今年もぬりえコンテストを11月に開催いたします。東京新聞とぬりえ美術館HPにてご案内をいたします。詳細は、別途ご案内をいたしますので、どうぞお楽しみに。今年もご応募お待ちしています。
今月は、昭和20年代の「このまのつき」というぬりえをデコレーションいたしました。この絵は少女というよりは少し大人っぽい女性の絵でした。「このまのつき」の”このま”とは、木、木の間という意味ですね。木の間から少しお月様がのぞいています。その下にひっそり、エレガントに座る女性を描いています。
さあ、どのようにデコレーションされていったのでしょうか。
ユン先生の作品
お月様が見える夜の景色をパステルを使って描いています。パープル、ブルー、に先生はシルバーのラメをところどころにいれ、星や花などを散らしています。
ドレスは月の色がはっきり分かる深い緑です。絵にはないのですが、ショールを掛けています。髪の色が、ドレスの色と夜のイメージにぴったりです。
Monezumiさんの作品
ドレスの月の色が難色も入っています。ドレスのレースの色もそれに合わせてお洒落です。
銀色のショールが月の夜にふさわしいです。
二瓶さんの作品
金色のショールが大変豪華です。ドレスの裾のレースが黒とゴールドでシックな落ち着きを感じさせます。
末石さんの作品
デコ初めての方の作品です。
ドレスと背景が黄色系で同じなのですが、しっとりとした優しさを感じさせる作品になっています。蝶々がこの絵のアクセントになっています。裾のレース使いも大変素敵です。
浅間さんの作品
デコ初めての方の作品です。
オレンジ色のドレスに、赤いバラの髪飾りが映えています。タイトルの飾りもいいアイデアですね。
館長の作品
赤系のドレスに、オーガンジーのような透けるリボンでショールを合わせました。同じようなレースでドレスの裾を飾りました。質感の合う生地がポイントです。月夜に流れ星のように星を飾りました。
全員の作品を並べると、上のようになります。一人として同じような作品がないのが大変面白いです。
さて来月は、もうクリスマス関連の絵をすることになります。どうぞお楽しみに。
11月から、開館時間が1時間早まりまして、11時から17時(最終入館16時半)までとなりますので、宜しくお願いいたします。
ご来館お待ちしています。
『海外ぬりえ』 研究室 No.48 今月は、ギリシャ編です。
今月はギリシャのぬりえ第2回目をご紹介いたします。前回は2012年の7月にご案内して
います。
今回のぬりえは、ロードス島に関連するぬりえとギリシャの祝日に関するぬりえ本です。
1、「色を塗って学ぶギリシャの民芸 ロードス島のデザイン」
ロードス島ガレー船などの船、花や鳥などの民芸に見られる主たるデザインが描かれてい
ます。
「3段オールのガレー船」は、オールの順序や船の帆に描かれた古代の神を通して、古典
時代のギリシャがこのデザインによみがえらせます。「鷲」は空の絶対的な王者であり、誇り高く未来を展望しています。
「カーネーション」ロードス島の冬季やギリシャのすべての種類の民芸に見られる、もっとも好まれた題材のひとつです。
この本はシリーズになっていて、12種類ものテーマが出版されています。
左ページには色見本がついており、それを見ながら塗っていきます。
子どもたちは、自分の国の文化をぬりえを通じて楽しみながら覚えることができますね。
2.「一年の祝日に色を塗る」
ギリシャの記念日の絵が描かれています。
「復活祭」キリストが復活したことをお祝いする復活祭。赤い卵をぶつけあったり、羊の肉を焼いたりするのが習慣ですが、子どもたちが卵をぶつけあっています。
「聖灰月曜日」は、凧揚げをして、その日はお肉を食べないそうです。聖灰月曜日は、イ-スターまでの40日間の最初の日になります。
「3月25日」は、トルコ人によって400年続いた奴隷の境遇から解放されたことを祝う日
です。
海外のぬりえ本を見ていますと、日本のぬりえには無いテーマを時々見ることがあります。
この記念日のぬりえ本も初めてみるものです。自国の記念日を意識的に学ぶことができ
て大変良いアイデアだと思います。
今回も珍しいぬりえ本をご紹介できたのではと思います。来月もどうぞお楽しみに。
今月のエントランス
『きんのふねにのるおひめさま』
年 代 : 昭和20年代
作 者 : きいち
1941年に講談社の絵本として「コガネノフネ」が出版されています。その絵本のお話
を元に描かれたぬりえだと思いますが、生憎詳しいストーリーがわかりませんでした。
当時はポピュラーなお話だったのでしょう。
ぬりえ美術館情報
きいちの手ぬぐいが4種類発売されて、大変好評です。 1枚1,200円+税
【展示室のご案内】
★きいち没後10年 「ありがとう 忘れない」第二弾を 開催しています。
★館内にはぬりえ体験コーナーがあり、 自由にぬりえを塗って楽しんでいただけます。
10月になりますと秋のお祭りやイベントが各地で盛んになりますね。早くも菊祭りなどの声も聞かれます。菊が咲き始めれば、紅葉狩りももうすぐですね。
ぬりえのこころ -今月の一枚-
館内に入ってスグ目に留まるぬりえは、その時々の季節のものや テーマを設けて月毎に展示しています。こ
のコーナーでは、月替わりのエントランスのぬりえから1枚を選んでご紹介します。
タイトル:まほうのりんご
作 者:きいち
年 代:昭和20年代
10月のエントランスは、お姫様がテーマのぬりえを展示しています。
きいちは、戦後に仕事を始めるにあたり、絵本をやってみたい気持があり、何冊か絵本を描いています。
その後、戦前にも描いて人気となっていたぬりえを本格的に始めますが、ぬりえの中で絵本的なものを描いています。「まほうのりんご」は白雪姫のお話ですが、シンデレラやチルチル・ミチル、眠り姫、ジャックと豆の木等々、描いています。
あの時代、絵本が買えなくても、ぬりえを通じてお話を楽しむことを子どもたちが出来るようにと思って手がけていたのではないかと想像いたします
白雪姫やシンデレラ、眠り姫など、今ではウォルト・ディズニーの絵が世界的に有名となっていますので、それらの絵を思い浮かべてしまいますが、昭和の20年、30年代に描かれた絵本には、日本人の画家たちが描いたものがあり、それぞれのオリジナリティーあふれた作風で子どもたちを楽しませていました。
今見ても素晴らしい挿絵で、子どもの頃にはどんな人が描いていたかもしらずにそれらの絵本を読んでいたわけですが、とても幸せな時間をもらっていたのだと大人になって思います。個人的には、蕗谷虹児の作品が好きですが、「おやゆび姫」、アンデルセンの「海つばめ」、「シンデレラ」等々、子どもたちに夢を与え、ワクワクさせる絵本を描いてくださっていたと感謝をしています。
子どものころ、どんな絵本を読んでいらしたか、覚えていらっしゃいますか?