれているマーライオンや魚の体に描かれた模様などは可愛らしくて新鮮です。
可愛らしいところが、女性に好まれている点の一つと思います。
インド寺院の建物に描かれている仏様は何体いるのでしょうか。仏様というより
大変人間的です。ロボット君もお参りしています。
建物のほかには、自然が描かれていますが、蓮の花やつぼみ、蓮の実、葉などが幾何学的
な線で描かれていて、美しい曲線を見せています。自然のものでさえ、このような模様になるかと、新しいぬりえ本の魅力を感じます。
このほか、シンガポールの近代的な高層ビル群、田舎の風景、屋台など、シンガポールに行ったら見られる景色をモダンにそして可愛らしく描いています。そこにいるロボット君の愛嬌に笑顔がふともれてしまいます。
これらの細かい絵に引き込まれて夢中になりそうです。
この細密画のぬりえ人気は今年も継続して大きくなっていくだろうと思います。
来月の海外ぬりえ研究室もどうぞお楽しみに。
今月のエントランス
「リレー」
年代:昭和30年代
作者:きいち
現代では、足袋に代わってスニーカーがランニングには欠かせないアイテムです。足下のスタイルは違えど、地面を軽く蹴って走る姿は、今も昔も変わらず、その楽しさを伝えてくれます。
ぬりえ美術館情報
ぬりえ美術館の人気グッズ缶バッジ(小)に、新しいデザインが加わりました!
右側の猫の絵柄は、特にご好評をいただいています。
展示室のご案内
★昨年11月に開催しました、ぬりえコンテストの優秀作品を館内に展示しています。
★館内にはぬりえ体験コーナーがあり、自由にぬりえを塗って楽しんでいただけます。
新年明けましておめでとうございます。今年も皆様のこころを温かくするきいちのぬりえをご紹介していきたいと思っております。新年早々の展示には、昨年のぬりえコンテストの優秀作品を展示いたします。今年もどうぞ宜しくお願いいたします。
ぬりえのこころ -今月の一枚-
館内に入ってスグ目に留まるぬりえは、その時々の季節のものや テーマを設けて月毎に展示しています。このコーナーでは、月替わりのエントランスのぬりえから1枚を選んでご紹介します。
タイトル:ぼーるをなげる
作 者:きいち
年 代:昭和30年代
1月のエントランスは、「冬はスポーツを楽しもう」がテーマのぬりえの展示しています。
冬になるとドッジボールを楽しみませんでしたか。体育の時間だけでなく、休み時間にもボールを持って友達とボール投げをしたり、ドッジボールをして遊んでいた思い出があります。
強いボールを投げる子もいれば、逃げ回っている子もいたり。ボールを上手く受け止められると、どこに投げようかと相手チームを眺めてボールを投げたものです。
ボールを投げたり、当たらないように走ったりしていると自然に体があたたまり、冬の運動としてボール遊びは誰にでも簡単にできるいい運動ではないでしょうか。その他のボールの運動には、バレーボールやバスケットボールなどが思い出されます。
ボールを手に持つことはできませんが、サッカーは最近では野球よりも子どもたちには人気があるようですね。また昨年はラグビーワールドカップでは、日本が五郎丸選手の活躍により3勝することにより、ラグビー人気が急速に高まりました。
ボール一つでいろいろな遊びができ、さまざまなボールの世界に広がっていきます。
子どもたちのスポーツの選択の幅が広がり、それらのスポーツを楽しみ鍛錬していくと、日本のスポーツの将来には大きな希望が生まれてきそうです。
今年はどんなスポーツを楽しみますか。(館)
今年も皆さまにとって佳き一年でありますように、お祈りしています。
新しいタイプのぬりえが人気となっているのをご存知ですか。これは日本だけでなく、世界的な流行のようです。その流れが日本にも伝わってきているのです。
日本では、ぬりえは子どものするものとして、ずっと存在していますので目新しいものではありませんが、あくまで子どもがするものという位置づけでした。お子さんたちがテレビのアニメのぬりえをされているのを目にされていることと思います。小さいお子さんはアンパンマンのぬりえが大好きですし、男の子はムシキング、女の子はプリキュアなど様々なぬりえ本が売られています。
ぬりえ美術館は2002年に開館したのですが、その頃は大人の人がぬりえをするという考えすらありませんでした。ところが2006年に、「大人のぬりえ」ブームが巻き起こりました。ぬりえをすると高齢者の脳を刺激して、脳の活性化に良いということが言われ、ぬりえブーム、それも大人がぬりえをするということが起こりました。多くの出版社が大人、とくに高齢者向けに様々なぬりえ本を出版しました。残念ながらブームというものはあっという間に去ってしまい、本屋さんの店頭からぬりえ本が消えてしまいました。
このブームが消えてしまった原因は、どういうぬりえ本が高齢者にとって良いのかという考えよりも、やはり出版不況の中で、ブームにのって簡単に作れるぬりえ本を出版すれば儲かるだろうという考えが先にたって、高齢者には人気とならず消えてしまったものと思います。
ぬりえであれば、何でも良いというものではなく、やってみたい、ぬりえしたい、という気持ちを刺激するものでなければ、人気となっていくものではないということを証明したともいえます。
幸いなことに、脳の活性化に良いという考え方だけは浸透して、多くの高齢者施設ではぬりえが行われて普及しています。施設で働いている方からは、きいちさんのぬりえが一番人気があるというお言葉を沢山いただいています。
ぬりえをするという行為が脳にとっていいのですから、どのぬりえでも良いようなものですが、塗ってみたいという気持ちが加われば、さらに脳にとって良いのではないでしょうか。そういう意味では、2006年に発売された大人のぬりえ本は、線が細かすぎて、見ただけで難しそうと思わせるぬりえ本が多かったので、あまり普及しなかったのだと思います。
それから約10年、新しいぬりえの動きが始まっているようです。2006年の大人のぬりえブームは、日本から起こったものですが、今回のぬりえの傾向は海外からやってきました。
2002年にぬりえ美術館を開館して以来いろいろな国に行ってぬりえを調査していますが、2006年の大人のぬりえのブーム以降、外国では大人の人がぬりえをしているかも調査項目として調べていましたが、ほとんどの国でぬりえはあくまで子どものものでした。一部フィンランドとスペインで大人の人向けのぬりえ本や大人の人たちがしているということがありましたが、大人はしないというのが多くの意見でした。
今回の新しいぬりえの傾向は、フランスのぬりえ本の「ひみつの花園」からでした。フランス語でぬりえのことを“コロリアージュ“といいますが、フランス発の塗り絵コロリアージュといううたい文句も若い女性たちにアピールしたと思いますが、テキスタイルのような美しい細密画の花園の絵のデザイン性が高く、見ているだけでもうっとりとしてしまう素晴らしさがあります。
コロリアージュのテーマには、花々、木の実、野ネズミや野うさぎ、小鳥、リス、四季折々の森、花や木の実、果物、宝石、雪の結晶、「眠れる森の美女」「ヘンゼルとグレーテル」等、お馴染みのおとぎ話の場面など、その他にもきのこ、鳥、ほ乳類、は虫類、軟体動物、太古の生物たち等々、
様々なテーマの緻密画が描かれています。
ブームを牽引しているのは2013年にジョハンナ・バスフォードさんが出版した上述の『ひみつの花園』で、ヨーロッパをはじめ世界各国で大ヒットしたそうです。ブラジルでは色鉛筆が売り切れる程の社会現象にまでなったというこの大人の塗り絵は、その繊細な花々の細密画のデザイン性によるのではないでしょうか。
2006年はいわゆる高齢者向けでしたが、このコロリアージュブームが日本の若い女性たちに人気となっています。従来ぬりえは色えんぴつを使うことが多かったのですが、コロリアージュでは、
クレヨン、蛍光ペンなど様々な画材を使ってすることも新しい印象を与えています。
2016年は、このコロリアージュブームがどこまで広がっていくでしょうか。大人の女性がコロリアージュを塗ることにより、ストレスを解消し、リラックスをして楽しい自分の時間を過ごしてくださるといいなと思います。
これからもコロリアージュブームに注目をしていきたいと思います。(館)